武蔵野・牛肉と馬鈴薯 (1965年) (旺文社文庫)
旺文社文庫。国木田独歩の6編の短編が収録されています。
わずか194ページばかりの薄い文庫本なのですが、驚くべきは解説です。
129ページ以降は解説となっています。
つまり、この薄い文庫本の本文は65%ほどで、残りの35%は解説なのです。旺文社文庫は解説が充実していることが特長でしたが、本書はその中でも最も充実している部類に入るでしょう。
これはすごい。これだけ読んだら誰でもいっぱしの国木田独歩の愛読者を名乗れるでしょう。
国木田独歩はわずか37歳で早世し、残されている作品も多くありません。その残されている作品も、膨大な長編はなく、珠玉の短編ばかりです。その作品の内容も、退屈な身辺雑記のようなものではなく、物語らしい起伏に富んだ面白さを感じるものが多い。
作品が多い作家の全作品を読むのは大変ですが、国木田独歩の作品のほとんどを読破するのは敷居が低いように思います。
旺文社文庫から国木田独歩の作品集は3冊出ています。この3冊を読破すれば、国木田独歩の愛読者を名乗る資格は十分あると思います。
以下、本書の解説部分の紹介をば。
解説 中島健蔵
20ページに渡って国木田独歩の生涯が描かれています。現実と理想のせめぎ合いという観点から書かれています。
wikipedia:中島健蔵
独歩の小説 野田宇太郎
詩人・文芸評論家で独歩没後50年を記念して建てられた「武蔵野の碑」の碑文を揮毫された野田宇太郎氏が幼い頃から愛読した独歩作品についてエッセイ風に綴られています。
wikipedia:野田宇太郎
独歩と机を並べたころ 永田新之允
小学校で独歩と同級で友人だったという永田新之允氏が独歩について回想しています。
独歩の席次はいつも2番で、3番の永田氏と仲が良かった。
独歩はやんちゃ者で“ガリ亀”というあだ名で呼ばれていたと。
その後東京で同じ新聞記者として再会し、旧交を温めたと。
永田氏95歳、昭和40年時点の執筆。
wikipedia:永田新之允
国木田独歩 唐木順三
先の中島健蔵の解説は、独歩の生涯を年代的に紹介すること中心でしたが、こちらの解説は独歩の思想と作品に焦点を当てています。
wikipedia:唐木順三
独歩回顧 小杉放庵
近事画報記者時代、独歩に育てられたという小杉画伯が独歩を回想しています。田山花袋・窪田空穂・真山青果なども登場します。飄々とした文体です。
wikipedia:小杉放庵
wikipedia:田山花袋
wikipedia:窪田空穂
wikipedia:真山青果
代表作品解題
本書に収録されなかった独歩の他の作品が何編か紹介されています。
年譜
旺文社文庫の解説の巻末を飾る名物の年譜です。2段組になっており、上段は該当作家の年譜、下段は日本社会の動きが記述されています。
←挿絵・賀茂牛之輔
wikipedia:国木田独歩
■[速読読書]運命論者/画の悲み 国木田独歩
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170922/p1
■[速読読書]「牛肉と馬鈴薯」「春の鳥」国木田独歩
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170724/p1
■[速読読書]「あの時分」「少年の悲哀」国木田独歩
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170706/p1
■[速読読書]「武蔵野」「詩想」国木田独歩
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170626/p1
■[速読読書]非凡なる凡人 国木田独歩
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20150331/p1
ブクログ http://booklog.jp/item/1/B000JAAAG0
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