コロナ時代の読書療法　ムーミンシリーズがいいらしい『心と体がラクになる読書セラピー』

　読書療法についての話題がエッセイ風につらつらと述べられています。
　読み物としても面白い。
　日本では読書療法はあまり知られていませんが、外国では研究が進んでいるようです。
　そういった国では図書館司書は健康情報の知識も必要となってきているようです。
　日本でも図書館の民営化だとか経費削減の方向に持って行く前に、読書療法への導入等専門性を向上させる方向に持って行ってほしいものです。
　イギリスの読書療法家のある方は読書療法にムーミンの本をよく利用するとか。
　ちなみに、コロナ禍のロックダウンを乗り切るためにお勧めするタイトルも挙げられています。
　
新装版　ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)
新装版ムーミン谷の冬 (講談社文庫)
新装版ムーミンパパ海へいく (講談社文庫)
新装版ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)
　　
　著者の寺田さんは帰国子女で日本の教育に合わなかったためにうつ病を経験したといいます。
　そのような状態の時、本に救われて読書療法に目覚めたそうです。
　本書でも自分の体験からうつ病治療のための７ステップ読書法について解説されています。
　自分なりに読書療法を確立し、日本で読書療法を研究している団体がないことに気付き、自分で日本読書療法学会を設立されたということです。
　一つの成功物語です。
　
　実は私も中学３年とそれに続く高校時代、思春期の変化と対人関係に対処し切れず重いうつ病を発症し、本も読めない状態になってしまいました。
　寺田さんは本を読んでうつ病を治し、私は本を読めなくなってうつ病を悪化させ人生に転落しました。
　これは辛い現実です。
　それでも一度だけ、一発逆転の機会はあったのです。
　社会人になってから占いに興味を持って占いを学びに行きました。
　その際、お勧めの本を紹介するという占い＋読書セラピーのようなことをしたらどうだろうという企画を持っていたのです。
　しかし、依然うつ病は回復せず読書もできない状態で占いの勉強が進むはずありません。
　何より自分のうつ病が治らない状態で他人様の悩み事など対処できるはずがない。
　結局、占い師としても失格に終わりました。
　もしこの時に自らの読書療法を確立してうつ病を治した上で占いをマスターしていたら、読書療法のできる占い師として活動できていたかもしれません。
　結局何者にもなることができなかった私の失敗の歴史です。
　
　今の視点から当時の私にアドバイスするとすると……。
　まず、うつ病を治して頭をクリアにすること。
　そのためには短時間睡眠マスターというバカな妄想はあきらめて必要な睡眠時間を取ること。
　それから読書療法でうつ病を治すこと。
　大人向けの本が読めないのなら、絵本や児童書を読むこと。
　或いは、本書で第一ステップとして挙げられているように、写真集を見ること。
　廃墟だとか珍スポットだとかレトロ系だとかトマソン芸術系とか、読みたかった写真集も一杯あったはずです。
　全部購入するのは無理だから図書館や古本屋を利用して。
　中途半端な状態で何事も中途半端に取り組むと時間を無駄にするだけだから、集中して一つ一つの課題を確実に進めていくべきでした。