岩倉具視(中村有志)が開いた尊攘派志士たちの会合の席上、立ち上がって自らの開国政策を話し出す伊東甲子太郎(谷原章介)。
「あれは誰や」
と隣の大久保一蔵(利通)(保村大和)に聞く岩倉。
「新選組におったもんでごわす」
と聞くや、
「新選組にいたもんの話など聞きたくもない」
と発言を遮る岩倉。
自分が大物だと思っている伊東は、皆が清聴して感心する反応を期待していたのだろう。
新選組でも、始めから参謀として入隊したのだから、一目置かれて当たり前、という天狗状態になっていたのだろう。
伊東の厳しい現実が伺える印象的なエピソードだが、少々矛盾がありやしないか?(⇒⇒)
万事抜かりない伊東甲子太郎は、新選組離脱を前に岩倉にも根回ししていたはずである。
確か第39回「将軍、死す」で岩倉を訪ね、
「うさんくさいなー」
「わしはうさんくさいのが大好きでの」
という名場面があった。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20041004
伊東のことだからそれ以後も連絡はあったと思うし、もし会ったのがこれっきりだったとしても、この時に強烈な印象があったはずなので、岩倉が伊東を知らないかのように「あれは誰や」と隣の大久保に聞くことはあり得ないと思うのだが。
この辺、シリーズ構成のミスか。
この時、伊東の側には藤堂平助(中村勘太郎)が控えていた。思えば近藤勇(香取慎吾)が幕府の講武所指南役を反故にされて追い返された時も、平助が一緒だった。
◇ ◆ ◇
岩倉の隣には大久保。その時西郷隆盛(宇梶剛士)はどうしていたのだろうか。
龍馬暗殺を描いた「時空警察捜査一課PART4」によると、龍馬暗殺時には西郷はまだ薩摩海軍を率いて上洛中であり、一足早く京に入った大久保が龍馬暗殺を計画した、とされていた。
とすれば、時期がかぶっているこの大河でも、まだ西郷は京に着いていないのだろうか。
今回の大河では今まで影が薄かった大久保利通。西郷不在ということもあり、今回は存在感を印象付けた。
◇ ◆ ◇
自らの政策を表した書を大久保に見せる伊東。その政策に感服し、きっと岩倉卿に取り次いであげる、と約束する大久保。
しかし、新選組にいたというハンディを晴らすためには、近藤勇(香取慎吾)を討って忠誠を証明しなければいけない、とアドバイス。
この時も西郷は不在。どこにいるんだろうか。もし伊東が大久保でなく西郷に接触していればどうなっていただろうか。
◇ ◆ ◇
近藤暗殺を決意する伊東。それを斎藤一(オダギリジョー)に話したため、新選組側にもれてしまう。
伊東はなぜ斎藤をここまで信用しているのだろうか。
御陵衛士の中には、斎藤を疑う声が多いと伊東自ら言っているくせに、また、先の永倉新八の反乱の際に間者として働いた前例がある
(第30回「永倉新八、反乱」) http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20040807
というのに。
◇ ◆ ◇
かくなる上は、1対1でけりをつけよう、と乗り込んできた伊東。
「実は斉藤君が間者だということを暴くために仕組んだ芝居だったんですよ」
と誤魔化そうとする。
「伊東先生、それはいけませんな。
それでは到底私を言いくるめることはできません。あなたらしくもない」
と近藤局長、貫禄ある。ここからの香取・近藤のセリフ、長いのですが、いいセリフです。
ビデオを何回も巻き戻しておこしました。長くなりますが、引用しておきます。
『新選組!』名セリフ集(政策編)として推薦したい名セリフであります。
「一つだけ申し上げたいことがあります」
「伺いましょう」
「あなたの意見が通らないのは、おそらく新選組にいたからではない」
「どういうことでしょう」
「薩摩と長州は徳川を倒して新しい仕組みを作ろうとしている。
しかし彼らが目指すのは、あくまで薩長を中心とした世の中。
私はだから許せないのです。
ほんの一握りの者たちが世直しと称して己の欲得のために国を動かそうとしている。
あなたは新選組だからはじかれたのではない。
薩摩や長州の出身ではなかったからはじかれたのです。
そしてそれは私を斬ったところで変わるものではない。
あなたのくやしさは私にはよく分かります。
今まで私も散々生まれのことを言われてきた。
百姓のせがれが武士として認められるには多くの年月がいりました。
私はだからこそ新選組は身分を問わず誰でも入れるようにしたかった。
身分を問わず力のある者が上に立つ。それが新選組の気風です。
私が望むのはそんな世の中です。
「これは勝ち負けではない。
我々はもっと早くこうして腹を割って話すべきでした。
お互い志は違っていても国を思う心は同じ。
やがてまた手を取り合うこともあるやもしれません」
今の世にも通じる名言です。
しかし、近藤局長が守ろうとしている幕府体制も身分制であるし、近藤局長が作った新選組も、色々と矛盾はある。
