OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

第48回「流山」(12/5)〜その場で最も真っ直ぐで誠実な行動

 昨日の続きとなります。掲載の関係で一部番組の進行と前後している部分もありますが。
   ◇ ◆ ◇
 沖田総司藤原竜也)を見舞って帰っていく近藤局長。
「ほんまにまた徳川様の世が来るんやろか」
とのお孝(優香)の問いに沖田は
「来るわけなんかないじゃないか。
 そんなこと、あの人だって分かってる」
 ここでは、沖田も近藤局長も、勝ち目がないことを知りながら意地で戦っているように描かれている。
 史実ではどうだったのだろうか。最後まで勝利を信じていたのだろうか。
 沖田は病気とも勝ち目のない戦いをしなければならない。
   ◇ ◆ ◇(⇒⇒)
 一方、やはり江戸に帰ってきていた永倉と原田(山本太郎)。あの後すぐに会津に行かなかったのか。
 しるこ屋の前で永倉は市川宇八郎(八十田勇一)に再会。
 市川もあれだけ死にそうにしていて、形見を許婚に渡してくれ、と永倉に託したくらいなのに、いつの間にか元気に回復している。
 そしてそのまま許婚の所へは行かずに江戸で養子になっていたとは。
 人生、こんなあっけらかんとした奴がなぜか得をすることが往々にある。
 忘れられていたのに忘れていなかったおその(小西美帆)や、あれだけ尽くしても最後には他人の名を聞かされた永倉の面目はどうなるのだ。
   ◇ ◆ ◇
 沖田を見舞う斎藤一。もし薩長側にいて京でお前と戦っていれば、
「俺は間違いなくお前に負けていたよ」
と沖田に花を持たせる斎藤。
 新選組の中でも特に強かったのは斎藤、沖田、永倉だというのを読んだことがある。
新選組!』では、斎藤の敗北シーンは3回。
 1回目は、松原忠司甲本雅裕)の入隊試験の時。松原強し!
 2回目は、大坂町奉行の悪代官・内山彦次郎(ささきいさお)との勢力争いの際、多勢に無勢で捕まってしまった。
 3回目は、何と鞍馬天狗バージョンの滝本捨助中村獅童)に危うく串刺しにされそうになり、「で、できる」と。
 御陵衛士との抗争の際には、平助には軽く勝つも、篠原(だったか?)には今一つてこずっている所に双方助太刀が来て引き分けた。
 あと、初登場時の旧姓時代には芹沢鴨佐藤浩市)と遭遇。この時は芹沢の剣幕に押されていた。この回では、幕府の捕り手に追われるシーンもあった。
 また、芹沢暗殺の際には、芹沢暗殺実行部隊(特に原田)と一色触発になるも、近藤局長の命令により回避されたこともある。
 へぇ〜〜って、これで合っているのだろうか。
 また、丁度この、斎藤が沖田を見舞っている頃、流山では有馬藤太(古田新太)の視察を受けていたのだろうか。有馬登場のシーンでは斎藤はいなかったような気がする。軍事訓練を休んで沖田の見舞いに来ていたのだろうか。
   ◇ ◆ ◇
 帰り支度をし、玄関で近藤と土方の見送りを受ける有馬。
 しかし、流山の駐屯地を取り巻いていた官軍の中に、京で近藤勇香取慎吾)を見た、と言う者がおり、さすがの有馬も名目上、近藤を取り調べざるを得ない羽目になる。
「ここはおいを信じてたもんせ」
と言う有馬の言葉を信じ、近藤局長は出頭の準備をする。
 中では、隊士が近藤局長を引き止める。ここで戦って死んでもいい、と言う隊士に局長
「死んではならん。それでは無駄死にだ」
 しかし、今ここで戦って死ぬことも、官軍に負けると分かっている戦を仕掛けて死ぬことも無駄死にだと思うのですが。
「俺が近藤であることを有馬殿は見抜いている。その上で力になってくれると言っている。
 俺はあの人を信じる」
と、近藤節全開。いつもはこれで切り抜けてきたが、今度はどうか……。
   ◇ ◆ ◇
 近藤局長、養子の周平(浅利陽介)に言い聞かせる。
「おれは勝沼の戦いではっきり分かった。この戦が終われば世の中が大きく変わる。
 お前のような男が力を発揮できる時代がやって来るんだ。
 おれ達の時代はもう終わった。これから先はお前が切り開け。
 今まで以上に勉学に励み、学んだことを生かして身を立てろ。
 そのためには命を惜しめ。
 それが我が息子への父からの願いだ。
 いいな、近藤周平」
 近藤勇は、武力の時代は終わることを感じていた。
 そして、自分達が時代に遅れた人間であることを知っていた。
 そして、自分達の戦いが無駄なものだと悟っていた。
 もちろん、史実の近藤勇がここまで悟っていたかどうかは分からない。
 最後まで勝つことを信じていたかもしれない。
 この近藤勇は脚色があるかも知れないが、それでもこの近藤は興味深いキャラクターである。
 こんな近藤勇もあっていいと思うが、しかし、そこまで考えるのなら、自分や土方や他の新選組隊士も大事にしてほしいと思うのだ。
 ここまで考えて周平を新時代で活躍させようと思っているのなら、なぜ自分や他の隊士をも新時代で活躍させようと思わないのだろう。
 自分たちは時代遅れだから戦って死ぬべきだ、と思い込んでいるのは残念である。
 勝ち負けは時の運。負けたことを水に流して新しい道で出発しようと思い直してほしかった。
   ◇ ◆ ◇
 部隊を先に帰して一人で近藤局長を待っていた有馬。二人で官軍陣地に向かう時、何を話したのだろうか。
   ◇ ◆ ◇
 大軍監・香川敬三(松本きょうじ)と土佐の上田楠次(山崎一)に取り調べを受ける近藤局長。
「そろそろ帰しては……」
と取りなす有馬藤太(古田新太)。
 やはり上田楠次は曲者だった。
「天は我らに味方した。我が隊に新選組出身の者がおります」
と、加納鷲雄(小原雅人)を連れて来る。
 ここであの悲劇の御陵衛士との抗争のツケが回ってくるとは。こんな時に因縁深い御陵衛士の生き残りに再会するとは。
 仲間割れは後後響いてくるので、避けたいところである。
 近藤局長を見た加納、当惑の表情である。どう反応するべきか迷っている様子。
 やがて近藤局長、笑みを浮かべ
「加納君、お久しぶりです」
「ご無沙汰しております、局長」
と、加納も両手をついて頭を下げる。
   ◇ ◆ ◇
 史実ではどうだったかは知らない。
 しかし近藤局長と加納の再会をこんな風に描いた三谷版新選組、素晴らしいと思う。
 加納にしてみれば、師匠の伊東甲子太郎を殺された憎き新選組である。
 見つけるなり、正体を暴いて伊東の敵を取ってもおかしくはない。
 それを、あえてしなくて迷うように描いたこと。
(今回の『新選組!』内での整合性を考えてみると、加納が伊東と別れる際、伊東は近藤局長をだまし討ちすることになっていた。
 だから今回の加納にしてみれば、伊東が新選組に殺されたといっても、だまし討ちがばれて返り討ちにされた、ということになるのだが。)
 そして、かつて自分を裏切った部下の前でしらをきらずに堂々と名を呼んで挨拶した近藤局長。
 それに応えて両手をついて挨拶を返した加納。
 新選組から別れていったとはいえ、かつての師弟関係(永倉流に言うなら同士関係)を思い出す再会シーンである。
 史実はどうであれ、ここで近藤局長と加納の再会がこんな風に描かれたことは、三谷版新選組を象徴するかのシーンである。
   ◇ ◆ ◇
 しかし、近藤局長が自分から正体を明かしてしまったのは、これでよかったのだろうか。
 出頭前、土方は、皆んな局長のために生きてきた、局長が死ねばみんなこれからどうしていくか分からない、絶対に生きて帰ってきてくれ、嘘をつき通して帰ってきてくれ、と言っていた。
 しかし、加納に会ってこう簡単に白状してしまうと、嘘をつき通して帰ってきてくれ、と言った土方や隊士達はどうなるのだろうか。
 確かに、加納に対しては正体を明かすことが誠実の証明である。しかし、多くの新選組隊士にとっては、嘘をつきとおすことが誠実となる。
 加納には不誠実でも、加納には何と思われようが、しらを切り通すこともできた。
 目的のためには手段を選ばず、後のことを考えてその場であえて悪役になる、というタイプの土方なら、そのような行動を取ったかもしれない。
 しかし、そのような往生際の悪い手段を取っても、加納が正体を明かせば無駄になり、双方に後味の悪い感情を残す。
 近藤勇は、その場で最も真っ直ぐで誠実な行動を取った。
   ◇ ◆ ◇
 いよいよ次回は最終回。どのような最後を迎えるか、最後を見届けましょう。

