現代アート、超入門! (集英社新書 484F)
現代アートの代表的作品を1つづつ取り上げ、現代アートの楽しみ方を考える12章。
最初の方は
1 マティス『緑のしずのあるマティス夫人の肖像』
2 ピカソ『アヴィニョンの娘たち』
3 カンディンスキー『コンポジションVI』
4 キルヒナー『ストリートシーン ベルリン』
……と、まだ、何とか分かりそうな作品がテーマ。
『コンポジションVI』も抽象画ですが、描くのは技術が必要で簡単には描けません。
ところがついに第5章で
デュシャン『泉』
が登場。
この『泉』のような「考え方」を問うアートのことを「コンセプチュアルアート(概念のアート)」といっている。また、便器のように、すでにあるものを利用した手法は「レディメイド」と呼ばれている。そして、『泉』は、コンセプチュアルアートとレディメイド双方の起源としてアートの歴史の金字塔となっている。
「コンセプチュアルアート」とか「レディメイド」とかいうのは便利な概念です。身も蓋もない言い方をすれば、「芸術と言ったもの勝ち」なのです。
私がそこら辺にある適当なものを適当に並べて写真に撮って
“「レディメイド」の「コンセプチュアルアート」だ”
と主張することも許されるのです。うまくいけば、親切な人が適当に理屈をつけて認めてくれるでしょう。
……と喜んでいたら、
9 ウォーホル『ブリロボックス』
でアートの定義論が再燃。
哲学者アーサー・ダントーが結論します。
「それは鑑賞する側の人間(が決める)」
「ただ単にアーティストが「これはアートだ!」と述べているだけではアートとはいえない」
「鑑賞する側の合意があって初めて、アートは成り立つ」
確かにこれでスッキリする結論です。
しかしことはそれほど簡単ではないようで、アート界に身を置く人間でも人によって意見は違う。ましてや一般人の意見は百人百様なのです。
実際、その後の章でも
10 セラ『傾いた弧』
11 セラーノ『ピス・クライスト』
などの百家争鳴の問題作が登場します。
結局、本書の記述でも結論や解答のようなものは出ていないし、出せないものでしょう。
しかし各章において問題作を前にしてあれこれ論じられた著者の見解を読むことによって、現代アートを身近に感じることができたような気がします。
ツイッターで色々見ていますと、素人の方でも立派な現代アートを創作している方々が沢山おられるではありませんか。
12章 名作はあなたが見つけるもの!
と論じられていますが、さらにその上をいって
【名作は私が創作するもの!】
という気概を持ちたいものです。
なお、本書で論じられた作品で私の一番のお気に入りは
7 マグリット『光の帝国』
マグリットはシュルレアリスムに属する方という。
シュルレアリスムというと、ダリもそうですね。
著者の藤田さんには今度は シュルレアリスム、超入門! を執筆して頂きたいものです。
wikipedia:シュルレアリスム
ブクログ https://booklog.jp/item/1/4087204847
本が好き! https://www.honzuki.jp/book/27069/
読書メーター https://bookmeter.com/books/138720
■[学問]大人の教養としてのアート入門 スマート新書
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20181110/p1
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