今まで有為の隊士を犠牲にしてきたし、今回この後にも不幸な事件を起こす。
また、農民出身の近藤局長らが武士になれたように、伊東もここで近藤局長を斬っていれば、意外と薩長閥の覚えが良くなったかもしれない。
また、史実の近藤勇が果たしてこんなこと考えていたのだろうか。
そんな疑問点もありますが、それでもこれはいいセリフであります。
ここで言っている近藤局長の理想は、前回暗殺された坂本龍馬(江口洋介)が目指していた未来像でしょう。
江口龍馬や香取近藤が手を取り合う未来もあり得たのかもしれません。
香取近藤が許せないほんの一握りの薩長の連中によって江口龍馬も暗殺されたのです。
◇ ◆ ◇
近藤に感服し、帰っていく伊東。月を見る顔は晴れ晴れとしていた。この後無事に帰っていれば、どんな行動を起こしていたであろうか。
大石鍬次郎(根本慎太郎)ら新選組の若手はねっ返りに取り囲まれる伊東。
後ろから切りかかって来た者を峰打ちで倒したのはさすが。
「愚か者!
近藤先生のお心を無駄にするな!」
と一喝して去っていくが、大石に刺し殺される。
伊東にしては無用心で呆気ない死であった。
◇ ◆ ◇
加納鷲雄(小原雅人)、篠原泰之進(小梶直人)ら御陵衛士と永倉新八(山口智充)、原田左之助(山本太郎)ら新選組がぶつかる。
御陵衛士は隊服がないのだろうか。代わりに頭にひもの鉢巻きをしていたが、これが隊服の代わりだったのだろうか。それとも、師の喪を表したものだったのだろうか。
永倉らは藤堂平助を逃がそうとするが、仲間の御陵衛士がやられていくのを見て藤堂の怒りが爆発、御陵衛士の加勢に入る。
確か平助は新選組メンバーを2人ばかり斬っていたぞ。
そして平助も、後ろから斬られ、致命傷を負い、なおも戦おうとするが、ついに力尽きる。
血を吐いた沖田に頼まれて近藤・土方・井上源さん(小林隆)がやって来て、最後の別れをする。
「また一人、逝ってしまった」
と源さんが嘆く。
本当に、一時は増えた新選組メンバーも、気が付けばいつの間にか寂しくなっている。
幹部の相談シーンも、すっかり寂しくなった。今回は沖田総司(藤原竜也)もいなかったので特に少なさが目立った。
もう番組も終わりに近付いてきている。
残念だのう。
一年に渡って放送してきた『新選組!』、クライマックスに向かってラストスパートであります。
……ということで、『新選組!』アンケートであります。
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NHK大河ドラマ『新選組!』で出番を終えた伊東甲子太郎。この伊東甲子太郎について、脚本(三谷幸喜)、演技(谷原章介)について、どう思いますか。
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(途中経過及び結果はこちらから)
http://clickenquete.com/a/r.php?Q0001561C894a
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NHK大河ドラマ『新選組!』で出番を終えた藤堂平助。この藤堂平助について、脚本(三谷幸喜)、演技(中村勘太郎)について、どう思いますか。
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(途中経過及び結果はこちらから)
http://clickenquete.com/a/r.php?Q0001562C176c
それから11月4日18時締め切りで、以下のアンケートを実施しております。
投票がまだの方、お願いします。
この投票の結果は、前回の武田観柳斎のアンケート結果と共に改めて報告します。
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坂本龍馬と近藤勇が旧知の間柄だったというNHK大河ドラマ『新選組!』の設定について、どう思いますか。
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(途中経過及び結果はこちらから)
http://clickenquete.com/a/r.php?Q0001419C8048
また、こんなアンケートもやっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
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物の置く場所を決めて、使った後は元の場所に戻すことが多いですか。血液型も合わせてご回答下さい。
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(途中経過及び結果はこちらから)
http://clickenquete.com/a/r.php?Q0001451C5ee4