【あらすじ】
動物指導センターに務める飛田民彦は野良犬などの野生動物を捕獲し処分する毎日を送っている。
ある日民彦は山の上の薬品研究所の研究者・的場義久に話しかけられ、親しく会話する仲になる。
そのような時、薬品研究所の近くの森で野生の白ネズミが出現するようになり、小学生の間で原因不明の発熱が流行し出す。
民彦は的場や恋人の麗から動物実験や薬品のことを色々と教わり、知識と経験を増やしていく……。
笹の実がなると野ネズミが大量発生するということです。
そして実がなるとその笹は枯れてしまうみたいです。何となく不穏な予感がします。
……と、パニックエンタメ小説となりそうな素材なのですが、内容は民彦が的場博士と交流したり麗と知り合って付き合ういきさつが描写されたりと、民彦の成長物語となっています。民彦の仕事の描写や的場博士や麗が語る薬品業界についての色々が興味深かった。
そして面白そうなテーマとなりそうな野ネズミ騒動は有耶無耶に終わってしまいました。
つまり、本作品はエンタメ小説ではなく、あくまでも文学系の小説だったのでした。
製薬の事情が詳しく書かれていると思ったら、作者は化学会社に勤めておられたようです。科学系の解説本も書かれているようです。
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[wikipedia:河野修一郎]
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