OLDIES 三丁目のブログ

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ある夏の日 老数学者が元妻と遭遇するリレー小説【愛と美について】


ろまん燈籠』に登場する入江家の五人の兄弟姉妹がリレー小説を創作する話。
 1939年発表。
『ろまん燈籠』は1940年から41年にかけて書かれたものらしい。
 だから『愛と美について』が先にできて、その設定を練り直してリブートしたのが
『ろまん燈籠』です。
『愛と美について』では、亡くなった父親の名前は登場しません。
 だから『ろまん燈籠』に名前だけ出てきた洋画の大家・入江新之助氏というのはやはり太宰の創作だったのでしょう。
『ろまん燈籠』では入江家の家族構成について作り込まれています。
『愛と美について』では家族構成より、リレー小説の方が主となっています。
 このリレー小説が凝っています。
 最初に21歳の次女が「おじいさんを主人公にしよう」と言います。若い盛りの少女の発想としてはなかなかない発想ではないでしょうか。
 そこで一高に通っている18歳の末弟が数学者の老人の研究について話し出します。
 しかしこの数学の研究の内容について何を言っているのか分からない。当時は18歳でこんなことを習っていたのですか?
 長女が起承転結の承で話を受けると、24歳の次男が「転」です。何とこの老数学者が街で別れた妻と会って話をするという展開です。
 24歳でまだ学生の身で結婚もしていないというのに、離婚後に先妻と会う話を持ち出すとは、すごい発想です。
 太宰治は1909年生まれだから30代初めに書かれたことになります。太宰は大学生時代から心中に失敗したり入籍したり早熟だったようだから、これは早熟で早くから人生の修羅の経験があった太宰治だから書けたストーリーでしょう。
 ウィキペディア太宰治の人生を見ると若い頃から色々あって大変だったようですが、1938年に石原美知子さんと結婚して生活が改善したようです。
富嶽百景』『走れメロス』はこの頃の作品のようです。
 読書メーターには入江家のモデルは石原家だと書かれている方がいらっしゃいました。
 戦争で大変な時代だったけど家庭的には結婚して健全であった時代に書かれた作品だったのですね。
 終戦後に最高傑作『パンドラの匣』を書いた後、太田静子や山崎富栄との関係ができて再び乱れていくようです。


ブクログ
  https://booklog.jp/item/7/001578
  https://booklog.jp/item/1/B009IY5LW6
読書メーター
  https://bookmeter.com/books/5589188

[wikipedia:太宰治]

太宰治の「愛と美について」のラストがよく分からないです
  https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12293070192

【私が好きな太宰作品】(ロマネスクとユーモアの太宰さん)
パンドラの匣 太宰治の最高傑作
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/20150724/p1
太宰治【ろまん燈籠】懐かしき入江家の物語
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/08/04/061423
ある夏の日 老数学者が元妻と遭遇するリレー小説【愛と美について】
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/08/11/202026
【新ハムレット太宰治描く新時代のハムレット
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/07/11/061931
トカトントン 太宰治
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/2021/06/06/200610
少年少女・ネタバレSALONO(ネタバレ注意!)
 原作以上に太宰治的 映画「パンドラの匣
  https://sfklubo.blog.jp/archives/12884340.html
  
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