OLDIES 三丁目のブログ

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ジェット気流とエスペラント

 朝日新聞日曜be3月25日「日曜ナントカ学」が、ジェット気流をテーマにしていた。
 飛行機の飛行は、風の流れに影響を受け、風に乗るのと向かい風になるのとでは時間や燃料などに大きな違いが出るという。
 帆船じゃあるまいし、飛行機と風のことなど今まで思いもつかなかったが、そう言われてみると確かにそうだろう。自転車で通勤しているが、強い向かい風が吹いていると確かにスピードが出ないものである。
 日本―ホノルル間の飛行はジェット気流に影響を受ける。このジェット気流は季節によって変わるので、飛行機のダイヤも夏用と冬用があるのだそうだ。
 最近ジェット気流は昔と比べて北にずれてきており、地球の温暖化の影響かという説もあるそうである。
 
 今までジェット気流が世界に知られるきっかけは、B29の日本空襲だと言われてきた。B29が予定した約9000メートルからの空襲はしばしばジェット気流により失敗したため、戦術は低空からの攻撃に変化された。
 この日本爆撃より前に、日本人によってジェット気流の研究が進んでいたことが最近再発見されている。
 
 高層気象台の初代台長・大石和三郎(1874〜1950)は気球を経緯儀で観測するという方法で上空の風速を観測。研究成果を1926年にエスペラントの論文で発表し、世界の研究者に送ったが相手にされなかったという。
 
 エスペラントの論文で発表、というところが面白い。
 今では論文の発表は英語で発表というのが当たり前であるが、当時はエスペラントで発表、というチャンネルがあったのだろうか。当然、発表者もエスペラントをマスターしているし、それを読む対象者として、エスペラントをマスターしている専門家が多くいるということでもある。
 当時はエスペラントをマスターした専門家が多く存在し、研究成果をエスペラントで発表することがよくあることだったということだろうか。
 宮沢賢治は自分の作品を世界に向けて発信するためにエスペラントを学んだということを読んだことがある。当時はエスペラントで世界に発信するという選択肢があったのかもしれない。
 
 ジェット気流の研究はエスペラントを使って世界の研究者に発信されたが、相手にされなかったという。
 もしこれが英語やドイツ語などで発表されていたらどのような結果がもたらされたであろう。
 しかしこれをもって当時のエスペラントの影響力を過小に見るのもフェアではないだろう。基礎科学の成果は応用されるまでに時間がかかると言われている。日本上空などに吹く気流の研究は、飛行機の運行が一般的になるなど必要性が出てくるまで注目されにくいテーマではないだろうか。
 
 世界では注目されなかったというジェット気流の研究であるが、日本国内では広く知られることになったのだろうか。同じ記事では、「日本軍は風船爆弾ジェット気流を利用して飛ばしていた」「高層の風の研究は米国を上回っていた」という記述がある。風船爆弾ジェット気流の研究を応用したものなのだろうか。
 
ジェット気流 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E6%B0%97%E6%B5%81
エスペラント 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88
緑星旗 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%91%E6%98%9F%E6%97%97
財団法人 日本エスペラント学会 http://www.jei.or.jp/
後藤斉のウェブサイト エスペラントとは?
  http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/espj.html
  




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