とりあえず坂東独立戦争が一段落したので、将門(加藤剛)は慰労会を開いて兵士達を農村に返します。
興世王(米倉斉加年)が微妙な位置に座っています。浮いているようです。
そのことを知った田原藤太(露口茂)は
「あの男らしい」
「やがてそれが必ずあの男を討つ」と。
藤太さんはこのドラマでは予見者的存在ですね。
田原藤太(露口茂)を貞盛(山口崇)が訪れる。
藤原惟幾(横森久)・藤原為憲(中島久之)も連れて来て藤太を説得。
「人々の心の底には、より強い権威に寄りすがりたいという気持ちが実は強いのではないか。
いや、うち続く戦乱の世となれば、きっとそうなる。
そしてそのより強い権威とは、公(おおやけ)です。
私は公の実質を言ってるんじゃない。信仰です。
公に対する人々の信仰。
それはまだ決して消えてはいないのです。」
前回の将門と違って外交・軍事交渉の基本に則った説得なので説得力あります。
まるで赤壁の戦いを前に孫権を説得する諸葛亮。
前回の将門もこのようなタイプの交渉を行うべきだったのです。
しかし貞盛も第27話あたりでこの交渉力を侘田真樹(藤巻潤)や繁盛(佐々木剛)に使って和平論を説いてほしかったですね。
やはり言葉を適切に使わないと他人を動かせないという現実がありますから。
“風と雲と虹と 第27回 折れた矢”
https://diletanto.hateblo.jp/entry/tairanomasakado27
それにしても、「公」とはいわゆる「錦の御旗」ですね。
貞盛の言う通り、公に対する信仰は明治維新や昭和初期の軍国主義時代を経て今でも生き続け、いや、強化されていっているように思います。
そういえば大河ドラマ第51作『平清盛』(2012年)には「王家」という呼び方に対して国士様達が騒いでいました。『風と雲と虹と』放送時は戦後民主主義が強かった時代だからいい時代だったでしょうね。
その夜、非常に悩んだ末、決断!
「小次郎将門。わしの若い頃そのままのような。」
かなり悩んでやつれていることは分かるのですが、やはり結果が全てですね。
将門と貞盛のプレゼンテーション・交渉力の差もあるようです。
ここまで迷うのだったら、もう少し将門のプレゼンテーションが優れていたら・もう少し貞盛の交渉力が下手だったら……と思ってしまいます。
現代社会に生きる我々の教訓になるようです。
藤太が密かに兵を動かしていると知った将門陣営は愕然と。
一方、二股工作をしていた藤原恒利(今福正雄)は藤原忠平(仲谷昇)に面会かなって感激。
武蔵(太地喜和子)と季重(沢竜二)を騙して検非違使に差し出す。
刀での戦いなら相手が多くても勝てたでしょうが、弓矢で狙われるとひとたまりもない。
季重は弟と同じく弓矢で殺される。
何とか逃げ出した武蔵は鹿島玄明(草刈正雄)に救出され、純友(緒形拳)と最後のお別れができた。
しかし藤原恒利はひどい奴です。
娘の夫となっていたかもしれない純友が選んだ人を騙し打ちするとは。
恒利の行動原理は人ではなく、自分の利権だということが分かります。
利権の切れ目が縁の切れ目。
それにしても藤原忠平に面会を許されて舞い上がって仲間を売ってしまった恒利は、貞盛の言う
「より強い権威に寄りすがりたいという気持ち」「公への信仰」
を体現しています。
貞盛は適切な評論家ですね。
そういえば第30話で鮫(丹古母鬼馬二)と折り合いが悪く乱闘騒ぎを起こした紀秋成(平田守)は、第33話では紀淑人(細川俊之)が持って来た宣旨に平伏し、純友は「この男はいなくなるな」と思います。
その後、紀秋成は登場しないようだから、やはり帰順したのでしょう。この紀秋成も
「より強い権威に寄りすがりたいという気持ち」「公への信仰」
を持った人間の見本です。
“風と雲と虹と 第30回 遊女姫みこ”
https://diletanto.hateblo.jp/entry/kazetokumotonijito30
“風と雲と虹と 第33回 凶兆”
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2020/10/28/195046
藤太の敵対がはっきりしたので将門は先手を取って攻撃に出る。
しかし藤太の見事な用兵により兵が分断され、多治経明(金内吉男)と文屋好立(大宮悌二)が率いる後詰めが壊滅。
将門は一旦退却を決意。
退却戦は厳しいということは、戦国時代のドラマを見ていると分かります。
しかし将門軍の見事な撤兵に藤太も貞盛も圧倒されて手が出せない状態。
追撃を主張する藤原為憲(中島久之)に藤太は
「口を慎めこわっぱ!」
と一喝。
これがかの有名な「黙れ小童!」のルーツのようです。
2位は「黙れ、こわっぱ!」最終回直前!「真田丸」視聴者が選ぶ名ゼリフ1位は?
https://thetv.jp/news/detail/95586/
黙れ小童! とは【ピクシブ百科事典】
https://dic.pixiv.net/a/%E9%BB%99%E3%82%8C%E5%B0%8F%E7%AB%A5%21
普通、後詰めの方が安全かというイメージがあるのですが、先陣と中軍をやり過ごして脆弱そうな後詰めを狙い撃ちした藤太&貞盛の作戦勝ち。手強い敵は避けて弱いところを狙うというのも立派な兵法です。
藤原為憲(中島久之)に学ぶ気があるのであれば、机上の孫氏の兵法よりも活きた藤太の兵法を間近で見られて勉強になるのでは?
しかしもしここに鹿島玄明(草刈正雄)がいたなら、藤太軍の伏兵を発見して知らせてくれていたでしょう。
玄明は現在京都で義賊行為をしていて不在なのだった。
それなら、けら婆(吉行和子)はどうしている?
他の傀儡を傭兵として派遣してほしかった。
ただでさえ兵力が圧倒的に少ない将門軍の半分が早くも壊滅。
やはり田原藤太&平貞盛連合軍は強い。
今まで戦ってきた源氏や平氏軍とは全く違います。
ラスボス・田原藤太を得た貞盛が名参謀としての能力を開眼。
本当ならばこの二人が将門に着いてくれれば良かったのですが。
そういえば、今まで将門と敵対していた源氏や平氏軍はどうしているのでしょうか。
藤太軍の片隅にくっついているのでしょうか。
そして毎度書いていることですが、中立を守っていた平良文(渡辺文雄)や将門の母 正子(新珠三千代)はどうしているのでしょうか(しつこい)。
ともかく、緒戦でここまで大敗してしまうとは絶望的です。
そしてついに残るところあと1回。
将門の最後を観るのは辛いところですが、見届けたいと思います。
- 作者:海音寺 潮五郎
- メディア: 文庫
雑記帳
第51回「激闘」
http://sicambre.at.webry.info/201006/article_30.html
戦国放題 こたつ城
「風と雲と虹と」8(47~52)
http://kotatu.jp/hyo/sakuhin/masakadozakki/47-52.htm
14風と雲と虹と76 過去ログ
『麒麟がくる』で考える社会と人生
毛利元就 過去ログ
新選組! 過去ログ
平清盛 過去ログ
wikipedia:風と雲と虹と
#平将門 #風と雲と虹と
ツタヤ
NHK大河ドラマ『平将門』『藤原純友』
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