【れとろ爺】
懐メロを聴いているとどこからともなく現れ、その曲に関連するようなしないような微妙な話題を一方的にトークする。明るく元気な曲でも強引に暗くて悲しい話題に持って行って聞く人を嫌な気にさせることも多々ある。好戦的思想を嫌う平和主義者という一面もある。最近はNHK-FM「にっぽんのうた 世界の歌」界隈に出没することが多い。ブログランキングをクリックされると喜ぶ。
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懐メロについて書く時の名義を「れとろ爺」とすることにした。
その昔、わしが子どもだった頃、『ドロロンえん魔くん』というアニメがあったんじゃ。ぶらり爺だとか火々爺とか、あと、まどろみんといった爺さんの妖怪が印象に残っとるのう。あの頃は爺さんなんて半分妖怪みたいな遠い存在だと思っとったが、今ではわし自身がもう爺さんに近い存在になってしまったのう。懐メロについて語る爺さんなんて、もう立派な妖怪じゃ。
にっぽんのうた 世界の歌 2009年10月 5日(月)
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=200&date=2009-10-05&ch=07&eid=274
進行・富沢美智恵
「里の秋」 (川田正子)
(3分01秒)
<日本コロムビア COCC−12794>
♪里の秋、とはいっても、ここで歌われてるような情景をイメージできる日本人は中年世代以上になってるんではないじゃろうか。イメージはあっても実際に住んだ経験とまでいうと、限られてくる。
現代の日本人にとって“里”とはなんじゃろうか。
日本人の原風景である“里”は保存して残していくべきであるし、それがかなわぬならせめて歌だけでも継承していきたいものである。
そう思うと、「まんが日本昔ばなし」は日本人の原風景を伝える文化財的な貴重な番組だったんじゃなあ。
wikipedia:里の秋
「歌の町」 (川本理恵子)
(1分56秒)
♪よい子が住んでるよい町は 楽しい楽しい歌の町
……なんて、清く明るく元気な雰囲気じゃ。
一体どんな歌なんじゃろう。
わしなんか子ども時代にいやな経験があるんで、ガチャガチャやかましい攻撃的な歌が流れてる学級崩壊だとか家庭崩壊だとか地域崩壊の終末的なスラムを思い出してしまうのう。
一方、カッコつきの“楽しい”歌が歌われ、“よい子”が住む“よい町”、即ち検閲や管理主義がゆきとどいた独裁的なアンチユートピア社会を裏読みすることもできる。例えば、前回取り上げた「お山の杉の子」が歌われているような社会もそうなんではないか。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20091024/p1
……どんなに明るく元気な歌からも暗い話に持って行って聞く人を嫌な気にさせる、これがれとろ爺の恐怖じゃ。
「ぶらんこ」 (塩野雅子)
(1分44秒)
<日本コロムビア COCG−6448>
「こおろぎ」 (中川順子)
(1分57秒)
♪「こおろぎチロチロリン こおろぎコロコロリン
チロチロリン コロコロリン くさのなか」
……という、文字にしたら短いフレーズのバリエーションが延々続くだけの省エネ唱歌。たったこれだけの文字数だけで歌にして印税をもらうとは、作詞者はすごい度胸才能じゃ。
シンプルさの中に深みがある。省略の美学・俳句に通じる味わいを持っておるのう。
(関根栄一 作詞 芥川也寸志 作曲)
「べこの子うしの子」 (山野さと子)
(1分52秒)
「どんぐりどん」 (宮内良)
(1分53秒)
♪どんぐりが背比べをする歌。
「せいが 一ばん たかくても ほんとの くりには なれないよ」
おおっと、これは無情な通告じゃ!
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」(上杉鷹山)
「精神一到何事か成らざらん」(朱子語類)
「Where there is a will, there is a way.(意思あるところ道あり)」
などと言って、努力すれば達成することはできる、という楽観的な意見が往々にして見られる。しかしいくら努力しても埋められない溝・明らかな格差というもんが現実にはある。
この歌はそういった楽観論的人生観を無残にもあっさりと否定してしまった!幾ら努力してもできんもんにはできん、この明らかな現実を指摘したこの歌は、児童向け歌謡史の中において大革命ではなかろうか!
「せいが 一ばん ひくくても こまには つくって まわせるよ」
……と思ったら、直後にフォローが入っている。これは結局、競争しても差はつかないからみんな一緒にのんびりやろうぜ、という怠け心を推奨した歌か?
