岩崎書店の小学生を読者対象にしたであろう「世界の名探偵」シリーズ全10巻のうちの一冊。
10巻のうち日本の名探偵は明智小五郎・三毛猫ホームズと並んで半七がラインナップされています。
明智小五郎は当然の選出ですが、三毛猫ホームズとは今風で新しい。その三毛猫ホームズに並んで半七が登場とは、渋すぎます。
私が小学生の頃は小学生向けの捕り物小説なんて出てなかったように思います。この選定は攻めています。
巻末の縄田一男さんの解説も充実して良い。本書をよめばキミはもう半七博士だ!!
しかし小学生の頃の私がこの本の表紙を見たら「おじんくさいわー!」と笑っていたかも。(画家の小泉英里砂様及び関係者の皆様、申し訳ありません。何せ私が子どもの頃は時代劇なんてお年寄りが見るものとばかり思っていたもので……。)そんなクソ生意気な小僧だった私も今では正真正銘のおじんになってます。
【津の国屋】
大商人である津の国屋を恨んで死んだお安の幽霊がたたって津の国屋に不幸が次々と発生!これはどうしても心霊現象だ!超常現象だ!ミステリーというより心霊話では?果たして事件はどう解決するのか!!
……心霊趣味のミステリーですね。半七捕物帳もなかなか面白いのではと思わせる話。
ただ、この話では半七は最初と最後に少しだけ登場するだけで、探偵として活躍しているのは二枚目の岡っ引の常吉さんです。
【雪だるま】
雪だるまの中から死体が出てくるという衝撃的な始まり。
この物語では半七親分は日本のシャーロック・ホームズと呼ばれるのにふさわしく実地調査したり犯人とのアクションシーンがあったり大活躍しています。
【三つの声】
探偵クイズや探偵パズルのような安楽椅子もの。確実な証拠がないのにいきなり「お前が犯人だろう!」とハッタリをかませて自白させます。少々乱暴。
最後に半七老人は、取り調べには度胸とハッタリも必要だ、と自己解説されています。
いやー渋い渋い。子ども達にこれを読ませるとはなかなかのものです。
しかし今の子供達には時代背景は分かるのでしょうか?
私が子どもの頃は時代劇もよく放映されていて、父親やおばあさんが見ていたのをそばで見ていたので私も何となく時代背景は分かっていました。しかし最近はあまり時代劇はやってないからなあ。
確か渡部昇一が捕物帳で素晴らしいのは銭形平次と半七で、その中でも特に半七が素晴らしい、と書いていました。
晩年は増長して御用学者に成り下がって政権を批判するジャーナリストを言論弾圧していた渡部昇一ですが、これはまだ真摯に知的生活していた頃の『知的生活の方法』に書かれていたことなので傾聴に値する説だと思います。
ところで半七老人は姓が設定されていないのでしょうか。岡っ引には姓がないのでしょうか。その辺詳しくないのでよく分かりません。
●ブクログ https://booklog.jp/item/1/4265067387
●読書メーター https://bookmeter.com/books/48200
[wikipedia:半七捕物帳]
[wikipedia:時代小説#捕物帳]
[wikipedia:岡本綺堂]
岡本綺堂「半七捕物帳 朝顔屋敷」
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20050607/p1
世界の名探偵10 三毛猫ホームズ(岩崎書店)
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2024/06/25/205605
渡部昇一の「知的生活の末路」に見る【知的生活】の功罪
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2023/12/22/213923
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