朝日新聞6月11日「私の視点」というコラムに、
『◆図書館 行革推進で祝日も開館』
という、清水聖士鎌ケ谷市長のコラムが掲載された。
(要点)千葉県鎌ケ谷市の図書館改革
1)祝日閉館が開館になった
2)閉館時間を午後5時から午後8時まで延長
はっきり言って、これは便利なことである。
働く社会人にとって、図書館を利用する機会は休日くらいである。
祝日まで休まれては、日曜くらいしか利用することはできない。
祝日開館も便利だが、どちらかというと、平日夜の仕事帰りに利用できると非常に便利である。
だからひとまずこの市長の業績として認めたい。
しかし、その後の説明を読むと、何だか複雑な気分になってきた。
最初はぼんやりとした違和感だったが、やがてそれは2つの疑問点に収束していった。
浦安図書館にできること―図書館アイデンティティ (図書館の現場)
「こうした市民サービスが可能になったのは、私立図書館の運営を民間企業に任せたからだ」
と誇らし気に書いている。
今回の措置は、開館時間の延長という市民サービス向上につながったが、その前提となったのが職員人件費の大幅削減である。昨年度まで中央図書館には市の職員が8人勤務していたが、この4月からは半分になった。昨年度までの人員体制では祝日の開館は実現できなかった。市の職員が時間外に働くと大きなコスト増につながるからだ。民間企業に運営を任せたことにより、開館時間の延長を実行した上でなお、1千万円前後の人件費が前年比で削減される見通しだ。
自慢げに書いているが、皮肉にとらえると、要は私は図書館など文化・学問に関する支出をこれだけ削減しました、ということなのである。
文化・学問や医療・福祉などは市民の利益になるのだから、支出が増えても一向に構わないのである。
そのための地方自治体であり、国なのではないか。
何でリストラの対象の真っ先に図書館を持ってきたのか。
もっと他にやるべきことはなかったのだろうか。
そして思ったことは、もう一つ。
それほどまでに公務員とは高給で恵まれているのか、一般企業は薄給でこき使われているのか、ということである。
そもそも公務員の給料とは、労働基準法やら何たらとかいう法律に基づいているのではないか。
有給休暇も法律通り消化できる。
これは、恵まれた身分とも言えるし、法律で保証された最低限の基準ともいえます。
図書館の開館時間が長くなってなおかつコストを削減できたということは、民間企業の職員が公務員より格段に低い賃金で働いている、ということになる。
給料はどんどん安く、安く、安く。
仕事はどんどんハードに、ハードに、ハードに。
私の職場でも、入社当時は残業代はきっちりとついていました。
ところが突然何の説明もなく、残業手当てが一律15分分ずつ出なくなりました。
手取りは上がらないどころか、各種税金等の値上げのために減っていっているのが現状です。
時間外に働いて手当てが出ると思うのはおかしいことだろうか。
「税収の増加や、市内在住者の雇用確保といった効果が期待される」
とこの市長は書いています。
しかし、図書館の民営化で、より給料が安い民間企業が働くことになる。
国民の給料はどんどん減っていくわけです。
100円ショップが流行しています。
こんな立派な商品が何で100円で売れるのでしょうか。
その裏には、働いた見返りが少ない、という事実があるのでしょう。
100円ショップの流行で物の価値がどんどん減っていく。
物は安くなり、使い捨てとなっていく。
しかしそれと同時に、人間が働いた価値の低下や、人間の使い捨てというような事態につながらないか?
物の価値、お金の価値、人間の価値がどんどん下がっていっているような気がする。
行政の責任を確保した上で、「民」がさまざまな事業の主体となることこそ、今、求められているのだと思う。
今はやりの民営化か(図書館の民間委託、と言うそうです)。
それは労働条件がより劣悪になるということでもある。
長い目で見ると、国力全体が疲弊することにならないか。
先に起こったJRでの惨事が暗示しているように思うのだが。
未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)
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