史実の新選組と同じく、新選組結成後の第三部は駆け足で走り過ぎた。
オープニング前には池田屋事件が終わり、オープニングが終わってからは山南敬助(堺雅人)の切腹である。
「しかし、それ(近藤勇と新選組)はもう自分の手の届かない所に行ってしまった。
ここにはもう、私のいるべき場所はない」
という山南の言葉が寂しい。
このような心境になればやる気がなくなるのも無理はない。
現代社会に生きる我々にも身につまされる言葉である。
それでも無理やりいるべき場所や存在意義を見つけていかねばならないのも現実であるが。
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◇ ◆ ◇
松原や河合らの死も一瞬で終わってしまった。
沖田総司(藤原竜也)と藤堂平助(中村勘太郎)の別れのシーンは長く取られていた。
番組初期には幼かった沖田も、京で色々な経験をして労咳になるなどして、深みが出てきた。
一年かけて放映する大河ドラマだからこそ、登場人物や役者の成長をじっくりと描けた。
藤堂平助も、二人の師の屈辱的なシーンに共に遭遇し、天才肌の沖田へのコンプレックスに悩み、また、二人の師の間で揺れ動いた。
近藤勇(香取慎吾)が伊東甲子太郎(谷原章介)を説得する名場面も時間を取って収録されていた。
この時の近藤局長のセリフ、いいですね。
新選組が守ろうとしている徳川幕府も身分制であるし、史実の近藤勇がこのようなことを考えていたかどうかは分からない。
しかし、ドラマの演出としては効果的なセリフである。
それを聞く時の伊東の表情の変化にも注目したい。
◇ ◆ ◇
最後の山場、有馬藤太(古田新太)と近藤局長との対決場面は惜しくもカットされていた。
有馬藤太については反響が大きかったようで、私のブログにも「有馬藤太」のキーワードで検索サイト経由で訪れて下さった方が多かったようだ。
このシーンについても、ぜひ収録してほしかったが、さすがに時間的に無理だったのだろう。
刀が落ちてきて画面が暗くなるのは本放送と同じ。
そして再び沖田みつ(沢口靖子)が登場する。
もう夕暮れで、子ども達はいない。
みつは、コルクのシャンパン栓を取り出して眺める。
黒船を見に行った時の戦利品。近藤も土方も、この戦利品を見て若き日の決意を思い出していた。
私にはこれに匹敵する“お守り”はあったろうか。
それにしてもこのコルク栓、どういうルートでおみつさんの手に渡ったのだろうか。
◇ ◆ ◇
本当に駆け足で終わってしまった総集編。
色々言われたが、一年間に渡って多くの人を夢中にさせてきたことは確か。
視聴率こそ少ないといわれたが、大河史上に残る名作であり、記憶に残る名作ではないでしょうか。
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