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第21号 『オイラーの賜物』に挑戦!
2005.02.13
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なぜ学です。
毎月1回、第一日曜発行が目安のこのメルマガも、1週間遅れの配信が続きます。
次回は頑張ります。
★末尾に、今後の当メルマガの方針について書いています。
さて、このメルマガでは今まで3回に渡って「虚数」「対数」「三角関数」と見
てきました。
今回のテーマは何にするかと思えば、これらを統合した式
指数関数・三角関数・虚数を結びつけた
オイラーの公式 exp(ix) = cosx + isin x
(↑exp(ix)とは、eのix 乗のことです)
に挑戦してみよう、ということで、この本に挑戦してみることにしました。
オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ (ちくま学芸文庫) 吉田 武 (著) ちくま学芸文庫
本書の狙いについては、「はじめに」の冒頭に述べられています。
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本書は、唯ひとつの式――オイラーの公式:
exp(ix) = cos x ± isin x
を理解することを目標に、基礎的な数学全般の学習が一人でできるように工夫した、
全く新しい形式の入門書である。 (「はじめに」の冒頭)
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ところで本書、文庫本です。書店で見てみると、分厚い文庫本に細かい字がぎっ
しりと……。
視力が悪い私には到底読み通せるものではない……と思っていると、幸い図書館
で単行本版(現在絶版)を借りることができました。
この単行本版は、さすがに本の形も字の大きさもページの余白も大きくて、文庫
本版ほど威圧感を感じることはありません。
それでも、結構分厚く、がっしりした本です。そんな簡単に読みこなせるもので
はありません。
大学の教養課程で一年かけて学ぶ数学の教科書をもうちょっと分厚くしたような
感じの本だな、という印象。
果たして本書は、筆者が大学で一年かけて教える授業が元になっているという。
しかしそれでも、これだけ分厚い数学の教科書とは、レベルとしては高い方では
ないでしょうか。
読みこなすには高校数学の基礎的知識が一通り必要かと思います。
そういえば数学に苦手意識があった私は、大学教養課程の自然科学では、数学を
選択しなかったのだった。
そして物理は選択したけど、不可だったのだった。
(金属結合の仕組みについて授業中に講師が説明した方法で説明しなかった、とい
う理由でテストでは0点!講師の自分勝手な採点で不合格とは!)
遅きに失した感がありますが、あの頃の屈辱を晴らすために、この数学の教科書
に少しずつ挑戦していきます。
第I部 基礎理論
第1章 パスカルの三角形
まず、数の種類や計算法則などについて。
計算法則の説明で、パスカルの三角形が登場します。
(a+b)の2乗=aの2乗+2ab+bの2乗
(a+b)の3乗=aの3乗+3aの2乗b+3abの2乗+bの3乗
……
テキスト形式ではややこしい表現となりますが、この係数を書き出していくと、
以下の三角形が得られます。
n=0 1
n=1 1 1
n=2 1 2 1
n=3 1 3 3 1
n=4 1 4 6 4 1
このパスカルの三角形から出発して、吉田講義は階乗、二項展開、二項定理、
総和、数列、漸化式、フィボナッチ数列、級数などに発展していきます。
私は高校数学で、これらの概念を数学1、基礎解析、確率・統計、微分・積分と
いう科目に分けて習いました。
高校数学では分けて教えられていることを大胆に分解して再編成した進行です。
また、パスカルの三角形からシェルピンスキーのガスケットという図形が得られ、
これが実はフラクタル図形になっている、という指摘は面白い。
パスカルの三角形は、単なる数字の羅列であります。
そこに何を見出し、意味付けしていくか。
本章では、色々な意味付けを教えてくれます。
最後にはフラクタル図形まで導き出せます。
このように、数式に意味を見い出すこと、逆に、複雑な事象を数式で表すこと、