(クリックアンケートコーナー)

 いつものように脚本と演技を質問するパターンで、有馬藤太(古田新太)について聞こうと思いましたが、幾つかの『新選組!』感想ブログを回ってみて、結果が見えてきました。これはもう、どちらも満足、で決まりでしょう。あえて聞くのも面白くない。
 ということで、滝本捨助中村獅童)について伺います。
 三谷版新選組の特徴として、近藤勇坂本龍馬が旧知という点と、滝本捨助という架空のキャラクターが登場する点が目を引きます。
 龍馬の設定については、以前クローズアンケートを行い、支持を得ていることを知りました。
   http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20041027
 今回、捨助について伺います。
 これも、『新選組!』感想サイトを回った印象から、視聴者からは好意的な回答が寄せられることが予想されます。
 そこで、クリックアンケートの公式マガジンに掲載される公開アンケート方式で、番組視聴も合わせて聞いてみることにします。
 多分、1番目と4番目の選択肢が多くなることが予想されます。
新選組!』ファンの皆様の多くの御投票、よろしくお願い申し上げます。

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
NHK大河ドラマ『新選組!』において、架空の人物“滝本捨助(中村獅童)”が登場して事件に絡んできたことについて、どう思いますか。
『新選組!』視聴の有無も合わせてお答え下さい。

 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
 (途中経過及び結果は http://clickenquete.com/a/r.php?Q0002387C1c69 )

(また、現在以下のアンケートを実施中です。こちらもご協力お願いします。)

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
NHK大河ドラマで活躍中の永倉新八について、脚本(三谷幸喜)、演技(山口智充)について、どう思いますか。
Powered By クリックアンケート
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 (途中経過及び結果は http://clickenquete.com/a/r.php?Q0002191C7256 )

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
NHK大河ドラマで活躍中の原田左之助について、脚本(三谷幸喜)、演技(山本太郎)について、どう思いますか。
Powered By クリックアンケート
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 (途中経過及び結果は http://clickenquete.com/a/r.php?Q0002192C8454 )

新選組!』をもっと楽しく観よう会 目次
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20041115