この項を書いているのは29日(水)ですが、年内に書いておきたいことがたまっているため、26日の部分にアップロードしておきます。
一年間応援してきて視聴レポートまで書いてきたのだから、総集編までレポートを書いておきたいので、書きます。
今回の総集編は一日で放映してしまった。今までの大河では、年末に数回に渡って連続で放送するのが通例だったのだが。
一日でやってしまうより、慣例通り分けてやってほしかった。
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第一部放映時には部屋にいたのだが、タイマー録画に安心してTVをつけていなかった。
しかし、タイマー録画に失敗していたようで、最初の数分は録画に失敗していた。途中でビデオが回っていないことに気付き、慌てて録画することができた。タイマー録画で2つを予約するという慣れない作業をしたからだった。(第一部と第二・三部の間に中断があったので)
オープニングの後、近藤勇(香取慎吾)と桂小五郎(石黒賢)がケンカするところから見ることができた。
番組第1回冒頭の、新撰組総動員で桂小五郎を襲い、逃げられる大捕り物シーンは放送されたのだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20041027
でも書いたが、このシーンはいつ頃のエピソードなんだろうか。
今回の放送では短かかった新撰組が最も羽振りが良かった時代のエピソードと思われます。
桂小五郎が抜け道を通って逃げていたので、池田屋事件ではないでしょう。
実際の第28回「そして池田屋へ」でも、こんなシーンはなかった。
沖田総司(藤原竜也)の描写から考察すると、沖田が人を斬ることに踏ん切りをつけ、芹沢鴨(佐藤浩市)との複雑な関係も清算し、吹っ切れて恐れを知らぬ時期のようだったように思う(そしてまだ血を吐いていない)。とすると池田屋事件より前か。
とすると、龍馬はまだ近藤に絶縁宣言していないということになる。
山南、河合、観柳斎といった懐かしの顔もあったような気がする。
番組を最終回まで見た今、懐かしの隊士が総登場の活躍シーンを見るのも感慨深いと楽しみにしていたのだが。
もちろん、襲う者ばかりに感情移入するのも危険なことで、襲われた側の立場に立ってみればとんでもないシーンなのだが。
物語を見る時は、一面的に見るのでなしに、反対側の立場になって考える想像力も忘れてはならないと思う。
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近藤&土方、坂本龍馬(江口洋介)に誘われ、佐久間象山(石坂浩二)にお供して黒船を見に行く。
龍馬のスケールの大きさを感じるエピソードだ。
「あれ(黒船)を見たら変わるぜよ、ものの見方が」
と龍馬。
今の時代、ものの見方が変わる出来事といったら何だろうか。
阪神淡路大震災を体験した妹が、考え方が変わったと言っていたが、こんな出来事で変わるのは困る。
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今回の『新撰組!』は、隊内での出来事が中心に描かれていて、日本史上の出来事はオープニング前に軽く触れられるに留まることが多かった。しかしよく考えると、放送第1回で黒船を描いていたのだ。
世界の中の日本、こんな時代に何をすればいいのか、という、大きなスケールがテーマだった。
そう、近藤勇は煩悶し、成長していきます。土方歳三も成長します。
沖田総司も、病気という壁に当たったことにより、考えを深めていきます。
滝本捨助(中村獅童)も成長します。
若者が悩み、成長していく過程を一年間かけて描いた群像劇でした。
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総集編なので仕方ないが、やはり省略されたシーンも多い。
私としては、藤堂平助(中村勘太郎)が試衛館に移ってくる際、沖田総司と加納鷲雄(小原雅人)が試合で決着をつけるエピソードを入れてほしかった。
言うまでもなく加納は第48回「流山」で重要な役回りを果たす人物である。
この加納が初期に登場時、沖田に負けたことを潔く認め、屁理屈を言い張る師の伊東甲子太郎(谷原章介)を諌めていたとは、後の出来事を知った後で見直すと、感慨深いものがある。ぜひ加納にスポットライトを当ててほしかった。
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しかし、これだけの総集編でも、心に残る名言が次々に出てくる。
「面白いのう。人は同じものを見、違うことを考える」(佐久間象山)
「生きたいという思いがあなたより弱かった。ただそれだけのこと」(土方為次郎)
「風が変わり始めていますよ」
から始まり、
「二人の力でこの時代と切り結ぶのだ」
に至る、月に照らされながらの土方為次郎(栗塚旭)の語り。
「雨水も集まれば、石を押し流す」(清川八郎(白井晃))
「子はなあ、親に迷惑をかけるもんだ。
親は子に振り回され、子をいとおしく思う。
ようやく本当の親子になれた気がするぞ」(近藤周助(田中邦衛))
史実と違う、とか、ふざけている、と批判もあったようだが、なかなかどうして、文学的なセリフが豊富だ。
文豪が描いた名作文学に劣っていないのではないか。
親の心境を言うセリフなんて、含蓄に富んでいて、老大家が書いたのではないかと思うくらいだ。
三谷幸喜って、そんなに年をとっていたのだろうか。
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「尽忠報国の志、あっぱれなり!」
という掛け声、桜田門外の変の後、芹沢鴨が言っていたんですね。
言うまでもなくこの掛け声、第49回(最終回)「愛しき友よ」で、近藤局長が斬首される直前、原田佐之助(山本太郎)が放った一声。
先に芹沢が使っていたとは。
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近藤勇試衛館道場主襲名披露紅白試合で、沖田総司が原田、永倉、平助、山南を次々と撃破。
一説には新撰組最強と言われている永倉にもあっさり勝っているところがすごい。山南さんにもリベンジを果たしている。
ええっと、ノーカット版ではこの後どうなったんだろうか。
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京都出発を前にした近藤ふで(野際陽子)との別れも印象に残るシーンだ。
「やっと分かりました。あなたは私です。」
「あなたは今の自分に折り合いをつけず、あるべき姿を求めて生きてきた。
私もずっとそうしてきた。
よくがんばりました」
この、「よくがんばりました」は、最終回の「近藤勇、よく戦いました」と対を成しているんだろう。
最終回を見た後で見直すと、より感慨深いものがある。
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ラストにちょっとだけ放映された座談会。
藤原竜也のTシャツに「剛州」の字が。芹沢派の平間重助を演じていた方の名だ。一体何で?
座談会には三谷幸喜さんがマイクを持って香取慎吾の隣に座っていたのに、喋るシーンはなかったのが残念。
堺雅人が山南敬助について、最初は敵役だと思っていた、と言っていた。
確かに、今改めて初期の山南敬助を見ると、少々尖って見えた。
この後堺雅人が言うように、他のメンバーの影響で成長していくのだろうか。
しかし山南総長が切腹してからが長く、山南不在の新選組に慣れていたので、今改めて存命中の頃のシーンを見ると、非常に懐かしさを感じる。
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……ということで、最終回まで一通り見た後で改めて総集編を見ると、当時見ていた頃には気付かなかった見どころに気付いたりするなど、また違った楽しみ方ができます。
総集編第二部と第三部についても、また見ていくつもりであります。
『新選組!』をもっと楽しく観よう会 目次
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20041115