OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

31古典文学

堀江卓の『心中天網島』【コミグラフィック日本の古典】

心中天網島―女殺油地獄・曽根崎心中 (1983年) (コミグラフィック―日本の古典)Amazon 辻真先先生監修のコミグラフィック日本の古典において、『好色五人女』と並んで異色だったのが本作品。ジュブナイル向けの古典全集でこれは珍しいラインナップではないかと…

矢代まさこの『枕草子』【コミグラフィック日本の古典】

枕草子 (1983年) (コミグラフィック―日本の古典) 清少納言も中宮定子も美人に描かれています。今の画風はもっと違ったタッチになるのでしょうか。時代遅れと言われようとも、私は今風の絵よりこんな画風の方が好きです。 内容は、シャキシャキした才女の歯切…

宮腰義勝の『好色五人女』【コミグラフィック日本の古典】

好色五人女 (1982年) (コミグラフィック―日本の古典)Amazon【コミグラフィック日本の古典】暁教育図書 構成・辻真先 12 好色五人女 原作・井原西鶴 作画・宮腰義勝 1989年6月 コミグラフィック日本の古典の刊行リストを眺めて異彩を放っているのがこの『好…

暁教育図書の【コミグラフィック日本の古典】

[asin:B0CB5MJ37R:detail] コミグラフィックとは…… コミグラフィックは、出版の世界に出現した、全く新しい分野。若者文化の「コミックス」(ストーリーマンガの分野)プラス「写真・グラフ」のことです。 このコミグラフィック『日本の古典』は、古典名作の…

桑田二郎の『源氏物語』【コミグラフィック日本の古典】

●K123●源氏物語●全3冊●辻真先●桑田次郎●桐壺須磨●須磨藤裏葉●若菜幻●コミグラフィック日本の古典5-7●紫式部光源氏●ノーブランド品Amazonコミグラフィック日本の古典 5 源氏物語 桐壺~須磨 6 源氏物語 須磨~藤裏葉 7 源氏物語 若菜~幻 構成・辻真先 画…

山椒魚がせめてきたぞっ!【山椒魚戦争】カレル・チャペック

ワイドカラー版 少年少女世界の名作〈32〉 ドイツ編5 愛の一家,ベートーベン,レアンダー童話他 (昭和48年)作者:若菜 珪小学館Amazon●さんしょう魚戦争 チャペック作 森いたる/文 金森達/絵【あらすじ】 真珠採取船の船長バン・トッホは赤道直下のタナマサ島…

ラム姉弟 シェークスピア物語

少年少女世界の名作〈3〉 (昭和49年)作者:深沢 邦朗小学館Amazon ●シェークスピア物語 ラム姉弟/作 永井鱗太郎/文 谷俊彦・中村英夫/絵 100ページほどの分量で7作品が紹介されています(オリジナルの『シェークスピア物語』は20編あるそうです)。 シェ…

空に浮かぶ騎士 吉田甲子太郎選・世界名作短編集

空に浮かぶ騎士 (高学年向学研小学生文庫 16)作者:吉田甲子太郎学研Amazon 学研小学生文庫高学年版の一冊。 海外の20の短編小説が収録されています。 巻末解説で西本鶏介さんが書かれています。「いまでこそ海外文学の児童書はさかんに出ていますが、そのこ…

読み継ぎたい児童名作 青木茂『三太物語』

【三太の日記】 青木茂・作 秋野卓美・画 高学年向 学研小学生文庫15 1979年 私が小学生の頃に買ってもらった学研小学生文庫の中の一冊。 三太少年の学校生活を生き生きと描いた短編集です。 ラジオドラマ化や映画化もされて人気を博したようです。 『三太と…

南洋一郎編著の『十五少年漂流記』(ポプラ社)

南洋一郎が翻訳した『十五少年漂流記』がありました。 十五少年漂流記 (世界名作童話全集 37)作者:ベルヌポプラ社Amazon池田宣政編著 古賀亜十夫 (イラスト) (世界名作童話全集37 ポプラ社) 1964年03月20日 第1刷 1988年11月30日 第64刷 35字×12行×150頁 …

Newton Classics Illustrated リスト

ヴェルヌの『月世界旅行』を調べていて、Newton Classics Illustratedというシリーズを知りました。 これはニュートンプレス社がアメリカの「Classics Illustrated」を日本版として翻訳して出していたものらしい。 科学雑誌で有名なニュートン社が文学も手掛…

「大石東下り」「大高源吾と宝井其角」知ってますか?これぞ日本人の肚!継承していきましょう!

