OLDIES 三丁目のブログ

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第49回(最終回)「愛しき友よ」(12/12)〜近藤局長の死の意味

 最終回の録画をついに観ることができ、とうとう私にとっても『新選組!』が最終回を迎えました。
 官軍に捕まった近藤勇香取慎吾)。
 土佐藩士・谷守部(粟根まこと)が激しく追及する。土佐藩は、坂本龍馬江口洋介)暗殺は新選組のしわざだと思っているらしく、新選組を激しく憎んでいる。この大河では薩摩藩黒幕説を採用していたので、もしその真相がもれればえらいことになる。
 前回に続き、有馬藤太(古田新太)が近藤局長をかばう。
「おいどん達は兵の命を預かる身。人の道に外れた行いは慎むべきでごわす。
 敵方の将を一時の感情で勝手に罰するなんぞもってのほか」
と言ってるが、味方の将を勝手に罰したのが有馬のいる薩摩藩西郷隆盛宇梶剛士)や大久保利通保村大和)だと知ったら驚くだろうな。
 ま、戦況が不確定な時期と、大勢が明らかになった時期の違いもあるが。非常時に手段を選べない、衣食足りて礼節を知るということか。
 だからこそ、勝ちが明らかになった場合には敗者に温情をかけるようであってほしい。
 甲陽鎮撫隊が幕府の命ではなく、新選組独断でおこなったもの、という主張をすることが、近藤や徳川幕府にとってどんな意味があるのか、こういうことに弱い私にはよく分からなかった。徳川家に罪が及ばないように、という近藤のはからいなのだろうか。
   ◇ ◆ ◇
 流山の新選組屯所では、今後の対応について残ったメンバーが話し合っている。
 滝本捨助中村獅童)は、武力でもって近藤局長を奪回しようとしない新選組に見切りをつけ、脱退。
 この時なぜか、去ろうとする捨助の前に、大石鍬次郎(根本慎太郎)が立ちふさがるが、「どけっ」と倒されてしまった。
 大石はなぜ立ち上がったのだろうか。捨助を止めようとしたのだろうか。それとも、一緒に行動しようとしたのだろうか。
 捨助に続いて、尾形俊太郎(飯田基祐)も脱退。
「私はここで失礼したいのですが。土方さん、法度はまだ残っているんでしょうか。」
「行きたきゃ勝手に行きな」
「ここまででしょう。落ち着いて考えれば新選組に再起の道はない。私としても残念だが。
 近藤局長がご無事であることお祈りしています」
 島田魁(照英)は、
「最後までなじめない人だった」
 去る者が残る者に、この組織に再起の道はない、と言い、残った者が「なじめない人だった」と言う別れは悲しい。
 状況が良い時は少々のほころびはカバーできるが、状況が悪くなった時は、小さなほころびでも命取りになる。
 尾形は、大坂から江戸へ向かう船の中でも、新選組の将来について不安なことを言っていた。
 永倉新八山口智充)や原田左之助山本太郎)に続いて脱退していても不思議ではない状況だったが、斎藤一オダギリジョー)の絶叫パフォーマンスでその機会を逃してしまった。(その後新選組幹部と一緒に斎藤を冷やかして一人だけ首を閉められていたのが気の毒だった。)
   ◇ ◆ ◇
 土方歳三山本耕史)は、江戸の勝海舟野田秀樹)に、近藤の助命嘆願に行くが、勝は取り合わない。
「言っとくけど、近藤の死は無駄死になんかじゃねえんだ。
 やつは薩摩と長州と土佐の恨みを一身に受けようとしてるんだ。
 徳川に対する憎しみの一切を一人で受け止めようとしてるんだ。
 近藤が死ぬことで大勢の命が助かる。
 そんなことは新選組近藤勇の他に誰ができるんだ。
 本望じゃねえのかい。
 土方、どうせ死ぬ気でいるんなら、オレの頼みを聞いてくれないか。
 北へ行ってくれねえか」
「北?」
「榎本武明を知ってるか」
「ああ」
薩長のやり方に納得をしない連中が一矢報いようと画策している。
 ま、恭順を貫いた慶喜公にも皆様ご不満のようだ。
 遅かれ早かれまた戦になる。お前、それに加われ。
 ま、言っとくけど、徳川の時代は終わった。もう一度引っくり返すことなんてできやしねえさ。
 でもなあ、幕府にも骨のあるやつがいたってことをちったあ歴史に残しておきてえじゃねえか。
 行ってやれよ。何たって泣く子も黙る新選組の鬼副長だ。みんなも喜ぶと思うぜ。」

 折角の野田海舟の御演説なのだが、私は大いに不満がある。
 近藤に薩長のうらみを集めるなんて言ってるが、生け贄を作る論理には納得できない。
 そもそも、そのような役は元来徳川家の重要人物、例えば徳川慶喜が引き受けるべきであろう。
 その後日本の歴史でも色々な悪事が明らかになったが、部下が犠牲になって巨悪が生き延びたり、一部の生け贄が切られるだけで大部分の悪は温存されたままといったことが多くはなかったか。
 また、幕府にも骨のあるやつがいたことを証明するために負けると分かっている内戦を進めることは賛成できない。
 坂本龍馬はこういうことを嫌うのではないか。
 こういった論法が成り立つのなら、徹底抗戦する忠臣を見殺しにして生き延びた徳川慶喜歴史的評価はどうなるのか。
 自分は戦おうとしないで安全地帯にいて、他人に命を捨てることを要求する論理は納得できない。
 史実の勝海舟がどう考えていたかは分からないが。

……ということで、長くなったので、明日に続きます。


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