OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

樺沢紫苑『読んだら忘れない読書術』を読んで現代日本を考える




 読書について色々な考え方が面白いネーミング(ウルトラマン読書術だとかワープ読書術だとか)で紹介されていますが、私にとって特に目新しいものではなかった。
 ということは、私の読書に対する考え方は樺沢紫苑先生と比べてそんなに劣るものではないということなのです。
 しかし現実社会での実績は月とスッポン以上の歴然とした格差があります。
 私が樺沢先生と比べて圧倒的に劣ることは色々あるのでしょうが、その中の一つは読書量の差でしょう。
 樺沢先生は

隙間時間を利用して月30冊読む
出かける前に決意すると1日1冊読める
 
ということですが、これが私には絶対に不可能なことなのです。
 私が本を1冊読むには1週間はかかるでしょう。
 樺沢先生は速読なんかしなくても読める、と書かれていますが、私は速読をマスターしない限りは読書量はこれ以上増えないでしょう。
 やはり本に対する考え方以前の問題で、読書量の差は歴然と存在します。
 そしてそれは本を読んだくらいでは埋められない生まれつきの差であり圧倒的な差であります。
 
 私は若い頃、川村明宏&若桜木虔さんのジョイント式速読法をマスターすればもっと本を読むことができる!と希望を抱いたものですが、その後膨大な時間も資金も投入したにもかかわらず一向にマスターできませんでした。
 結局この読書スピードつまり読書量の限界が私の限界なのでしょう。
 
 本書の巻末には珠玉の31冊リストが掲載されています。
 精神医学や経済を始め、すごそうな本が並んでいます。
 しかしその中に一点、変なのが混じっています。
 井沢元彦の『逆説の日本史』シリーズです。
 これは歴史学枠での掲載なのか、それともフィクション枠での掲載なんでしょうか?

「学者の言うことは信用ならない」
「今まで学校で習った歴史は何だったのか」
 
と書いていますが、そりゃフィクションだから。フィクションで歴史を書き換えてはまずいでしょう。
 
「説得力があり、読みやすく、さらに読んでいてワクワクする」
  ↑
歴史とは理不尽なものです。説得力のない歴史もあり得るし、読みやすいとは限らないし、読んでワクワクするどころか絶望感に打ちのめされることも多いはずです。

「こんな本を書けるような作家になりたいと」
  ↑
だから歴史は作家が描く物語ではありません。真実であり学問なのです。
作家が描く小説と学者が書く学術書は区別して考える必要があります。


 井沢元彦はもともとミステリー作家です。
 歴史を取り入れた知的な構成のミステリーを書いていたようです。
 昔、井沢元彦がNHKの歴史番組でレギュラーコメンテーターを務めていたことがありました。
 ある時、その番組の特別編として井沢元彦の新説を発表するという回があり、南北朝時代だか足利義満だかに関する新説を発表していました。
 なかなか面白い新説で、さすが作家の発想力は違う、と面白く思ったものですが、後で専門家が登場してコテンパンに論破してしまいました。あまりのやられように、せっかく発表したのに恥をかいて気の毒だ、と思ったくらいです。
 まあ歴史の素人の作家の妄想なんて、専門家から見ればその程度なのです。
 井沢元彦史観なんて結局は作家の妄想で面白おかしく都合よく歴史を解釈したもので、フィクションとして楽しむのはいいのですが、それを本当の歴史だと思ってしまうのは危険ではないでしょうか。
 精神医学の専門家として・知識人としてベストセラーを量産している樺沢紫苑先生がこういうのを無批判で推薦リストに加えてしまうのは、非常にまずいと思います。
 
 現在の日本は全体的に右傾化しています。
 今まで勉強してこなかった中年のオヤジがネットの動画を見てネトウヨになるような「ネット右翼になった父」「ツレがウヨになりまして。」「ネトウヨ化する日本」的な雰囲気があります。  
 さらに、普通の読書家が普通に読書していると普通に右傾化し、リベラルなものに反感を持ってしまう雰囲気が今の日本の状況です。
 それがさらに進行して、知的能力が高い医学系や理数系や知的意欲の高い読書家の間でもそういう風潮が広まっているのではないでしょうか。
 
……と、読書量も少ない実績のない私が何を言っても影響力は全くないのですが。

↑同名異書


●ブクログ https://booklog.jp/item/1/4763134507
●読書メーター https://bookmeter.com/books/9681897


[wikipedia:樺沢紫苑]

公式エックス https://x.com/kabasawa

公式ブログ https://kabasawa3.com/blog/
  
  
少年少女・ネタバレSALONO(ネタバレ注意!)
『ダビデの星の暗号』井沢元彦 ネタバレ感想
  https://sfklubo.blog.jp/archives/12884371.html
 
持ってると呪われそうな悪趣味な手帳
【井沢元彦の歴史手帳】
  https://yorodzu.seesaa.net/article/455786333.html
  
“東大読書法なんかできんわ!わしの【落第読書法】”
   https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/09/24/204111

“渡部昇一の「知的生活の末路」に見る【知的生活】の功罪”
   https://diletanto.hateblo.jp/entry/2023/12/22/213923

[wikipedia:ツレがウヨになりまして。]

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