OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

第20号 三角関数を学問する

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   第20号    三角関数を学問する 
                          2005.01.10
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 2005年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 なぜ学です。
 12月号は配信できませんでした。
 今月も危なかったのですが、さすがに正月は数えないでおこう、ということで、
第二週の日月連休の二日目に発行しております。

 さて今回のテキストは、
『図解雑学 三角関数』 佐藤敏明著 ナツメ社
三角関数 (図解雑学)

であります。
 三角関数といえば、高校の最初で習う、実際の生活で役に立つのか立たないのか
分からない、公式ばかりたくさん出てくる面倒くさい単元であります。
 しかし本書は、歴史や応用などにも触れ、知的好奇心を刺激してくれる記述に満
ちております。
 三角関数のみならず、指数・対数関数や微分積分虚数にまで触れ、べき級数
微分して最終的にはオイラーの公式

   exp(ix) = cos x + isin x

を導き、さらにはフーリエ級数フーリエ展開まで見ていこう、という野心に満ち
た内容です。
 アマゾンの読者レビューを見ても、この本に対する評価は高いですね。
 本書は、一回目は全てを理解しようとは思わずに流れをつかむつもりで軽く読み
流し、二回目からきっちりと読んでいけばよいでしょう。

 さて、三角関数の起源については、第3章のはじめの方に記されています。
 元来、円を2つの半径で切った扇形の弦についてから生まれた概念のようです。
 サインを「正弦」という呼び名はここから来てるのですね。
 それがやがて直角三角形について定義されるようになり(三角比)、さらに定義
が座標平面まで拡張されて三角関数となりました。
 現在は、複素数にまで対象を広げて「複素関数」と言われています。

 そもそも三角比はなぜ必要だったのか。
 古代エジプトギリシアで、角度を測って三角形の相似を使って高さや距離を求
めるためだったと思われます。
 本書では、そういった例が豊富に登場します。
 高さを求める問題は、数学の問題集にもよく出てきます。
 距離を測る例で、2つの星の間の距離も求めることができるというのはすごいと
思います。
 こと座のベガ(織り姫)とわし座のアルタイラ(彦星)の距離も、必要条件さえ
あれば求めることができます。

 その、高さや距離を求めるのに役に立つ公式が、正弦定理と余弦定理であります。
 数多い三角関数に登場する公式の中でも、重要な公式です。
 本書では、導き方や応用の方法まで、詳しく説明されております。
 教科書では無味乾燥だった公式が生き生きと輝いて見えます。
 使い方のまとめとしては

(正弦定理)
●2角と1辺が分かる場合
●外接円との関係が分かる場合

余弦定理)
●2辺と1角が分かる場合
●3辺が分かる場合

と整理されております。

 加法定理など、他の公式についても説明されております。
 これらの公式は、三角関数の計算を簡単にするため、既知の値を使って未知の値
を求めるためのものです。
 教科書を見ると、これだけ覚えるのか、とうんざりしますが、これらを丸覚えし
ないと解けない計算問題はテストには出ないものです(よね?)。
 三角関数の根底にある考え方をしっかりと理解し、実際にどのような問題が出て
いるのか調べてみることです。
 公式が必要ならばその都度導き方を含めて覚えていけばいいのではないでしょう
か。

 さて、三角関数がなぜ必要なのか。

“波”すなわち“SIN”
という項目で、著者は説明されておられます。
 我々の身の回りには“波”が満ち溢れている。これらの波を科学的に分析し、利
用し、制御するためには必ず三角関数が必要だ、と。

 確かに、家庭に来ている交流電気も波です。これは、なぜ波になっているかとい
うと、発電の仕組みから来ているわけです。
 発電の時点で、発電機が回っているので、回るものは三角関数の動きになります。
 また、振り子運動も、ある方向から影を作ると、円の回転運動と同じ、すなわち
三角関数の動きで表せることが分かります。
 TV・ラジオ・携帯電話で使われる電波も波であり、三角関数で表せます。
 電波については私自身、具体的には理解できていないことを自覚しているので、
今後の課題としておきます。

 さて本書の著者・佐藤敏明先生について。
 以前このメルマガで行列・一次変換を取り上げた時、やはり同じ図解雑学シリー
ズから取り上げたテキストの著者でもあります。
(あの時の解説は今読むと中途半端なので、行列についてはもう一度取り組む必要
があります)
 アマゾンのページから著者経歴が見られます。電気通信大学物理工学科大学院修
士課程修了後、高校教諭一筋で現在に至っておられるようです。
 どんな授業をされているのでしょうか。高校時代にこんな先生の数学の授業を受
けられるとは、いいですね。きっと分かりやすい一方で本質的で高度な授業かと思
われます。
 また、出版社から本を出し高い評価を受けているというのも、在野の学問研究家
にとって、嬉しいことではないでしょうか。

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