OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

無批判な肉食系肯定・草食系否定に−1点

 成功する人は缶コーヒーを飲まない 「すべてがうまく回りだす」黄金の食習慣 (講談社+α新書) 成功する人は缶コーヒーを飲まない 「すべてがうまく回りだす」黄金の食習慣 (講談社+α新書) 
  
 現代の日本人は糖質を取り過ぎで心身共にたるんでいるので、タンパク質や脂質を取ってバランスよい食生活を取り戻すと、心身共にうまく回り出す、という内容。
 糖質制限の本でしょうか。
 私が最近通っている漢方薬局の先生も糖質制限の信奉者で、食生活の糖質制限について厳しくチェックされています。
 私の食生活も糖質過多であったことに気付き、最近は注意しています。
  
 本書は、食生活を見直す必読書でしょう。読んで全てを実行することは無理でしょうが、知っているだけでも役に立つ情報だと思います。
  
 ただ、糖質を悪玉として叩く一方で、食品添加物に対しては無警戒のようです。
 コンビニではおかずやサンドイッチなどを中心に買えば糖質制限が可能、と書かれています。
 しかし、コンビニの食材の油や添加物の問題はよく指摘されます。
 例えば、コンビニで売ってる唐揚げはどうでしょうか。
 例えば、鳥葬を行っている地方では、添加物の影響で鳥も死体を食べないといいます。
  
鳥葬の異変 ハゲタカも敬遠する化学物質!!
  http://www.o-channel.tv/general/file020/
鳥も食べない現代人のカラダ
  http://www.sugiyaku.com/soudan/health/2012/06/post-176.html

  
 砂糖の代わりにアスパルテームを使うことを推薦したりされていますが、アスパルテームについても色々言われているところです。
  
 また、肉を食べろと推薦していますが、フライドチキンやハンバーガーはどうでしょうか ?
(牛丼については、具多め・ご飯少なめを推薦されています。)
    
 桃太郎とかぐや姫について、食事の面から考察したコラムが面白い。
 タンパク質豊富な食事で育った桃太郎は肉食系で、仲間を組織して悪い鬼を退治しました。
 一方、食事にタンパク質が不足したかぐや姫は心身共にひ弱に育ち、成長することを拒み、結婚することもできませんでした。
   
 このコラムが本書の思想を象徴しています。
 確かに納得できるし面白い。
 しかし、このあっけらかんとした無批判な肉食系肯定・草食系否定については、天邪鬼な私としましては、賛成しかねます。
  
 本書の見出しには
  
草食系男子は日本を滅ぼす
トップセールスマンにはなぜ『肉食系男子』が多いのか?
  
……といった過激なフレーズが見られます。
 確かに、本書で指摘されていることは9割以上正しいでしょう。
 しかし、天邪鬼な私は、肉食系中心の倫理を無批判に肯定・補強するのもどうかと思うのです。
  
 本書で肯定されている肉食系の生活は、いわば競争社会。弱肉強食の世界です。
 行き着くところは弱者淘汰。そして戦争です。
 経済競争とは結局は薄利多売に耐える上位数グループの寡占状態に行き着きます。
 また、21世紀に入った現在でも、テロだとか空爆といった紛争が絶えません。
 こういったことは、肉食系の思想・行動が悪い方に生かされたものだと私は思うのです。
  
 先に例にあげた桃太郎の解釈も、芥川龍之介が皮肉な解釈をした作品があります。
    
 桃太郎

   
桃太郎 芥川 竜之介 青空文庫
   http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card100.html

   
 富国強兵だ戦争だと挙国一致の体制だった時代に対する強烈な皮肉ですね。
 姫野先生は女性ながら男性社会に社会進出し、女医として成功してきました。
 その先生が肉食系肯定、草食系disの意見を書かれるのは、男性原理・競争社会の肯定であり、結局、現状の肯定であり、新しい思想や社会の理想を描いたものではありません。
  
 そういった意味で、雑穀や腸から社会を考察した『腸脳力』の方が、来たるべき新しい時代の理想を描いていたように思います。
(なお、穀物食が本当に肉食に劣るのかも検討の余地があるところでしょう。
 本書には、人力車夫の食事を玄米や野菜中心から牛肉に替えたところ、スタミナが切れたという実例が載っています。)
   
■[自己啓発][健康]腸脳力 とりあえず小食・和食・玄米・雑穀から始めよう
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120605/p1

  
 思えば高度成長時代の日本は、年功序列・終身雇用の日本的雇用でした。
 今ではなぜか御用学者の批判の対象となっていますが、皆がほどほどに働いてほどほどに暮らせていける、中流階級が多数を占める良い時代だったのです。

 成果制だとか競争原理の導入は、結局はごく一部の特権階級と大多数の下流階級に分かれる中産階級の崩壊・階級制社会をもたらすだけです。
 郵政民営化だとかTPPも、アメリカのグローバル企業が日本の中流階級の富を奪おうとしているだけではありませんか。 
 すなわち、欧米の経済システムに日本的雇用を取り入れた時代が、日本経済の黄金時代だったのではないでしょうか。  
 本書でも、日本の伝統的和食に肉食を取り入れ、動物性タンパクと植物性タンパクの摂取量がほぼ同じになった頃、日本人の寿命が世界一になった、と書かれています。
 そういう意味で、肉食系原理の肯定一本やりでは現状追従に過ぎないのではないか、と疑問を呈しておきたいのです。
    
 しかしここで私がいくら理想を語っても、新しい時代なんて来ないのです。
 少なくともあと100年は肉食系による競争原理の社会が続くのでしょうね。
 以上、肉食系競争社会から脱落した草食系負け組弱者のひがみでした。

 成功する人は缶コーヒーを飲まない 「すべてがうまく回りだす」黄金の食習慣 (講談社+α新書) 成功する人は缶コーヒーを飲まない 「すべてがうまく回りだす」黄金の食習慣 (講談社+α新書) 
  
成功する人は缶コーヒーを飲まない!?
  http://www.excite.co.jp/News/bit/E1311333150165.html
お金持ちが缶コーヒーを飲まない訳
  http://matome.naver.jp/odai/2138184053153441601
立ち読み電子図書館 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/16157


ブクログ http://booklog.jp/item/1/4062727013
ブックアサヒコム http://book.asahi.com/book/9784062727013.html
読書ログ http://www.dokusho-log.com/b/4062727013/
読書メーター http://book.akahoshitakuya.com/b/4062727013


さつきのブログ「科学と認識」
山極寿一氏の不可解な芥川龍之介『桃太郎』論、または、越境する科学
  http://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/40779330.html
桃太郎のあれこれ 
  http://suwa3.web.fc2.com/enkan/minwa/momo/column.html


■[健康]腸を鍛えてやせる!健康になる!
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140726/p1
■[自己啓発][健康]腸脳力 とりあえず小食・和食・玄米・雑穀から始めよう
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120605/p1
■[健康]Dr.水上のねじれ腸マッサージ
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130827/p1


■[健康]「空腹」が人を健康にする
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120614/p1
■[日々の哲学]『「空腹」が人を健康にする』から考えるいのちとエコロジー
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120617/p1
■[健康]こころと体に効く漢方学
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140215/p1
■[健康]拒食症と拒睡眠症
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130428/p1
■[健康]どこからが心の病ですか?
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140210/p1


■[経済]TPPが暮らしを壊す 雇用、食生活、保険・医療の危機
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130516/p1
■[経済]TPPは21世紀型奴隷制
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130517/p1

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