風と雲と虹と　第44回玄明慟哭　戦争は成り易く和平は成り難い

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風と雲と虹と―平将門の時代 (1975年)

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　前回、和平に不満で陣に帰った源経基（菅野忠彦）は
「興世王（米倉斉加年）と将門（加藤剛）が組んで反逆を企てたのだ！！」
と妄想をつのらす。
　興世王と将門は経基を迎えに行くが追い返される。
　

　武芝（宮口精二）は鹿島玄明（草刈正雄）に昔、傀儡の女との間に生まれた子ども（姉と弟）の話をする。
　これは二週前から示唆されていた武蔵（太地喜和子）と玄明のことか？！
　

　二人を怒らせたと思った経基はパニックになり、守りを固めようとする。
　一方、将門は郎党達も酒宴に加えようと提案。郎党達も飲み食いを始めて盛り上がる。
　

　玄明は夢を見る。これは自分と姉と母のことだと知る。
　

　盛り上がった郎党達は経基の郎党達も仲間に入れてやろうと誘いに行き、弓で追い払われる。
　小競り合いが始まり、将門達が仲裁に向かうが武芝に弓が刺さる。
　
　もう、主君がお人好しなら郎党もお人好しです。
　一応は戦闘状態なんだから。
　主君を介さずに勝手に懇親を結ぼうとするからこじれるのです。
　しかしこれは不幸な事件です。
　和平なんて、１００人いて９９人まで和平に賛成しても残る一人が馬鹿なことをすれば壊れてしまいます。
　和平は成り難く戦争は成り易い。
　相手を騙しても自分が勝てばいいのだと思う者がいては平和は訪れません。
　相互に信じ信頼してこそ平和は成るのです。
　例えば、日本神話でもヤマトタケルはクマソタケルやイズモタケルを騙し討ちしています。
　先日終了した『麒麟がくる』でも病気だと偽って親族を呼び出して殺してしまう場面がありました。
　人はこのような不幸な歴史を繰り返してきました。
　そしてそのようなことを繰り返さないために立憲主義・民主主義というものを発展させてきたのです。
　無法な不幸を繰り返さないためにも立憲主義・民主主義は守っていきたいものです。
　

　ちなみに、これが和平勧告に応じず弓で武芝を射殺した郎党。
　経基の郎党として大竹まこと・加賀谷純一・田原アルノ・山之内哲平がクレジットされていますが、そのうちの誰かなんでしょうか。
　

　源経基は都に逃亡。
　この事件はけら婆（吉行和子）により伊予の藤原純友（緒形拳）に知らされた。
「随分待たしたな、将門」
「俺は待っていたぞ」
「しかし、しかし、いよいよだな」
と喜ぶ純友。
「行かねばなりませんわ、私が」
と武蔵（太地喜和子）。
　一体、何を騒いでいるのでしょうか。謎かけのような問答。
　一応、呼応して反乱を起こすことを武蔵が伝えようとしているのではと想像。

　源経基の讒言を受けて対応が話し合われる。
　下っ端が将門追討を主張するが、最高位の藤原忠平（仲谷昇）は将門びいきであった。
　坂東の国司に年貢の取り立てを命じ、将門には下総守の位を授けて国司を助けるよう命じるという。
　忠平の将門びいきは温情あるように見えますが、年貢の取り立てを命じられる将門にしては有難迷惑ではないでしょうか。
　しかし、田原藤太（露口茂）なら有難く思って言われた通りするかもしれません。
　しかし、将門を下総守に任命するのなら、将門追討使に命じられて坂東に下ったはずの貞盛（山口崇）はどういう扱いになるのでしょうか。政策に整合性を持たさないと混乱します。
　
　年貢の取り立てが厳しくなり、浮かれ人が増加。
「見捨てるわけにはいかない」と将門。
　これが将門にとって最後の夏らしい。
　ところで、将門の母・正子（新珠三千代）はどうなったのでしょうか。
　良子（真野響子）の父・良兼（長門勇）の葬式の話は出ましたが、正子の葬式の話は出ていません。
　戦を避けて良文（渡辺文雄）の叔父のところに避難したということですが、その後再会したのでしょうか。
　
　それから、以前はけら婆（吉行和子）は配下の傀儡達と一緒に行動していましたが、最近は傀儡達は登場しません。
　美濃（木の実ナナ）はじめ傀儡達はどうしているのでしょうか。けら婆抜きで全国に興行に行っているのでしょうか。
　
　そして興世王（米倉斉加年）のいい人化が進みます。前回前半の悪逆ぶりが嘘のようです。もう「オキちゃん」と呼んでいいですか？
「経基殿が清和天皇の孫ならこちらは桓武天皇の孫だ」
と、史実では系譜は不明のようですがこのドラマでは桓武平氏のようです。
　まあ将門の周囲は敵ばかりなのだから、たまにはこういう人もいないと。
　ただ、本当に強くて頼りになる味方かどうかは不明ですが。
　
　