OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

徳川綱吉 イヌと呼ばれた男(2004.12.28)

 江戸城内の因習を打破して改革を決行。庶民のために善政を行おうと決意した徳川綱吉草なぎ剛)。
 しかしそのために断行した政策が犬や動物を殺すな、という生類哀れみの令。
 きっかけは、大奥のお気に入りの松子(深田恭子)とお忍びで夜の江戸の町を歩いた時。
 武士が刀の試し切りのため犬を殺し、それに飽き足らなくなると人まで殺すようになる、だから人は夜に出歩かない、と聞いたことである。
 動物の命を粗末にしているから人の命も粗末にされる、という論理らしい。
 しかし、何だか少しズレている。
 犬を大切にするというのは、人の命を大切にするための経過点であるはずなのに、なぜか主客転倒してそちらが目的のようになっている。
 前半は、このちょっとばかしズレた、しかし殺生を好まない優しい将軍をほんわかと描いている。(しかし、殺生のシーンは意外と生々しい)
 そして、中盤からは、江戸城内での描写と赤穂浪士忠臣蔵の話が淡々と進んでいく。
 浅野内匠頭吉良上野介陣内孝則(特別出演)と竹中直人が演じているとは、豪華だ。
 この二人の絡みをもっと見たかった。
 一方、重要な役であるはずの柳沢吉保田辺誠一)と大石内蔵助堤真一)の演技が意外と淡々としている感じがした。
(私はねちっこい演技が好みなのだ。)
 忠臣蔵には色々な解釈がある。
 今回の忠臣蔵は、徳川綱吉の立場から見ているという視点が特筆される。
 綱吉自らが大石に仇討ちを止めるよう説得する場面が見所。