エジプト十字架の秘密
エラリー・クイーン作
亀山龍樹・訳 横山まさみちと横山プロダクション・絵
あかね書房推理・探偵傑作シリーズ7
1973年8月初版
(あらすじ)
アメリカのウエストバージニア州のアロヨという小さな町で十字架にかけられた首なし死体が発見された!被害者は田舎の名士・バン校長である!
エラリー・クイーン探偵が調査するが、詳細は不明であった。
その半年後、エラリーは恩師・ヤードリー教授に呼び出される。教授が滞在中の友人の別荘の近所で奇妙な首なし死体が発見されたのである。
調査の結果、被害者のブラッドはバン校長の兄であった!さらに調べると、先のバン校長の事件と共通する怪しげな人物(エジプト風の新興宗教太陽教教祖・ハラークトとその助手・クロサック)が付近に滞在していたことが判明した!
さらにツバール三兄弟の残る一人・メガロも殺害され、隣人のテンプル博士も何者かに襲撃された!
犯人を突き止めたエラリーは特別機をしつらえて犯人を追跡する!
読者のみなさんへ
たたかいをいどみます
犯人は、だれでしょう?
ところで、二人目の犠牲者・ブラッド氏はチェッカーが大好きな名人ということで、チェッカーをしている最中に殺害されたということになっています。
チェッカーの駒が重要な証拠物件として挙がっています。
挿絵を見ると、チェスのナイトの駒が描かれています。
横尾忠則・画
横山まさみち・画
チェッカーについて検索すると、チェスとは違う別のゲームで、国によって色々な形態があるようです。チェスのナイトの駒を使うのでしょうか?
横尾忠則さんも横山まさみちさんもチェスのナイトの駒を挿絵として描いています。
ただ、ミステリー小説の挿絵としてはチェッカーの駒よりもチェスのナイトの駒の方がスタイリッシュで映えるような気がします。
これは横尾さんがこっちの方がお洒落だと解釈して描き、横山さんもそれを踏襲したのではないでしょうか?
しかしチェッカーとは面白そうなゲームです。
私が中学生の頃に「チェッカーズ」というバンドグループがいて大人気でした。
その時にチェッカーが流行るチャンスだったのではと思うのですが、チェッカーゲームについて言及した人もいなかったし、全く流行りませんでした。
(そもそもチェッカーズはチェッカーゲームとは全く関係ない命名だそうです)
私はスポーツは苦手で嫌いなのですが頭でっかちなのでマインドスポーツやボードゲームの類いに興味あります。
もし中学生時代にチェッカーを知っていたらやっていたかもしれませんが、友達がいなかったのでできなかったかもしれません。当時はスマホのゲームアプリなんてなかったし。
それはともかく私はこの物語は版違いで2017年10月に読んでいましたが、内容はほとんど忘れていて初読に近い感覚で読みました。
読者への挑戦状があります。カギは全て書き込まれているようです。
しかしその真相は私の想像を上回るものだったので、前回読んだ時、
「こんなの分かるはずない!」
と思ったことは覚えていたので、今回は半分あきらめて読んでいました。
こんなトリックがあったとは、驚きました。馬鹿正直な私には分かるはずありません。
ただし、一度このトリックを知ると、今後はこのパターンのミステリーを読んだ時に勘づく可能性は高くなると思います。
実際、ネット上の感想文を拝読すると、ミステリーの知識が多い方が「犯人が分かった」と書いているケースがありました。
こんな風にミステリーの読者の知識は広まっていき、創作の難易度は上がっていくのですね。
ミステリー作家は日々進歩して生意気になっていく読者を上回る発想力が必要なのです。
こんなことが続いていくといずれミステリーのネタはなくなるのではないかとも思われるのですが、人間の悪意というか創造力は際限ないようで、尽きることはありません。
現在でも日々ミステリーは量産されていて、
「衝撃の結末!」
といった宣伝文句が至るところで見られます。
「衝撃の結末!」のミステリーが生み出されている限り、人間の能力を人工知能が超えるという技術的特異点(シンギュラリティ)の心配はなさそうです。
……と、2017年10月のブログに書いたことそのままの感想でした。
私もあの頃からほとんど進歩がないようで申し訳ありません。
しかし今回は確実にこのパターンをマスターしました。
私のミステリー小説の知識は微々たるものですが、少しづつでも進歩していっているつもりです。
志新たに、今後もミステリー小説に挑んでいくつもりです。
ところで、本書の訳者は亀山龍樹さん。この方の訳は会話の文体が生き生きとしています。
中には原作にないフレーズがアドリブで入っていそうなセリフもあります。
「それに、ブラッドは、けっぺきな男だ。ひとのパイプを、口にはしませんよ。そんなことは、執事のストーリングスじじいのいれ歯を、自分の口にいれるようなものですからな。」
このセリフ、亀山さんのアドリブではないでしょうか?
【編集後記】
本作品のトリックはすごいものですが、その後多くの作品に取り入れられているようです。
私のミステリーの知識はまだまだで、
前回読んだ時点では忘れてしまって今回再受講したようなもんです。
残された人生であとどれだけ本が読めるか分かりませんが、
知的好奇心を持って今後少しづつでもミステリー知識を増やしていこうと思います。
●ブクログ https://booklog.jp/item/1/425108117X
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