OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

読み継ぎたい児童名作 青木茂『三太物語』


【三太の日記】
 青木茂・作 秋野卓美・画
 高学年向 学研小学生文庫15 1979年

  

 私が小学生の頃に買ってもらった学研小学生文庫の中の一冊。
 三太少年の学校生活を生き生きと描いた短編集です。
 ラジオドラマ化や映画化もされて人気を博したようです。
『三太とタヌキのしっぽ』は光村図書の小学5年用の国語の教科書の冒頭に載っていました。
 しかし今読むと、もはや時代劇に近い印象を感じます。
 戦後間もない頃の日本の山の中の村が舞台なんですが、古き良き田舎の光景です。飼っているニワトリがキツネに食べられたり、父親が山へ猟をしに行くような生活をしています。現在の日本でこのような生活をしている方々はどれだけいるでしょうか。
 まあ私も子ども時代には山の中の町に住んでいたので、そんなに違和感なく読んでいたように思います。
 三太が通う小学校のクラス担任は「花荻先生」という若い女の先生ですが、なかなか教養に富んだ開明的な思想の持ち主で、ジェンダー問題にも高い意識を持っています。それでいて子ども達を温かく育ててくれています。発表当時もすごい人気で、花荻先生人気のために教師志望者が増えたと言われています。まあ今見てもいい先生です。
 それにしても「花荻」とは珍しい姓です。検索してもこの「花荻先生」しか出てきません。
 
「三太と白ギツネ狩り」の話で、三太は父親や音さんらと一緒に山奥の村に白ギツネを探しに行きます。この村は三太が住む村よりさらに山奥にあるようで、もはや別天地です。現在はここまで開発が進んでいるのか、或いは限界集落化して廃村になっているか。
 とにかくそこで三太達は花荻先生に似たきれいな女の人に言われます。
「なんだかこのあにい、見たことあるようだよ。そうそう、いつか町にわざわざ見にいった、三太の十六ミリそっくらの顔だよ。」
 映画化後の執筆なのでしょうか、自己言及のメタなセリフです。
 巻末の解説で小暮正夫さんが
「とかく日本の児童文学はユーモアに欠けていただけに、三太の登場と活躍は新鮮でした。」
と書かれています。
 この『三太物語』にしろ青木茂にしろ、忘れられるにはもったいない存在で、読み継がれていくべきだと思います。
 今ウィキペディアで調べたら、同姓同名の他の青木茂さんは項目があるのですが、作家の青木茂さんの項目はありません。当然、『三太物語』の項目もありません。これは意外なことです。
 ところで三太は一人っ子のようですが、なぜか「三太」です。こんな名付け、あるのでしょうか?
 それにいつも名前で呼ばれていますが、三太の姓(ファミリーネーム)は設定されているのでしょうか。


三太物語と青木茂 http://santamonogatari.com/

三太旅館 https://www.ssz.or.jp/aruaru/archives/6376


  [wikipedia:道志川]
  [wikipedia:道志村]


昔、子供のころに見た「三太物語」を見てみたいのですが
  https://okwave.jp/qa/q5027498.html

昭和26年(1951)製作の映画「三太物語」の映像を探しています。
  https://okwave.jp/qa/q5806008.html

第380回 「おらア、三太だ」の思い出
  https://genshobo.com/archives/10281

復刊ドットコム『三太の夏休み(青木茂)』 投票ページ
   https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=39423

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こんなサラリーマンになれますか?『第一生命広報部長からの手紙』


