OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

ハケン国家の時代を生き抜く方法

 「格差突破力」をつける方法―勉強法から人生戦略まで (新書y) 『「格差突破力」をつける方法―勉強法から人生戦略まで (新書y)
    
第五章 安全確実にマネーを増やす
で、格差サバイバルにとって安全保障であるお金について書かれています。
   
「本業は最も効率の良い資産運用である」
     
というのは分かりました。
 サラリーマンは頑張っても簡単には給料は上がりませんが、スキルや人脈など、給料以外に得ることも多いという風に読みました。
 週末起業や副業も、本業がしっかりしていてのことでしょう。
   
 外国の何たらがいいとか書かれていますが、経済方面に疎い私には分かりませんでした。
 まあ私としては、何かあった時、お金の心配をするより先に、思想弾圧で逮捕される方が先だと思っています。
    
 そして最後に中山さんは、格差を勝ち抜くために最も大切なのは
「価値観の再確認」
だ、と述べます。
 そして日本では根底にある価値観が大きく分裂していることが日本が崩壊の道をたどっている原因だ、と述べます。
 それでは、日本人はどのような価値観を持つべきなのか。
 例えば、戦前の日本のような軍事大国的な価値観を復活させて国民が共有すれば日本は再び復活するのか。
(もしそうなれば日本を捨てて出て行く、と書かれています。)
 そこら辺まで突っ込んで考えれば国家観の問題になって問題は大きくなります。
 この辺も面白いテーマなのですが、分量も限られているし、何より本書は格差サバイバルに関する本なので。
  
 6ページに渡るあとがきも、非常に密度の濃い、予見性に富んだ素晴らしい内容だと思います。

「右傾化」を選択する国民が増えている。ということは、日本はいずれ天皇と皇族、疑似貴族、平民、ワーキングプアという四階級社会になることを意味します。

 平民は次々とワーキングプアへと転落し、あるいは海外へと逃げるので、層がどんどん薄くなるでしょう。逆に、ワーキングプアは激増するでしょう。
 正社員の多くはアメリカ人、ハケンは日本人と発展途上国の外国人、給料はドル、という企業が現れるかもしれない。
 日本はワーキングプア階級が主体のハケン(派遣)国家となるのです。
 自衛隊も海外にどんどんハケンされるでしょう。
 大日本帝国は「右傾化」によって、ハケン(覇権)国家となって「崩壊」した。
 日本国も「右傾化」によってハケン(派遣)国家となることで「崩壊」するのです。
ハケンの歴史」は繰り返す。漢字が違いますが。

  
 5年前に書かれた言葉遊び混じりの未来予測です。
 日本の歴史は確かにその通りに進行し、5年後の12月16日、衆院総選挙で憲法改悪派の圧勝という形で確定的となりました。
   
 あとがきはその後も、教育について、『ドラゴン桜』やら、東条英機やらチャーチルやらの例を挙げて興味深い指摘が続きます。
 ちなみにこのあとがきのサブタイトルは
「日本がハケン国家となる日に備えよう」。
 本書のまとめともいえる部分です。
 ぜひあとがきだけでも手に取って読んで頂きたいと思います。
   
 6回に渡って本書を紹介してきました。
 今まで見てきたように、本書が予見した時代の動きはことごとく的中しています。
(大地震による原発事故も、TPPも、米中接近も、日本の再軍備も、アメリカが日本を見捨てることも。) 
 苫米地英人さんもスケールの大きい奇想天外な未来予測の本を書かれていますが、中山治さんの未来予測の方が地に足ついてリアルです。
 そして現実の歴史は、中山説の通りに進行しているのです。
   
SF KidなWeblog
 トマベチヒデトの大予言〜とてつもない未来を引き寄せよう!
  http://sfkid.seesaa.net/article/191526936.html

   
 5年後に読んで、改めて本書の未来予測の正確さに驚くのですが、本書についてのアマゾンなどの書評を見ると、意外と不評のようです。
 それは、本書のタイトルを見ると、一見、ハウツー書のように見えながら、時代の背景や流れ、それに対する考え方の記述が多くなってしまって、それが遠回りのように横道や無駄話のように思える一方、具体的な方法の記述が目立たない、というところにもあるのではないでしょうか。
 しかし5年後の現在に読んでみると、そういった部分が非常に的を得た指摘だと分かります。
   
 平凡な本は、発行後5年も経つと、間違いが判明したり時代遅れの部分が出てきたりして価値を減じるものです。
 ところが本書は、発行後5年を経て、その未来予測が正しかったということが証明されました。
 今でこそ、読む価値のある書ではないでしょうか。
    

『「格差突破力」をつける方法』不定期連載読書感想文(全6回)
        
■[日々の哲学]16日の総選挙を予見!?5年前に書かれた本
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121208/p1
■[自己啓発]人的ネットワークと二拠点主義
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121209/p1
■[自己啓発]5年間の時代の流れを的確に的中させていた!驚きの自己啓発
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121210/p1
■[自己啓発]お坊ちゃま系と苦労人系
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121211/p1
■[自己啓発]軍事訓練のリアルな現実
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121212/p1
■[自己啓発]ハケン国家の時代を生き抜く方法
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130107/p1

 「勝ち抜く大人」の勉強法 (新書y) 「ひとり勝ち社会」を生きぬく勉強法―勝ちぬくためにどう知力をつけるか 戦略思考で勝ち残れ! (ちくま新書) 誇りを持って戦争から逃げろ! (ちくま新書)

書評de独りごちた
2009.07.23 「格差突破力」をつける方法!の巻
  http://jinrokukikaku.blog102.fc2.com/blog-entry-235.html
  
ときにん Book Review
「「格差突破力」をつける方法」中山治
  http://blog.goo.ne.jp/tokinin_book/e/ddc7c3c0f7031b49560b5d6e58a901a2
     
1日0.2%改善ブログ!(1年で200%のUPを!)
【勉強法から人生戦略まで】「格差突破力」をつける方法 (47冊目)
http://self-investment.seesaa.net/article/101556046.html
    
後藤 誠のJAZZ研究室
 良質の情報、低レベルの情報
  http://rifftide.exblog.jp/d2008-03-16

  
ブクログ http://booklog.jp/item/1/4862481949
      
読書メーター http://book.akahoshitakuya.com/b/4862481949

        
wikipedia:中山治


           
                     

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