私の持っている1982年第8刷と表紙が違うので内容も違うかも知れませんが
学研 物語日本史 第9巻 259頁~318頁
◆ききんと一揆 北小路健 絵・高橋国利
1785(天明5)年、一人の旅人が出羽の国から津軽へ入った。
彼は荒れた地に幾多の白骨を見、通りかかった農夫から飢饉の惨状を聞いて驚愕する。
旅人の名は菅江真澄。主に東北地方を旅して数々の記録を残した国学者である。
江戸時代後半のききんと一揆の物語を菅江真澄から始めるところが渋いです。
天明の時代以降に一揆が頻発しますが、その時代に芝居となって流行していたのは江戸時代初期の佐倉騒動という。
ここで著者は佐倉惣五郎の事件を描いていきます。重税に苦しむ農民のために領主を飛び越えて江戸幕府に訴えをした名主。訴えは認められて重税は改善されたが、佐倉惣五郎は妻や4人の子と共に処刑されてしまったという。

ウィキペディアの記述によると佐倉惣五郎についてはよく分かっていないようです。
ある種一般庶民の願望を投影した伝説のような物語なんでしょうか。
飢饉が続き騒然となった社会で、おかげまいりが発生し、やくざ者が増えていく。
おかげまいりもいいことばかりではなく、ひどい目にあった人もいたと、マイナス面についても記述されています。
「小説や映画や演劇で、“やくざ”はしばしば美化され、英雄あつかいされる」
が、
「たまにそういうことがあったとしても、それはみな恩を売っておく手段なのだ。けっきょくは、わが身の安全をはかるための方法にすぎない」
「かれらの存在は、天災や地変が、人々に底知れぬ不安と実害をあたえたのとならんで、大きな社会不安の種だったことを、はっきり知っておく必要がある」
と、ヤクザについても冷静な記述がされています。
この章の終わりに、大塩平八郎の乱(1837年)が描かれています。
私も反体制的な面がありますのでこの展開には燃えました。
大塩の乱にしろ由井正雪の乱にしろ、もっと広く知られるべきだと思います。
私が高校生の時、現代社会の先生がドラマ『水戸黄門』をえらく批判していました。
私はこのドラマが好きだったので、その意味が分からずにひどいこと言うと思っていました。
今考えると、民主主義を守るためには水戸黄門や遠山の金さんや暴れん坊将軍などの「お上」に頼るのではなく自分達で行動しなければならない、という意味なのではと思います。
そういう意味では大塩の乱や由井の乱などは民主主義を実践していく上で知っておくべき重要な歴史知識だと思います。
(内閣官房機密費の分け前をもらっている御用コメンテーターは「テロリストや暴力革命を賛美するとはけしからん!と言うでしょうが)


以上、学研物語日本史第9巻を読んできました。4月から読み始め今は12月です。
この9巻は全て北小路健さんの筆で、一部に蛮社の獄や農民一揆などがありましたが、大部分が文化的な事項であって大事件が少ない巻でした。
しかし、北小路さんの文章は細やかで行き届いていて、読めば読むほど味わいがあります。中年以降にその良さが分かるような気がします。折に触れ読み返したい気がします。そう思うと、本を処分することがためらわれます。
今後も私が少年時代に買ってもらった学研物語日本史を少しづつ読み返していくつもりです。
●ブクログ
https://booklog.jp/item/1/4050516934
https://booklog.jp/item/1/4051504158
●読書メーター
https://bookmeter.com/books/7194723
慶安の変 (1651(慶安4)年)
佐倉惣五郎 ( ~1653年)
菅江真澄 (1754(宝暦4)年~1829(文政12)年)
観測所雑記帳
学習研究社『物語日本史』
http://stelo.sblo.jp/article/188714301.html
学研物語日本史9 浮世絵物語 北小路健
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/04/21/062135
学研物語日本史9 ◆旅の詩人 ◆江戸時代の学問
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/05/11/193603
学研物語日本史9 ◆鎖国の窓 『風雲児たち』の時代
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/05/21/204257
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