これが数学という学問の特徴でしょう。
また、高校時代の私は、漸化式が理解できませんでした
(今でも習うのでしょうか)。
漸化式とは、隣接する項の関係を表す式のことです。
本来は数式とは同じことを言っているのだが、一般項で数式を定義するのが難し
い数式でも、漸化式で表せば簡単に表せることもあるため、漸化式で表したという
のです。なるほど、こういう意味だったのか。
第2章 方程式と関数
パスカルの三角形の話題は終わり、ここから方程式と関数について始まります。
メルマガが長くなるので、ここはさっくりと。
関数を表す座標系には、X軸とY軸が直行した「直行カーテシアン座標系」と、
斜交した「斜交カーテシアン座標系」があるそうです。
ここで思い当たったのですが、メルマガ第5号で紹介した「一次変換」とは、直
行カーテシアン座標系を斜交カーテシアン座標系に移し変えることではないですか。
陽関数と陰関数について知ったのが嬉しかったですね。
高校数学で習う関数は、一般に
Y=F(X)
という風に表せる、と習います。
ところが、楕円、双曲線、(それとあと一つ忘れてしまった)、3つの関数が同
時に出てきたのですが、それらの関数は Y=F(X)の形ではありません。
XとYが辺の同じ側に来ています。
そういえば円の方程式も
Xの2乗+Yの2乗=rの2乗 となっています。
このようにYとXが辺の両側に分かれてY=F(X)と表せる関数と、XとYが
一緒の側にいてY=F(X)となっていない関数があり、何だか気持ち悪いな、
と漠然と思っていたものです。
ところがこれらに関して、区別する表し方があったというのです。
前者を陽関数、後者を陰関数というそうです。
陰関数は F(X、Y)=0 と表します。
一般に陰関数のグラフは陽関数のグラフに比べて複雑であり、陰関数は陽関数の
形に変型できる場合とできない場合があるという。
また、X=f(t)、Y=g(t)
の形で関数を表すと、計算機を利用してグラフを描くのに便利という。
この表し方を関数の媒介変数表示というそうです。
媒介変数表示については、習いました。こんな意味があったのですね。
こういったことを知っていれば、意味も分からずに解いていた高校の数学がもっ
と面白くなったのにと思います。
……ということで、本文268ページに及ぶ膨大な本書のうち、まだやっと68ペ
ージです。
オイラーの公式への道のりはまだまだ遠い。
今後も少しずつ挑戦していくつもりです。
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虚数の情緒―中学生からの全方位独学法 吉田 武 (著) 東海大学出版会
↑これが本丸か!
『直観でわかる数学』 畑村 洋太郎 岩波書店 (2004/09)
↑学問のミラクル・パック入り決定!
◎ SF Kidの睡眠開発BOOKS!★ミ
起床術──どうしても「スッキリ起きられない」あなたへ
梶村 尚史 (著) 河出書房新社 (2004/08/03)
……「起床術」とはまた新たな概念の登場。睡眠開発計画に必要な技術である。
http://sfclub.web.infoseek.co.jp/ichioshibooksuimin.htm
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★さて、このメルマガの今後の方針について。
本当言うと、毎週配信するのが目標ですが、時間的にそうはできません。
とりあえず毎月1回は絶対に配信することを目標に、少しずつ増やして
いきたいと思っています。
内容に関しては、今回始めた『オイラーの賜物』が長引きそうです。
毎回この本の読後レポートでも変化がないので、できればこの本の読後レポー
トはブログの方に掲載して、メルマガの方では別の内容を取り上げるつもりですが、
時間的余裕からそうはいかないこともあるかと思われます。
また、電験3種についても柱にしていくつもりだったのですが、現在受験対策を
休んだ状態です。
しかし、この夏も残る3科目を受験するつもりなので、何か企画を考えます。
私の私生活の上でも色々と変化がありそうで、メルマガの方針もそれに合わせて
流動的な状況ですが、よろしくお願い申し上げます。
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