『黄色のへや』を読むために借りた本にモリエール短編集として、『タルチュフ』『町人貴族』が掲載されていました。
小学館 少年少女世界の名作文学26 フランス編8
モリエール短編集 タルチュフ 町人貴族
モリエール原作 后藤有一(文) 霜野二一彦(絵)
1968年10月20日発行
『タルチュフ』は、司祭に化けたペテン師の話。
ペテン師タルチュフに心酔した金持ちのオルゴン氏は、タルチュフを家に住まわせ、便宜を図ってやり、娘を嫁がせて家や財産の権利を与えようとする。
家族の必死の説得で目が覚めたオルゴン氏だが時すでに遅く。財産と家の権利書をたてに、タルチュフが家の差し押さえにやって来て……。
オルゴン氏はいつ目を覚ますのか、タルチュフの悪は暴かれるのか、結末はどうなるのか。ハラハラドキドキのサスペンス的展開です。
そして結局、ハッピーエンドに終わってやれやれ。
終わってみれば痛快な娯楽作です。
一応、オルゴン氏が全財産巻き上げられて残念無念、という教訓的なアンハッピーエンドで終わるという終わり方にすることもあり得ます。
例えば、モーパッサンか誰かの短編で、馬車に乗ってたら、当たり屋みたいなのに当たってしまって、その後ずっとゆすられ続けるというような作品を読んだことあります。
この作品なども、いつ解決するか、救われるかと思いながら読んでいたのですが、結局、救いのないままに終わってしまいました。
(一体、この作品は何でしょう?『首飾り』かと思ってたのですが、違うようです。)
以前、文学作品はアンハッピーエンドで終わることが多いのか、と疑問を書いたことがありました。
モリエールは文学者というより、喜劇作者ということですが、ともかく古典的作品と言われる作品で、このように痛快な結末というのはいいですね。
■[名作文学]文学はハッピーエンドでは終わらない?
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20070423/p1
次に掲載されていた『町人貴族』も、最初のうちは似たような展開です。
不良貴族のドラント伯爵にカモにされて金を巻き上げられ、貴族になるつもりでいる金持ちの商人ジョルダン。
やがて『タルチュフ』のようにジョルダンの目が覚め、ドラント伯爵の悪が暴かれる展開になるかと思っていたら、次第に物語はジョルダンの娘の結婚承認が中心になり、ドラント伯爵も協力して結婚が許可されてめでたしめでたし……?
ドラントは騙し逃げ?何だかよく分からない展開だ。
まあ喜劇だから、おかしな人達がおかしなことをやっておかしな結末を迎えるのでしょう。
『タルチュフ』のような勧善懲悪の結末の方がいいですね。
しかし、子ども向けの文学全集にモリエールとは、渋いですね。
昔の小中学生はこんな風にモリエールを読みこなしていたのでしょうか。すごい。
私はアラフォーになって今回初めて読みました(しかも子ども向け)。
1960年代の少年少女に負けてますな。
しかし少年少女向け文学全集数あれど、この小学館の50巻版全集は、ボリュームやレベル・収録作品において最高水準ではないでしょうか。
何せ『デカメロン』『ガルガンチュア物語』から『メトロポリス』『海底軍艦』まで収録ですから。
思えば日本の文化的水準も、この辺りが頂点だったのではないでしょうか?
読んでもない私がこんな風に偉そうに言う権利はありませんね。
私も残りの人生がどれだけあるのか分かりません。
大人向け完訳で読んでたらどうせ月に1冊くらいしか読めないので、せめてこの全集を読んで、人類の文化的遺産の片鱗でも味わっておこうと思っております。
小学館 少年少女 世界の名作文学(全50巻)
http://nazede.gozaru.jp/meisakubungaku.html
はてなキーワード > モリエール
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E2%A5%EA%A5%A8%A1%BC%A5%EB
wikipedia:モリエール wikipedia:タルチュフ wikipedia:町人貴族
■[日々の哲学]悲喜劇・タルチュフ橋下の国盗り物語
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120829/p1
平成26年4月1日 消費税8%まであと何日? http://counting.hatelabo.jp/count/40440
平成27年10月1日 消費税10%まであと何日? http://counting.hatelabo.jp/count/72110
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