 第一生命広報部長・下保進さんと永六輔さんの往復書簡のやり取りが収録されています。
 下保進さんは文化面の趣味があって、サラリーマンとして出張しながら日本各地の展覧会などを訪れています。
 確か佐高信さんが本書を推薦していて、下保さんを良いサラリーマンのお手本だと書かれていたので購入したのだと思います。
 まあ確かに下保さんの行動や手紙はサラリーマン離れしていて、いっぱしの文化人の風格が漂っています。
 しかしそれは大企業の広報部長という肩書きによるところも大きいのではないでしょうか。
 大多数の一般的日本人はまず大企業に入る前に振り落とされ、それから部長に出世するまでに振り落とされていきます。
 もちろん私も精神を病んで大学生活も社会人生活も非常に苦しいもので成果を上げることができませんでした。
 それはともかく、本書の手紙がやり取りされたのは1989年前後。昭和末期から平成初期にかけてです。
 当時は確かに自粛と言って重苦しい雰囲気に覆われていましたが、それでも世界や日本の経済は今ほど格差が拡大していず、まだましだったのではないでしょうか。
 日本もまだまだ経済的には世界の一等国でした。
 それが規制緩和だとか新自由主義だとか言われてどんどん悪くなり、大多数の日本人が中流から下流に転落していき、今では日本は中国や韓国に追い抜かれ、先進国脱落です。
 下保進さんや永六輔さんが今の日本を見れば一体どう思われるのでしょうね。

(追記)
 下保さんは堺市の浜寺(高級住宅街と言われている)に住んでいたことがあり、その時に何度か和歌山へ行ったことがあり、新婚旅行も和歌山に行ったという。知っている土地が出てくると嬉しいものですね。

(追記2)
高校野球は、勝っても負けても楽しいものではありません。
 負けたチームはあわれです。スポーツと涙が一緒になるのはカラッとしません。自分の涙腺が弱くなって、ジワジワと涙が出てくるのが、本当は一番イヤなのです。
 来てもよし、帰ってもよしという孫とはえらい違いです。早く終わればよいと思います。」
 この下保さんの意見には大いに賛成します。

  [wikipedia:永六輔]


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多和田葉子『白鶴亮翅』連載終了!感想メモ

 ベルリンで一人住む日本人女性が太極拳を習い始め、その日常を綴った物語。
 特に大きな事件はなく、淡々と過ぎていきます。隣人や太極拳教室に来ている人々ら、個性豊かな人々との交流が楽しい。
 そういった日常生活の合間に語り手の思うところのモノローグが入って、雑談系の物語でもあります。
 まああまり深刻にならずに気軽に読めるので、連載中は楽しみだった。いつか続編は書かれるのだろうか?
 主人公が太極拳教室に行くきっかけを作った隣家に住む老人が旅から戻って来てからどんな会話をするのだろうかと密かに楽しみにしていたのですが、結局その後疎遠になってしまったみたい。ちょっと心残りです。
 しかし太極拳とはすごいものですね。老人の健康法というイメージがあったのですが、武道でもあるのです。それがタイトルの伏線だったのです。
 私は子ども時代から激しい運動は嫌いだったので、若い頃から太極拳をしていたら合っていたのかもしれません。
……と言って今から始めてもいいのですが、一人でできないことはなかなか億劫なものだ。


(白鶴亮翅):188(最終回) 多和田葉子
  https://www.asahi.com/articles/DA3S15387330.html

市井學人のツイッター保管庫
 小説の続きを読めること、それが平和/復刊に背表紙 SF文庫の現在
青木茂『三太物語』知ってますか?
  https://yorodzu.seesaa.net/article/491047061.html
 街道脇で妖しい存在感【ドライブイン】/社会とはパッチワークのようなものなのだ
多和田葉子『白鶴亮翅』と太極拳
  https://yorodzu.seesaa.net/article/490821766.html

  [wikipedia:太極拳]
  [wikipedia:日本の太極拳]
  [wikipedia:多和田葉子]

OLDIES 三丁目のブログ
 ロウリーボール(太極柔力球)
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/2019/09/19/210138
 少林寺拳法入門 宗道臣
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Allright三丁目の研究会@泉南
 堺市と太極柔力球(ロウリーボール)
  http://sakai.areablog.jp/blog/1000026345/p11892672c.html

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 太極拳の盛んなまち 熊取町無人 & キャッシュレス書店 ふうせんかずら/日米開戦の経済学的分析
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 古川成俊 題不詳「『鷹の井戸』より」/ロウリーボール(太極柔力球)知ってますか?
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