誰にも書ける一冊の本 (光文社文庫)
新聞の書籍広告でタイトルを見た時、本の書き方を指南した本なのかと思いました。
紹介文には以下の文章が。
「父が遺した原稿用紙の束。気が乗らぬまま読み進めるうちに、過去にまつわるいくつかの謎が浮かび上がる。果たしてこれは、父の人生に本当にあったことなのだろうか? 次第に引き込まれるうち」
ミステリーの要素もあるのか?
非常に気になりました。
読んでみると、ハウツー書でもミステリーでもなく、れっきとした文学、純文学でした。
「人は誰にも、一生に一冊の本が書けるという。それなりに文章を綴れる人間であれば、経験してきた人生の諸々のエピソードに、折々の所見や気持ちを添えれば、一編の随筆になり、それを創作的に書けばひとつの物語になる、という意味だ。ただし、他人に読ませる価値があるかどうかは別」
……という意味で、主人公の父上が自分の人生を振り返って綴った小説を、息子が読んでいくという小説。
特に大きな事件が起こるというわけでもなく、淡々と進んでいきます。
それでも、動乱と波乱の人生を生き抜いて次世代を残していった父親のあっぱれ立派な人生を描いています。
この味わい、若すぎると分からないのではないでしょうか。
実際に父親が大往生したとか、亡くなられたとか、九死に一生を得た、或いは、自分が大きくなった子を持つ老いた親になるとかという経験を経て、初めて分かる境地ではないでしょうか。
「順繰り」という言葉が出てきます。この物語のキーワードです。
父親の残した原稿を読み終えて、主人公は、新たな本を書く決心をします。
これも、「順繰り」なんですね。
本書を読み終えた私たちも、「一冊の本」を書いて「順繰り」しますか?
最後に、本文庫の体裁について。
本書、文庫本ですが、字が大きく1ページ当たりの文字数も少なく、1冊あたりの文字数も少なく思います。
しかし、目が悪くなって小さい文字が詰まった文庫本が読みにくくなった今、これくらいの方が読みやすく思います。
高齢化社会の今、今後の文庫本は、これくらいの方がありがたく、広まっていってほしい傾向だと思えるのですが、どうでしょうか?
(追記)
現在、朝日新聞朝刊では林真理子「マイストーリー 私の物語」が連載中。
老いた母親が書いた自費出版の小説を読む作家の娘。こちらでは母と娘の暗闘が進行中です。なかなかぶっ飛んだ展開で、どのような結末を迎えるやら。
自分の人生、本にしたい人とは
新聞連載小説「マイストーリー 私の物語」
http://book.asahi.com/special/hayashimariko.html
wikipedia:荻原浩
一条真也のハートフル・ブログ
『誰にも書ける一冊の本』
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モコモコ雲を探しに♪「誰にも書ける一冊の本」(荻原浩)
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おたるつ 誰にも書ける一冊の本 / 荻原浩【読書レビュー】
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