2004年の大河ドラマ『新選組!』も終了し、『義経』が始まっておりますが、ちょっと思いついたので書いてみます。
芹沢派について今一度考えてみます。
芹沢鴨(佐藤浩市)、新見錦(相島一之)については、今まで何度も触れたように、結構目立ついい役柄で描かれております。
佐伯又三郎(松谷賢示)は、強い者には弱く、弱い者には強くなるという嫌味な役柄がうまかった。表情も豊かでしたね。八木家の人に失礼なことをしましたが、芹沢に斬られた時は哀れでした。
平山五郎(坂田聡)、この人は一番目立っていました。
新見の方は陰のタイプで、乱暴狼藉場面になってもあまり声を立てることはなかったため、芹沢一派が乱暴を働く時、ビジュアル的・サウンド的に一番目立っていたのは、平山でありました。(又三郎が参加後、又三郎もこれに次ぐ地位を得ていた)
芹沢派が近藤派に嫌がらせをする時、平山の態度と声は怒りをかきたててくれました。そのため、斎藤一(オダギリジョー)に鼻を切られることになったのですが。
芹沢暗殺の際、平山も芹沢に殉じて最後まで戦い、最後をとげました。
これに対して、目立たなかったのは平間と野口青年です。
平間重助(剛州)は、気のいいオヤジという描かれ方でした。芹沢派が乱暴狼藉を働いている時も、平間と野口の乱暴狼藉シーンはあまり目立っておりませんでした。
芹沢派と近藤派の親睦のために開かれた相撲大会では、野口青年は平助と共に主催者を務めたし、平間も源さんといい勝負をし、試合後は和んでいた。
また、鼻を切られた平山について笑い、平山にたしなめられるシーンも印象に残っております。このシーンなどはまさに気のいいオヤジそのものです。
そして、野口健司(岡本幸作)です。
乱暴者の芹沢や平山の一派にいるにしては純朴すぎるキャラクター設定でした。
平助に、芹沢のために命を捨てられるかと聞かれて返答に窮したり、なぜ芹沢と一緒にいるのかと聞かれて、同郷だったからと答えたり、芹沢に対してはそんなに信奉していないようだった。
相撲大会の折には、近藤派と共に開催を手伝い、芹沢に呼ばれると嫌がったりしていた。
野口青年は回を重ねるにつれ、藤堂平助(中村勘太郎)と仲が良くなっていった。
平助といえば、沖田総司(藤原竜也)・原田左之助(山本太郎)でのやんちゃトリオという交流があったが、一方で、芹沢派の野口青年との友好ラインも存在していた。
ここで気になるのが、平助―野口というラインに、沖田が加わらなかったのかということである。
確か平助―野口関係が深まった頃、沖田は近藤勇(香取慎吾)との行き違いのため、芹沢に接近していた。
そもそも沖田が近藤勇と不和になり、芹沢に接近した原因というのが、関取との乱闘の折、危機に陥った野口青年を助けて初めて人を切ったことにある。
そのような事情から、野口が沖田に恩を感じたり、芹沢派に接近した沖田が年齢の近い野口と仲良くなってもおかしくはない。
ところが今回描かれたドラマの中では、沖田―平助ラインと平助―野口ラインはつながることはなく、あくまでも別個の存在であり続けた。
沖田を叱る近藤に野口が
「私を助けてくれたのです」
ととりなしたとき、近藤がかつて自分が初めて人を切った時を思い出す、というシーンがあった。
近藤が助けたのは親友の土方であり、その後も友好関係は続いた。しかし沖田が助けた野口との関係は希薄だったように思う。
◇ ◆ ◇
平助中心の人物相関図を見てみると、近藤勇・伊東甲子太郎(谷原章介)という二人の師匠がおり、沖田という親友がおり(+左之助でやんちゃトリオとなる)、さらに、派閥の壁を越えて野口健司という友人もいた。
沖田が一時芹沢に接近したり、平助と野口という派閥の壁を越えたラインを描いたということも、今回の三谷版新選組の新しい提案ではないか。
『新選組!』をもっと楽しく観よう会 目次
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20041115
NHK大河ドラマ『義経』を脇役中心に観ていくレポート 目次
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20050114