OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

第22回 屋根の上の鴨(6/6)〜切られる者の痛み

 将軍上洛の際の将軍警護という名目の浪士組だったが、その将軍が江戸に帰ってしまった。
 冒頭、浪士組の重役連中(近藤、芹沢、新見、土方、山南)が浪士組の今後について話し合っている。
 近藤(香取慎吾)は会津藩と共に残ることを主張。
 芹沢(佐藤浩市)は、将軍が江戸に帰った以上、浪士組は解散、江戸に帰ることを主張。

 怒って退席した芹沢を、新見錦相島一之)が追う。
「芹沢のことは引き受けた」

 おおっと、芹沢派筆頭の新見が芹沢を呼び捨てにしているではないか。
 そろそろ愛想を尽かしているのではないのだろうか。

 ともかく、折角芹沢が解散を主張したのだから、これを機会に芹沢派にはご遠慮願って円満に別れ、近藤派のみが京都に残っていれば、後の芹沢派粛清は防げたのではないか。これだけいがみ合っているのになぜいつまでも一緒に行動しているのかが分からない。

 近藤の実力と成長をひしひしと感じ、芹沢は近頃、ご機嫌斜めである。
 今日も芹沢派を連れて外に酒を飲みに行く。なぜか最近近藤と折り合いが悪い沖田(藤原竜也)も同行する。帰り道、芹沢は理不尽な激情により、佐伯又三郎(松谷賢示)を斬ってしまう。

「奴(又三郎)は、取り入る相手を間違えた。
 この世の中一つ手を間違えば命取りになるってことだ」
 近藤の命により、沖田を守るために付き添っていた斎藤が沖田にささやく。

 親分とするに足らない存在だと自ら証明した芹沢。
 取り入る相手を間違えたのは、芹沢派の全員に対しても言えることである。

 ところでこの又三郎、上には弱く下には強いイヤミな役をうまく演じていた。表情が豊かだった。なかなか存在感ある役回りだった。

 次の場面では、近藤らが会津藩邸に訪問し、又三郎の葬儀も済んだことなどを報告している。
 簡単に終わっているが、この間、又三郎の死は浪士組や八木家の間にどのような波紋を起こしたのだろうか。芹沢が殿内(生瀬勝久)を斬った時も色々あったのだから、今回も一波乱あってもおかしくはないが。

 それにしても、あの夜の芹沢派の酒席は、どのような状態だったのだろうか。
 荒々しくどんちゃん騒いだのだろうか。それとも、陰気な酒席となったのだろうか。沖田はどんなことを話したのだろうか。芹沢派の他の面々は沖田や又三郎についてどう思い、どう接したのだろうか。
 そして、沖田の目付け役の斎藤は席につかず、店の隅に立っていたのだろうか。

 前回トラブルを起こした小野川部屋と浪士組は仲直りし、壬生に小野川部屋を呼んで興行することになった。
 沖田は、自分が切った力士が廃業して国へ帰ったことを知る。
「人を切るとはそういうことだ。
 切った者の痛み 切られる者の痛み。
 それを忘れるな」
 近藤が沖田を諭す。

 切られる者の痛みを知らない者は人を切ってはいけない、と思う。

 これだけでも十分分かったと思うのだが、それでも沖田はまだ近藤の元へ帰らず、芹沢にくっついている。
 小野川部屋の壬生興行を成功させた近藤に遅れを取った芹沢の欲求不満は爆発し、大商人の大和屋を焼き討ちする。

 屯所を出る芹沢に
「商人から金を巻き上げることが武士のすることですか」
と詰め寄る近藤。
 ここで又三郎にやったみたいに、問答無用で斬り捨てることも芹沢にはできた。しかし、あえてそれをせず、無視して通り過ぎるに留める。
 問答無用で斬り捨てることをためらうものが近藤にはあり、又三郎にはなかったということである。やはり人格というものは大きい。

 屋根の上で酒を飲みながら大和屋の炎上を楽しむ芹沢。

「自分で自分の墓の穴掘りやがった」
 と土方がつぶやく。

 どんどんエキセントリックになっていく芹沢。危なくて仕方がない。
 いよいよ次回は近藤派と芹沢派が決裂か……と思いきや、次回は八月十八日の政変で、芹沢も隊士服を着ているではないか。

 浪士組内部の争いも、京都を舞台として起こる諸藩の争いも白熱してきた。
 次回からの展開にますます目が離せなくなってきた。