マギル卿さいごの旅・チェーンの秘密 (少年少女世界推理文学全集)
【マギル卿さいごの旅】
時刻表を見て実際に鉄道に乗りながらアリバイトリックを暴くフレンチ警部!
あっちに行ったりこっちに行ったりすごく綿密で複雑なトリック。どんぶり勘定の私には付いていけないほど。完訳版で読んでいたら大変だったろう。縮訳で読んで正解。
こんな複雑なトリックを思いつく犯人もそれを暴くフレンチ警部もすごいが、一番すごいのはやはり作者クロフツその人。
【チェーンの秘密】
前半は新進作家であり素人冒険家でもあるマックス・チェインによる体当たり冒険捜査。それが行き詰ってようやく御大・フレンチ警部が登場して捜査を始める。この二段構えの構成が面白い。
変わった暗号が使われているが、本訳ではあまり詳しく描かれていない。完訳版では明確に描かれているのだろうか。
しかし、前半に登場する私立探偵・スピードウェル氏は一体何だったんだ。
「とてもおとなしそうで、すっかり世の中につかれはてたといったような男で、あまり頭もよさそうではない。」
こんな散々な描かれ方をした私立探偵が他にいるのだろうか。
かと思うと
「ほんとうにそうですか?」
ふいに、スピードウェルが、タカのようにするどい目で、チェーンを見つめた。いままでおとなしそうな、つかれきったようすからは、考えることのできない目つきだった。
コロンボタイプなのだろうか。
スピードウェル氏は一応は犯人一味の正体を突き止め、住居も探り当てます。その情報をもとに素人のチェーンが体当たり捜査するのですが、本来はプロの私立探偵であるスピードウェル氏が行うべきことでしょう。
そしてスピードウェル氏が事件を解決していれば、フレンチ警部が登場するまでもなく解決していて、物語タイトルも『名探偵スピードウェル』になっていたはずです。そしてあわよくばその後クロフツはスピードウェル氏を主人公としたシリーズを書き継ぐことに……。
なぜか脇役に魅かれるタイプなのでスピードウェル氏が気になります。
その後スピードウェル氏が登場する作品はあるのでしょうか。
もちろん、チェーン&ジョーンのその後も気になります。
追記1:長い航海を前にして桃の缶詰を3ダース購入する犯人一味。何で桃なんだ。余程桃が好きなのか。
追記2:マックス・チェーンの妹の名はアガサ。なるほどマックスの妹にふさわしい名前だ。
追記3:ベルギーのブリ―ジュの港で犯人の乗った船を捜査する際、調査した船のうちの1隻に“ゼーアドラー号”という船が出てきます。
「五本マストの帆船で、南米のブエノスアイレスいき」
第一次世界大戦中、現実にこの名の軍艦があったようです。
本作品の発表は1926年。モデルにしたのかもしれません。
wikipedia:ゼーアドラー (帆船)
追記4:検索しても、スピードウェル氏に言及しているページはほとんどありません。やはり皆様脇役に関心ないのでしょうか。ただ一つ、グーグルブックスで本書の完訳版が出てきました。それによると彼は私立探偵ではなく、興信所の社員探偵のようで、色々と行動・発言しているようです。できれば完訳を読んでみたい。
ブクログ http://booklog.jp/item/1/4251080521
本が好き! http://www.honzuki.jp/user/homepage/no11083/index.html
読書メーター https://bookmeter.com/books/12076142
wikipedia:F・W・クロフツ
31の読書日記 フレンチ警部とチェインの謎 [海外の作家 F・W・クロフツ]
http://mhikky.blog.so-net.ne.jp/2013-01-28
たむ読書&映画&音楽日記
■[創元推理M]『フレンチ警部とチェインの謎』F・W・クロフツ/井上勇訳(創元推理文庫)★★☆☆☆
http://d.hatena.ne.jp/doshin/20110820/p1
odd_hatchの読書ノート
フリーマン・クロフツ「フレンチ警部とチェインの謎」(創元推理文庫)
http://d.hatena.ne.jp/odd_hatch/20110311/1299811324
The Road Site Mystery Collection フレンチ警部とチェインの謎
http://roadsite.road.jp/mystery/fwc/crofts06.html
猫額洞の日々 F・W・クロフツ「チェイン氏の秘密」読了
http://byogakudo.exblog.jp/21216534/
蜥蜴蜉蝣 −とかげろう− F・W・クロフツ『フレンチ警部とチェインの謎』
http://blog.livedoor.jp/yotsuya151/archives/21102233.html
僕の猫舎
シリーズ2作目の呪いって存在するんだな【感想】ー『フレンチ警部とチェインの謎』F.W.クロフツ
http://www.bokuneko.com/entry/2017/01/26/210613
推理小説のお時間 F・W・クロフツ No.6◇フレンチ警部とチェインの謎◇
https://ameblo.jp/bookcafe-cosmos/entry-12240422828.html
ミステリー・推理小説データベース フレンチ警部とチェインの謎
https://www.aga-search.com/detective/inspector_french/2.shtml
ミステリの祭典 フレンチ警部とチェインの謎
http://saiten.dip.jp/mystery/main/list_review/5848
ブクログ
http://booklog.jp/item/1/4488106056
http://booklog.jp/item/1/B000JAH8YM
読書メーター
https://bookmeter.com/books/467006
https://bookmeter.com/books/1945033
なお、本作品には福島正実訳のジュヴナイル版もあります。
私が小学生時代に読んだのはこちらでした。
内容はほとんど忘れていましたが、スピードウェルのことはずっと覚えていました。
すぺくり古本舎
海からきたなぞ〈中学生ワールド文庫・推理小説〉
中学二年コース7月号第4付録【小型本】
フリーマン・W・クロフツ(原作) 福島正実(文)岡野謙二(絵)
学習研究社/昭和42年7月1日
http://supekuri.shop-pro.jp/?pid=85004439
ブクログ
http://booklog.jp/item/1/4265008151
http://booklog.jp/item/1/B000JBQ2AW
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https://bookmeter.com/books/40830
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