江戸城内の因習を打破して改革を決行。庶民のために善政を行おうと決意した徳川綱吉(草なぎ剛)。
しかしそのために断行した政策が犬や動物を殺すな、という生類哀れみの令。
きっかけは、大奥のお気に入りの松子(深田恭子)とお忍びで夜の江戸の町を歩いた時。
武士が刀の試し切りのため犬を殺し、それに飽き足らなくなると人まで殺すようになる、だから人は夜に出歩かない、と聞いたことである。
動物の命を粗末にしているから人の命も粗末にされる、という論理らしい。
しかし、何だか少しズレている。
犬を大切にするというのは、人の命を大切にするための経過点であるはずなのに、なぜか主客転倒してそちらが目的のようになっている。
前半は、このちょっとばかしズレた、しかし殺生を好まない優しい将軍をほんわかと描いている。(しかし、殺生のシーンは意外と生々しい)
そして、中盤からは、江戸城内での描写と赤穂浪士の忠臣蔵の話が淡々と進んでいく。
浅野内匠頭と吉良上野介を陣内孝則(特別出演)と竹中直人が演じているとは、豪華だ。
この二人の絡みをもっと見たかった。
一方、重要な役であるはずの柳沢吉保(田辺誠一)と大石内蔵助(堤真一)の演技が意外と淡々としている感じがした。
(私はねちっこい演技が好みなのだ。)
忠臣蔵には色々な解釈がある。
今回の忠臣蔵は、徳川綱吉の立場から見ているという視点が特筆される。
綱吉自らが大石に仇討ちを止めるよう説得する場面が見所。