講談さわり集 ベスト キング・スーパー・ツイン・シリーズ 2020アーティスト:V.A.キングレコードAmazonさあお立合いお立合い。今回紹介するCDは講談さわり集だよ。色々な名人による有名な講談の聴き所を集めた総集編らしいですよ。 忠臣蔵には「義士銘々伝…

バスカービル家の魔犬 (コミック・名探偵ホームズ全集2) 旭丘光志

先日、「コミック名探偵ホームズ全集」(旭丘光志/講談社)について紹介しました。“「コミック名探偵ホームズ全集」(旭丘光志/講談社)” https://diletanto.hateblo.jp/entry/2021/07/13/202518 偶然私は第2巻『バスカービル家の魔犬』を入手できたので…

「コミック名探偵ホームズ全集」(旭丘光志/講談社)

バスカービル家の魔犬 (コミック・名探偵ホームズ全集)作者:旭丘光志講談社Amazon 先日、コナン・ドイルの『ロストワールド』を読みました。20世紀少年少女SFクラブ S・ホームズの良きライバルであるかの教授が大活躍!『失われた世界』 https://sfklubo.ne…

メアリー・ポピンズと「自由からの逃走」

メアリー=ポピンズ (高学年向学研小学生文庫 9)作者:パメラ=トラバース学研Amazon ↑曾野綾子・訳 赤坂三好・画 バンクス家に子守りとして雇われたちょっと不思議なメアリー・ポピンズ。 メアリーの行くところ、ちょっと不思議な出来事が巻き起こる。 バンク…

早口言葉とモブシーン 外郎売 (声にだすことばえほん)

外郎売 (声にだすことばえほん) 外郎売りの口上を1冊まるごと絵本に。 物売りの口上なのだから、ストーリーはあってないようなもの。 色々な早口言葉みたいなフレーズが次々と出てきます。 これをどう絵にするかと思えば、フレーズからイメージされる世界観…

まるで『キン肉マン』!格闘技講談 雷電為右衛門

講談えほん 雷電為右衛門 雷電の初土俵 (講談社の創作絵本) 物語も面白いけど何より絵が面白い。 表紙を見ても分かるけど、ダイナミックで構図が斬新。 絵本って、絵が面白いんですね。 実は私は絵本はあまり読まなかったのです。 私は物心がつかなくて字が…

荻生徂徠と豆腐屋のほんまにええ話 徂徠どうふ

徂徠どうふ 講談えほん (日本傑作絵本シリーズ) 無名時代の荻生徂徠を援助した豆腐屋とのええ話や。 苦学して学問が認められて出世したんですね。 今も昔も学問で身を立てるのは大変なことです。 今もオーバードクターが問題になっていますから。 しかしこん…

石原千秋 『学生と読む『三四郎』』

学生と読む『三四郎』 (新潮選書) 成城大学2年生が1年かけて『三四郎』を読解したゼミの実況レポート。 大学教育の裏話なんかも描かれています。 紹介されている大学生のレポートはすごい。 よく出来たレポートばかり掲載されているのでしょうが、それにし…

ホームズ贋作展覧会 解説に不満

河出文庫版と講談社文庫版の両方を古本屋で購入して所持していました。 中身は同じです。 ちなみに、 講談社文庫版の文字組は43字×20行 283ページ。 河出文庫版の文字組は43字×19行 293ページ。 解説は、巻末に各務三郎さんの4ページ程度。 その半分以上が…

柴田錬三郎翻案・ポンペイ最後の日(ネタバレ注意!)

