OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

火星の魔術師 ディレッタンティズムと秋の高原

 火星の魔術師 火星の魔術師  

(あらすじ)
 火星観測マニアの大村昌作に連れられて、英二は、私設天文台のある高原に火星観測にやって来る。
 星が出るまでにはまだ間があるため、その辺をちょっと歩いているうち、二人は巨大な植物が生い茂る不思議な空間に迷い込む。
 火星の植物を育てているという若い青年に誘われ、青年のいる研究所に立ち寄った二人が経験する恐怖の体験とは……。

(感想)
 舞台はいささか季節外れ(秋?)の高原。
 澄んだ空気が感じられるいい舞台ですね。
 
 そして大村昌作は只のサラリーマンながら、会社の同好の者たちで作っている『星の会』の幹事を務める素人天文家。
 なかなかいいご趣味をお持ちですね。
 当時はまだ火星についてよく分かっていなかったので、色々と想像する余地があったのでしょう。
 科学にしろ何にしろ、中途半端に分かっているくらいが、一番想像の余地があって楽しい時期ではないでしょうか。

 本作品では「染色体」というのが重要なキーワードとなっています。

「それですよ、この染色体という奴が問題なんです。これは犬でも菊でもその種類によって数が必ずきまっているんです。例えば百合が二十四で犬が二十、人間なら男が四十七で女は四十八というように……」
 
 現在ではヒトの染色体は、男も女も46本ということになっていますが、当時は男が四十七で女は四十八と言われていたのでしょうか。
 当時の人は、染色体を操作して生物を改良することができる!と色々と想像していたのでしょうね。
 しかし、現在の目で見れば、今現在存在する個体の染色体をいきなり変えるなんてことは無理な話で、操作をして次の世代に新しい個体を生み出すのが現状です。
  
 当時の知識層のディレッタンティズム、そして科学と未来社会に対する夢と希望、そして秋の高原の澄んだ空気、そして誠子さんの良識。
 色々な要素を味わうことのできる好短編でした。

 怪奇探偵小説名作選〈7〉蘭郁二郎集―魔像 (ちくま文庫) 蘭郁二郎探偵小説選〈1〉 (論創ミステリ叢書) 蘭郁二郎探偵小説選〈2〉 (論創ミステリ叢書) 火星の魔術師 (探偵クラブ)


 wikipedia:蘭郁二郎


図書カード:No.2193 火星の魔術師 蘭 郁二郎
  http://www.aozora.gr.jp/cards/000325/card2193.html


CUTNOVEL事務局 火星婦は見た 蘭 郁二郎 「火星の魔術師」
  http://cutnovel.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
カットノベル 火星の魔術師 
  http://www.cutnovel.com/movielist/title/ja/k/%E7%81%AB%E6%98%9F%E3%81%AE%E9%AD%94%E8%A1%93%E5%B8%AB
探偵小説三昧 蘭郁二郎『火星の魔術師』(国書刊行会
  http://chapcolo.blog97.fc2.com/blog-entry-442.html
SF・空想科学小説の読書と感想 蘭郁二郎:火星の魔術師
  http://allable.sakura.ne.jp/sf/item/index49.html
作品データベース [小説]火星の魔術師
  http://sakuhindb.com/jbook/7_Kasei_20no_20Majyutushi/


ブクログ
  http://booklog.jp/item/7/002193
  http://booklog.jp/item/1/B009KSPWZQ
読書メーター http://bookmeter.com/b/4336034591


(追記)
 はてなキーワードで「ディレッタンティズム」にリンクされたので見ると、何だか否定的なこと書かれています。
 専門用語としてどのような意味で使われるのかよく分かりませんが、私はこの用語を漠然といい意味で使っています。
 元来私は学問や芸術の方面に進むべきだったと思うのですが、愚かなことに人生を誤り、底辺に落伍してしまいました。
 そんなわけで学者や芸術家にはなれませんでしたが、素人として、学問や芸術を楽しんでいこう、というつもりで、私は市井のディレッタントというつもりで生きています。

コトバンク > デジタル大辞泉 > ディレッタンティズムとは
  https://kotobank.jp/word/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%A0-574879
はてなキーワード ディレッタンティズム
 http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C7%A5%A3%A5%EC%A5%C3%A5%BF%A5%F3%A5%C6%A5%A3%A5%BA%A5%E0


■[速読読書]話は唐突にオチ!落語的空想科学小説
『地図にない島』蘭郁二郎(ネタばらし注意!)
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20081013/p1
■[速読読書]『睡魔』蘭郁二郎(ネタばらし注意!)
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20081013/p1

【速読読書】カテゴリは、私が速読の練習のために使用したテキストの感想を述べていくカテゴリです。
   →バックナンバーへ

【アンケート実施中です!】
本のオビは表紙カバーと同じく、本の重要な構成要素だと思いますか?
   http://blog.with2.net/vote/v/?m=v&id=146599
古本屋では本のオビを付けたままで本を販売してほしいと思いますか?
   http://blog.with2.net/vote/v/?m=v&id=146600
見たい大河ドラマはどれですか?
複数選択可です。選択肢にない場合、コメント欄にお願いします。
   http://blog.with2.net/vote/v/?m=v&id=141931



     
         ↑人気blogランキングにご協力お願いします。m(_ _)m

          
↓また、ご意見ご感想・ブックマークなど頂けましたら励みになります。
 コメントやリンク付きTBもお待ちしております。m(_ _)m