探偵小説好きな人びとの一つの傾向として、ルパンが好きな人はホームズがきらい、ホームズが大好きな人はルパンが大きらい、ということがあるようです。
それには、おたがいのさまざまな特徴が理由になっているのですが、その一つに、フランス人としてのルパンのタイプとイギリス人としてのホームズのタイプがあると思います。
『怪盗ルパン―少年少女世界名作の森〈13〉』訳者榊原晃三の筆による、巻末の読書案内・ルパンとホームズ の冒頭です。
果たして本当にルパン派とホームズ派に分かれるのだろうか。
ルパンとホームズのシリーズに江戸川乱歩の少年探偵団シリーズを加えた三大シリーズは、小学生時代に読んでおくべき必読シリーズでしょう。
http://nazede.gozaru.jp/mmm011.html
でも夏休みに読んでおきたい本として推薦したことあります。
しかし上のリンク先で書いたように、結局本格的に読む機会はなかったのです。
いずれ完訳版で執筆順に読んでやる、と完璧主義でいるうちに、とうとう読む機会を失ってしまったのです。
しかしそれでもシャーロック・ホームズの方は何とか揃えることができたのです。
中学時代、BBC製作のTVシリーズ『シャーロック・ホームズの冒険』と宮崎駿の『名探偵ホームズ』が同じ頃放映されるという嬉しい出来事がありました。
ドラマやアニメを見る前に完訳版で原作を知っておこう、という完璧主義のおかげで必死でかき集め、何とか大部分を揃えることができたのです。
『シャーロック・ホームズの事件簿』は当時唯一発行されていた新潮文庫版で、また、新潮文庫にしかないタイトル『シャーロック・ホームズの叡智 (新潮文庫)』も揃えました。
ただ、『恐怖の谷』だけは集めることができませんでした。
『恐怖の谷』『事件簿』『叡智』は読むことができずに積ん読になりましたが、他の本は刊行順に読むことができ、
「BBCのドラマ版は原作に忠実だなあ」
と思いながら見ることができました。
こんな風にシャーロック・ホームズのシリーズは分かりやすい。
どれだけ作品があってどんな順番で書かれたのか比較的よく分かるので、刊行順に読むことができました。
一方ルパンシリーズの方は、分かりにくいというイメージがありました。
創元推理文庫(当時はルパン全集はなかった)も新潮文庫も全作品を収録しているようには思えなかったし、新潮文庫には新ルパンの冒険シリーズというのも収録されていた。
今調べてみると、定番だったポプラ社の南洋一郎訳・ルパンシリーズには、翻訳者の創作作品も入っているようです。
こんな風に全作品の把握がしにくいというところに、全訳・刊行順という完璧主義の読書法にこだわった私が挫折した原因がありました。
(今なら本の情報はインターネットで簡単に分かりますが、当時はインターネットという便利なものはなかったのです)
だから私はルパン派かホームズ派かという以前に、ルパンシリーズを読んでいないので比べようありません。
しかし現在、映画『ルパン』公開中。
(公式サイト) http://www.arsene-lupin.jp/
何とか見に行きたい。
ルパンシリーズの色々な作品が含まれた複雑な作品のようなので、それまでにできるだけ多くの作品を読んで予習しておこうと思う。
私が出しているメルマガ
『少年少女世界の名作文学ブログ・速読み版』 http://nazede.gozaru.jp/mmm.html
では、次回はルパンシリーズをテーマにするつもりである。
ところで、はてなキーワードで映画『ルパン』がない。
ルパンシリーズ初心者の私が作成するわけにはいかないので、誰かルパンファンの方が作成してくれないものか。
ところで私は旺文社文庫が好きだったので、入手することができた『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン』『ルパンの告白』『ルパン対ホームズ』は、旺文社文庫版で読んでいます。
(旺文社文庫には他に『奇岩城』『水晶の栓』があるが未入手)
また、『奇岩城』は定評あるあかね書房の少年少女世界推理文学全集版で読みました。
http://www.fukkan.com/vote.php3?no=8066
短編集である『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン』『ルパンの告白』はほとんど覚えておらず、長編である『ルパン対ホームズ』『奇岩城』は、複雑怪奇な分かりにくい展開で、読み終えてもまだ解き明かされていない謎が残っているような感じがして、あまりすっきりしない読後感が残っています。
謎を解明してスパッと明快に終わるホームズ物と、謎解きだけでなく恋愛などの人間ドラマの要素もあるルパン物の違いでしょうか。
こんなことを書くとホームズ派のようになってしまう。
この少ない読書経験から来るルパンシリーズへの苦手意識を今回、払拭して見直してみたい。
さすがに完訳版を読む時間はないので、ポプラ社の『シリーズ怪盗ルパン』に挑戦するつもりです。
(ポプラ社の『シリーズ怪盗ルパン』とは?
南洋一郎が翻訳した『怪盗ルパン全集』(全30巻)から作品を厳選して新たに編集された20巻の全集。
原作の発表順に巻が並んでいる。)