私のHP『20世紀少年少女SFクラブ』http://sfclub.sakura.ne.jp/ はさくらサーバーを使っているのですが、一部のコンテンツは以前使っていたヤフージオシティーズに残っています。 3月末でジオシティーズが終了になるので、引っ越し作業をしています。 …

ミス・マープル、トミーとタペンス アガサ=クリスティ推理・探偵小説集〈2〉 (偕成社文庫)

アガサ=クリスティ推理・探偵小説集〈2〉 (偕成社文庫) 第1巻も併せて読めば、クリスティの色々なシリーズものを楽しめるという素晴らしい企画です。 各務三郎さんの解説も的確。 村上克己さんの表紙絵や挿絵もいい。切り絵なんでしょうか。 偕成社文庫は文…

ポワロ ハーレ・クィン パーカー・パイン アガサ=クリスティ推理・探偵小説集1 偕成社文庫

アガサ=クリスティ 推理・探偵小説集〈1〉 (偕成社文庫)作者:アガサ クリスティ偕成社Amazon クリスティといえば、エルキュール・ポワロやミス・マープルが有名です。 しかし他にもシリーズがあったんですね。 本書ではポワロもの3篇のほかに、ハーリ=クィ…

冒険家クラブ/七つの時計 ミステリ・ベストセラーズ

鶴書房ミステリ・ベストセラーズに収録されたクリスティの巻の収録作品は『冒険家クラブ』『七つの時計』の二本立て。(以下、ネタバレ注意!) 『冒険家クラブ』はトミー&タペンスコンビシリーズの記念すべき第一作。 『七つの時計』はチムニーズ館シリー…

井上大助『蜘蛛』『オペラの怪人』 TOMOコミックス

↑表紙ではなく扉絵です。 ハンス・エーベルス『蜘蛛』 ギイ・ド・モーパッサン『呪いの手』 ウイリアム・ワイマーク・ジェイコブス『猿の手』 独仏英の異色怪奇三大傑作集! 冒頭の『蜘蛛』は不可解な事件の連続で、一体どんなトリックなんだと楽しみにして…

ノスタルジーだけじゃなくズッシリ重い短編集『ノスタルジー1972』

ノスタルジー1972 私が理想とする小説や映画は、『ナミヤ雑貨店の奇跡』や『三丁目の夕日』的な、レトロ風味でいい人ばかり出てきて残酷な描写がなくハッピーエンドで終わるというもの。 このパターンの物語を色々と探しているところです。 本書はタイトルか…

作詞・作曲家としての宮沢賢治作品集 メンタル・サウンド・スケッチ

宮沢賢治・メンタル・サウンド・スケッチ~星めぐりの歌 宮沢賢治は詩人・作家として高名です。 しかし作詞・作曲もされていたのでした。 本CDには知られざる宮沢賢治の作詞・作曲作品が収録されています。 詩人だから作詞の作品があるというのは分かるのです…

劇画・怪盗ルパン(1)奇岩城

劇画・怪盗ルパン(1)奇岩城 以前『奇巌城』を読んだ時、全然意味が分からなかった。『ルパン対ホームズ』も同じ感想だったので、アルセーヌ・ルパンシリーズは難解で面白くないというイメージを持ちました。 一方、シャーロック・ホームズのシリーズはよく分…

芥川症 久坂部羊

芥川症 (新潮文庫) 芥川龍之介の短編をモチーフとして医療系の短編で「芥川症」とはうまいアイディアですね。著者が医師だからこそのアイディア。 『極楽変』は、売れない芸術家と医師のパトロンの物語。 無産階級の読者としては、普通は売れない芸術家の視…

読書する女、というより朗読する女

読書する女 (新潮文庫) 「若い女性がお宅にて本をお読みします。文学書、詩集、ノンフィクション、その他何でも」 と新聞に広告を載せて本の朗読の仕事を始めたマリー・コンスタンス。 広告代理店の男にも忠告されるが、こんな広告に反応するのは少々クセの…