OLDIES 三丁目のブログ

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三国志諸葛孔明 臥竜動乱の章


 コンビニで見つけたペーパーバックのコミックス。以前は“ワンコインコミックス”と言われていたが、最近はもっと分厚くなり、500円を越えるのも出てきた。本書も650円である。
 2007年6月20日弟1刷だが、書き下ろしなんだろうか、雑誌連載をまとめたものだろうか、以前出ていたのを体裁を変えて新たに発行しているのか、その辺は分からない。こういった体裁のコミックスには漫画自体のデータについて記されているのは少ないが、本書もそうである。書誌的事項は大切なデータなので、明記して欲しいものである。
 
 諸葛孔明が主人公ということで、本書の前半は諸葛孔明が出生してから青年となり、水鏡塾に入門するまでを描いている。その合間に諸葛亮が登場するまでの三国志前半の主要事件が早送りのように駆け足で紹介されている。
 
 諸葛亮の父は諸葛珪。郡の副知事であるが、諸葛亮が12歳の時に病死。以後諸葛亮ら兄弟は父の弟・諸葛玄に育てられる。諸葛珪は夫人死後、後妻をもらったというのに諸葛玄は結婚もせずに兄の遺子を引き取り、厳しく愛情を持って育てる硬骨漢である。
 
 諸葛玄は劉表から太守としてスカウトされ、赴く。しかし劉表の領土を狙う袁術曹操に手を回し、朝廷が別の太守を任命。諸葛玄は新太守軍と戦うが敗北。諸葛亮達は脱出し、劉表から山村に土地を与えられ、そこで過ごすことになる。
 
 その後、劉表と新太守の関係はどうなったのだろうか。
 
 物語後半は、後に諸葛亮が仕えることになる劉備の動向が中心となり、色々あった後に劉表に受け入れられるまでが描かれている。
 
 本書の面白い点は、まず第一に、劉表が主体的に政策を行っている大人物として描かれているところにある。
 劉表といえば、他の三国志ものではワンオブゼムとして扱われ、あまり主体的な存在として描かれていない。横山三国志でも、反董卓連合軍や孫堅と戦争の際にも顔すら描かれず、劉備が頼って行ってはじめて顔が描かれている存在である。ところが本書では主体的に中立政策を取り、賢人をあつめて国力を蓄えるという名君として描かれて、表紙にも描かれているほどである。裏表紙の次号予告文では、

魏(曹操)、呉(孫権)、そして荊州劉表)が対峙して……

と書かれている。曹操孫権劉表が同格に並んでいるのが面白い。まあ本書では劉備劉表を頼って受け入れられるまでを描いているのだから劉備ではなく劉表が来るのは当然のことであろうが。
 
 諸葛玄と劉表の対話から。
「いまや天下は袁紹曹操の二大勢力をはじめ群雄が覇を争い
 中原は戦乱に明け暮れていますが
 ここ荊州に来て人々は活気に満ちあまりに平和で驚きました」
「この地はわしが徹底して中立の立場を貫いてきたため
 各地から戦乱をのがれて名士や学者たちが集まり
 平和のうちに発展できたというわけじゃ」
 
 しかし、諸葛亮劉表評は辛口である。
劉表どのは中立を守り平和主義に徹する人格者だが
 天下を見すえた展望を持ってない」
 
 その後、曹操も同じようなことを言っている。
「あの男はだめだ
 人がよいばかりで天下を見すえた展望を持たん」
 同じ語句を使ってしまったのはセリフの作成ミスか?
 
 しかし劉表もなかなか興味深い人物のようである。今後もっと注目されてもいい三国志登場人物である。
 
劉表 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%89%E8%A1%A8
 
 本書が面白い点としてもう一つ、徐庶諸葛亮の助言者的存在として現れるところが挙げられる。
 秀才の諸葛亮に対して、ニヒル徐庶
 
 劉備曹操を頼って行ったという事件は、水鏡塾の塾生たちの間でも驚きをもって受け止められた。
 
「同じ劉姓であるわが荊州の牧(知事)劉表どのを頼らず
 なぜ曹操のともへ……?」
「なんといってもこの乱世において曹操はいちばんの実力者だからな」
劉備どのには失望したな」
 早くから劉備に親近感を持っていた諸葛亮も愕然とする。その諸葛亮に、劉備は一筋縄ではいかない人物だからしたたかな計算の上かもしれない、と助言するのが徐庶である。
 
 病床の袁紹袁尚を呼び、
袁譚、袁キと共に力を合わせ……余の仇を……」
と言い残して死ぬのが本書のラストシーンである。
 後継者を決めなかったという史実とは違う展開。袁家の再起はあるのか!?そして諸葛亮徐庶劉備との出会いは?
 第二巻は7月18日発売予定という。これは楽しみである。
 

  
 
■[日々の冒険]三国志 国際スタンダード版 京都テレビで放送中!
   http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20070505/
       
■[三国志]吉川三国志に挑戦するぞ!
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130205/p1
吉川英治三国志新潮文庫版 についてつぶやいた】
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/archive?word=%2A%5B%BB%B0%B9%F1%BB%D6%5D
      
wikipedia:三国志 (吉川英治)
wikipedia:三国志
                                

      

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