シェイクスピア『ハムレット』の設定や登場人物を使って太宰治なりに物語を再構築したもの。原作と比べると太宰治の創作の特徴がよく分かります。
原作では死んだ前王の幽霊が登場して語ったことは本当のこととして扱われていて、クローディアスは問答無用の悪人となり、ハムレットは復讐に真っ直ぐ突き進みます。
ところが本作品では幽霊は直接登場せず、ハムレットを含めて登場人物は皆、幽霊が出る噂を笑い飛ばしています。
この幽霊の語ることを真に受けないことは、原作の前提条件をまるで無視することになっています。さすがは文明時代に生きる現代の知識人・太宰治です。
原作ではハムレットはクローディアスの罪の有無を明らかにするため、劇団員に劇を演じさせます。
ところが本作品ではこの劇のくだりの主導人物はポローニヤスです。ハムレットは、劇を見てどんな反応をしてもそれはクロもシロも表さない、と醒めています。さすがは現代に生きる醒めた若者です。
一方、ポローニヤスは年寄りの冷や水ならぬ、若者らしい熱血漢に描かれていて大暴走の大活躍をしています。
原作では幽霊の証言を信頼して演劇を見た反応でクローディアスは「推定有罪」ということになりますが、文明社会では確固とした証拠なしでは有罪にすることはできません。よって本作品ではクローディアスの前王殺しの真相は藪の中となっています。文明が進むほど物事は複雑になっていくのです。
原作では主要人物のほとんどが死んで終わりとなりますが、こちらではノーウエーとの戦争が始まって終わりとなります。
本作品の発表は1941年7月。この年の12月に太平洋戦争が始まります。
ハムレットとレヤチーズがお互いをライバル視して嫌っている描写など、太宰治らしさ満載の描写です。
とはいえ、太宰治作品によくあるような大暴走もなく、さすがに原作の枠内で節度を保っています。
太宰治作品はよく主人公が大暴走して周囲に迷惑をかけまくる展開となります。私はそれが大嫌いで太宰作品が大嫌いなのです。
ところが本作品は節度が保たれていて、太宰治の良い面がよく現れていると思います。よって私にとっては好きな部類に入る太宰作品となりました。
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