残念ながら私は今までシェイクスピアの作品を完訳で読んだことありません。
子ども向け翻訳は部分的に読んだことあります。
しかし、四大悲劇の一つである『オセロー』だけは読んだことなかったので、図書館の児童書コーナーで児童書版を借りてきました。
何で今まで読まなかったのかと残念に思うほど、素晴らしい内容でした。
社会で生きていると、イアーゴーのような人間はいるものです。つまり、親切な助言者のふりをして近付く詐欺師です。
本作品を読んでいると、将来、そのような人物が近付いて来た時に「こいつはイアーゴーではないか」と疑うことができます。
もっとも、本当に自分のことを考えて助言してくれる人を「イアーゴー」と間違える恐れもあります。
そこは自分の判断力を磨いておく必要があります。
いずれにせよ、典型的なイアーゴーというタイプを本作品を通して知っておくと、その後の人生に役に立つでしょう。
将来、自分がオセローやデズデモーナやキャシオーのような立場に陥った時、少しは冷静になって対応できるのではないでしょうか。
まあ私は典型的なお人よしの坊ちゃんタイプなので、騙される心配ばかりしています。とても他人様を陥れる能力はありません。逆に、狡猾で悪い奴ならば、イアーゴーをお手本にしようとするかもしれません。この世にはどうしてもイアーゴーのような人間がいます。そういうのに騙されないためにも本作品を知っておくべきでしょう。
本書は子ども向けのシェイクスピア全集のうちの一冊。何と小田島雄志さんの訳が底本となっています。そして挿絵は里中満智子さんです。
冒頭に「『オセロー』について」という小田島さんの2ページのコメントが掲載されています。
本作品は四大悲劇の中で最も批判の多い作品だとか、「イアーゴーこそ真の主人公」とするあやまった考えがあったとか、「二重の時間(ダブル・タイム)」が流れているとか、短いページに鋭い指摘が詰め込まれています。たった2ページでは惜し過ぎます。
一方、巻末の解説はありません。どうせなら巻末にたっぷりと解説ページを設けてほしかったと思います。
最後、イアーゴーは役人に捕らえられて刑に服すようです。悪人が罰せられて良かったです(最近、日本では悪人が逮捕されないケースが増えてきました)。
所詮イアーゴーは妻のエミリアからも見捨てられる小悪党です。オセロー周辺の人物を騙すのが精一杯でした。
しかしイアーゴーが最高権力者になり、周囲が忖度すると大変なことになります。
世襲により民主主義国家のトップになり上がったアベーゴーは司法もマスゴミも支配下に置き国民を騙し続けました。死んでもまだ国を支配し続けています。公人と私人の立場をずるく使い分けて悪政に介入した妻のアキエミリアも健在です。
平和憲法に基づく民主主義国家も、憲法が改悪されて軍国主義独裁国家に変わろうとしています。
もうこの流れは圧倒的で、少しばかりの人々が声を上げても止めようがありません。
これは四大悲劇ならぬ国家的悲劇・『オセロー』ならぬ『ケンポー』であります。
●ブクログ https://booklog.jp/item/1/4811374045
●読書メーター https://bookmeter.com/books/204430
[wikipedia:オセロー]
[wikipedia:デズデモーナ]
[wikipedia:ウィリアム・シェイクスピア]
[wikipedia:小田島雄志]
[wikipedia:里中満智子]
[wikipedia:オセロ症候群]
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物語オセロー (シェイクスピア・ジュニア文学館 7) 小田島雄志
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