競争がなくては停滞する。しかし競争が激化すると最後にはデスマッチ状態となってボロボロになってしまう。
競争について考えさせる歌じゃ。
「子守歌」 (中村美佐子、杉並児童合唱団)
(4分19秒)
<日本コロムビア COCG−6449>
「夢のお馬車」 (川田正子)
(2分11秒)
♪以上2つは、西洋のおとぎ話を背景としたような歌。日本の伝統的文化とは違う情景を歌っている。子どもの頃読んだおとぎ話の挿し絵の世界じゃ。こんな歌も面白い。ただ、中村美佐子さんの声が高すぎるので聞き取りにくい。
http://www.youtube.com/watch?v=fpQdbqeMrVM
↑先にこちらのパロディ版を知った人で、原曲を知ってた人はいるんじゃろうか?
「赤ちゃんのお耳」 (川田正子、加賀美一郎)
(2分54秒)
♪「赤ちゃんのお耳は 小さなお耳 ふっくらかわいい かたつむり」
……こりゃかわいい見立てじゃ。顔がほころんでくるのう。赤ちゃんのかわいさを耳によって象徴しておる。いささか耳フェチのようにも思う。
しかし考えようによっては不気味でホラーな展開じゃな。
悪い魔法使いの呪いで耳をかたつむりにされ、大人達は見て見ぬふりをしてたが正直な子どもが口に出して言ったという「王様の耳はロバの耳」的展開じゃとか。
あと、日野日出志の世界とか。
わしが子どもの頃、学研からユアコースシリーズという子供向けシリーズが出ていて、その中に世界の怪奇小説をダイジェストして沢山紹介した本があった。その中に、毎日雨ばかり降っていて巨大なカタツムリが支配している島に漂流した一団が、カタツムリに食べられたり全身カビだらけになって死んでいったりする話が載っていた。今でも思い出すわい。
wikipedia:赤ちゃんのお耳
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「お花のホテル」 (川田正子)
(2分48秒)
「見てござる」 (川田孝子)
(2分50秒)
♪村のはずれのお地蔵さんも、たんぼたなかのかかしどんも、山のからすのかんざぶろうも、お月さんも皆誰でも見てござる。
誰も見てないと思って悪いことしたらいかんぞ、
「天知る、地知る、我知る、人知る」
の世界観じゃな。
幼い頃からこのような歌を聞くことにより、日本人の高い倫理観は培われていったんじゃ。
誰それが見ているからしちゃいかんぞ、という倫理観は、西洋に見られる超越的な絶対的価値観による行動規範とは違う。まさしくルース・ベネディクトが『菊と刀』で唱えたように、他人の視線に規範を置く「恥の文化」という行動規範じゃな。「恥の文化」に対しては近年批判的研究もあるようじゃ。
まあ人間の思考は単純でもあるし複雑でもあるんじゃから、どれか一つと決め付けるわけにもいかんじゃろう。状況に応じて色々な行動規範を使い分けることもあり得る。
「見てござる」も考えようによっては怖い状況を思い出させる歌じゃ。壁に耳あり障子に目あり、の世界。
戦争中は特高警察が見てござった。近所のあの人も見てござった。こんな怖くて不自由な時代が再び来ないようにのう。
民主国家の国民達は
民主政治を 見てござる
ソレ 見てござる
童謡のふるさと信州松代 童謡「見てござる」歌碑
http://douyou.naganoblog.jp/e319205.html
なばなひとし迷想録 (その8)「地蔵盆」の「お地蔵さん」は「見てござる」
http://members.at.infoseek.co.jp/ncnycy/meiso14-8.html
「一茶と子供」 (川田孝子、伊藤久男)
(2分36秒)
小林一茶が旅から旅への歌詠みになって旅をしている歌。タイトル通り一茶と子どもが掛け合っている形式。一茶役の伊藤久男の声が張りがあって迫力がある。歌詠みというより豪傑のようじゃ。小林一茶はこんなにマッチョだったんかな?
伊藤久男といえば
「イワン・イワノヰッチ・イワノフさんとイワン・イワノヰッチ・イワノフさん」
を歌っていた方じゃ。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20070515/p1
「一茶さん」 中條雅二詞・中野次郎曲・飯田景応編)
「一茶と子供」 作詞/加藤省吾 作曲/八洲秀章
↑この2曲には関連があるんじゃろうか?
■[老若男女懐メロ]花咲爺に思う現実社会の厳しさ
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20110109/p1
「一茶と子供」の歌詞をご存じないでしょうか
http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa1094248.html
「母さんたずねて」 (川田正子)
(2分41秒)
<日本コロムビア COCC−12794>
新番組『にっぽんのうた 世界の歌』DJ富沢美智恵さんインタビュー!
http://www.nhk.or.jp/fm-blog/200/17922.html
■[老若男女懐メロ]レトロおやじの童謡・唱歌 言い捨て御免!
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20091024/p1
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