OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

『ユー・ガット・メール』で考える経済問題

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 町の小さな児童書専門書店の近くに大型安売り書店が進出してきて多くの人の生活に波紋が広がっていく。
   
 キャスリーン・ケリー(メグ・ライアン)が大型書店に宣戦布告をし、ランチェスター戦略や孫子の兵法を駆使したビジネス戦争の展開となるのかと思いきや、あっさりと白旗を上げて閉店してしまいました。そんな簡単に閉店してしまうものなのか。
  
 店が閉店した後も物語は続く。
 お互いがメル友だといつ気付くのかというのが見せ場なのだが、ジョー・フォックス(トム・ハンクス)だけが先に気付いて、メル友だということを隠してキャスリーンにつきまとう。
 何だかこれはフェアでないような気がした。何だかもて遊んでいるとか、手玉に取っているような感じがする。
  
 結局、キャスリーンがメル友の正体を知って二人が結ばれた時点がクライマックスとなって終了。
 二人の恋愛はハッピーエンドで終わったのですが、経済問題という観点から見ると、問題をはらんでいるように思います。
   
 大資本のチェーン店が町の小さな商店を潰していくという弱肉強食の展開は、結局これで良かったのでしょうか。こういう展開は果たして人類を幸せにするのでしょうか。
 そういった観点から、日本でも少し前までは大店舗規制の法律がありました。
 しかし、規制緩和すると経済活動が活性化する、という掛け声で規制緩和されたせいで、各地の商店街はシャッター街になってしまいました。
 果たして、これで良かったのでしょうか。
  
 映画では、大規模のFOX書店で人々や子ども達が楽しそうにしていて、小店舗が潰れても大規模店舗があれば人々は楽しめる、というような描写になっていて、それは確かにそうなんでしょう。アメリカの映画界ではこういった流れが正しいというコンセンサスがあるのでしょうね。
 しかし、やっぱり寂しいですね。
       
 FOX書店にはカフェが入っていてコーヒーが飲める。
 これも象徴的ですね。
 書店がコーヒーを飲む客まで取ってしまうという。
 本は書店、コーヒーは喫茶店、お互いWIN-WINの関係でいいではありませんか。あきませんの?
 書店帰りの客が近くの喫茶店でコーヒーを飲むことで共存共栄できてお金も回るのです。
 デフレだからお金が回らないのではない。
 勝ち組が全部取ってしまって出さないからお金が回らないのです。
      
 大書店がカフェ客まで総取りするのが現在の勝者総取り独占資本主義経済。
 これに対して、書店と喫茶店など、お互い様の精神で補い合って共存共栄するのが商店街的社会。
 後者こそがあるべき未来社会だったのではないかと思うのですが。
      
 それに、キャスリーンは人生の伴侶を見つけ、再就職先も見つかりそうで、それはそれで良いとして、少なくとも、キャスリーンの店で働いていた店員3人は、その後どうなったのでしょうか。
 大規模店舗に潰されてしまった中小店舗でも、有能であり若くて美人だった経営者は再出発できたのですが、使われていた店員達の今後は?
 強者はさらに強く、弱者はさらに弱くなり、強者と弱者の格差は広がるばかりという状況。
 このような時代、我々はどう生き延びていけばいいのでしょうか?


       
 1998年公開の映画。この当時はまだネット書店は今ほど盛んではありませんでした。
 10年ほどの間に書店を取り巻く環境は大きく変わりました。
 ネット書店が大きくなり、本の電子化も広まってきました。
 ネット書店に押されてアメリカで2位の書店チェーンが倒産した、というニュースもありました。
 今後は寄らば大樹の陰、長いものには巻かれろで、個人は大資本に従属しないと増々生き辛い時代になっていくでしょうね。
 余程自分に付加価値をつけて個人でやっていけるようになるか、それとも、大資本に従属しながらもうまくストレスを発散して折り合いをつけていくか。
   
 あと、唐突ですが、消費税の増税によって、中小企業がますます厳しくなっていくでしょう。
 こんなことを書いている私も実は本はほとんどネット書店で購入しているし。
 個人は、個人の商店は、今後どう生き延びていくか。
 経済はこのまま弱肉強食が進んでいくのか、どうなのか。
 この映画を見ながらそんなことを考えていました。
   
 大分昔にTVで放映されて、録画してあったビデオが出てきたので年末年始に数日かけて見ました。
 ゴールデン洋画劇場最終回の放送だったらしい。
 CMを見ると、中村玉緒のeo64や、エアーエッジや、ザウルスのCMなんかが入っていて、時代を感じます。
 あと、ジョー・フォックスが子ども達と遊園地で遊んでいるシーンで、オバマ大統領によく似た子どもが映っていました。
   
イワタ事務所 @ブログ
『ユー・ガット・メール』の2つの本屋
  http://writers-high.blog.ocn.ne.jp/kuma/2006/08/post_da08.html
市民インフォメーション・プラザ ユーガットメール
  http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1795/eigaTV/990328yougatmail.htm

      
■[消費税]アマゾンと100円ショップとリアル店舗
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130203/p1
■格差突破力 ハケン国家の時代を生き抜く方法
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130107/p1

   
泉南田尻食堂閉店から考えた経済問題(暗い妄想)
  http://sakai.areablog.jp/blog/1000026345/p10708432c.html
    
 超字幕/ユー・ガット・メール (キャンペーン版) グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書) 二極化ニッポン―2007年、1億総中流社会は崩壊する 二極化時代の新・サラリーマン幸福術―年収1億円でも不幸な人生、年収300万円でも楽しい人生…

    
wikipedia:ユー・ガット・メール

   
 http://booklog.jp/item/1/B003EVW5WS

     
平成26年4月1日 消費税8%まであと何日? http://counting.hatelabo.jp/count/40440
平成27年10月1日 消費税10%まであと何日? http://counting.hatelabo.jp/count/72110

     
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