五稜郭に立てこもった旧幕府軍の三人のトップ
榎本武揚(片岡愛之助)
大鳥圭介(吹越満)
土方歳三(山本耕史)
の対比が見どころ。
また当然、島田魁(照英)、尾関雅次郎(熊面鯉)、永井尚志(佐藤B作)を始めとして『新選組!』の主要メンバーが回想シーンで登場するという、凝縮された濃厚な時間を味わえる密度の高いドラマだった。
大鳥VS土方、榎本VS土方の息もつけぬほどの迫力ある激突。
土方歳三も大鳥圭介も共に戦が好きということだが、実戦で叩き上げた土方と理論家で机上のシミュレーションが好きな大鳥の温度差が興味深い。
そして常にぶつかり合うこの2人をたのもしく思いながら上に構えていたのが榎本という設定。
榎本も土方も共にヨーロッパ流を取り入れるが、形から入ろうとする榎本と自分なりに消化して取り入れようとする土方。
時にロマンチ、時にリアリストの榎本と、時にリアリスト、時にロマンチの土方。
夢を追っていた榎本と死に場所を求めていた土方。
様々な相違点を議論により収束し、一致点を見出していく榎本と土方。
土方が光っているのは当然のこととして、今回、榎本武揚のキャラ設定と演技がこのドラマのポイントとなった。
あまりドラマや映画で描かれることの少ない人物だが、三谷幸喜はこの榎本をなかなか大きな人物として描いている。
戦争中でもヒゲの手入れに時間をかけている一方で、見るべきところは見、考えるべきところは考え、そして土方に刀を突きつけられても平然としている胆力を持った大きな人物である。
どことなくコミカルな風味をかもしながら泰然自若とした大物風の榎本、演じた片岡愛之助ははてなキーワードにはなく、どんな役者さんかと思えば、歌舞伎役者だったのか。
小説 榎本武揚―二君に仕えた奇跡の人材 (ノン・ノベル)
榎本武揚 (中公文庫) ←何と安部公房の作品。
大鳥圭介を演じた吹越満は大河ドラマ『北条時宗』で宗尊親王、『明日があるさ』で真島係長を演じていた方である。コミカルでちょっと嫌味な感じの演技が配役に合っていた。
息詰まる激論の後、心を通わして一致団結する三人。
もっと早くからこの団結をしていれば。
敵の総攻撃を目前とした絶体絶命の非常事態だからこそ通じ合えたのか。
本気でのぶつかり合いが大切だと分かる。
生きるために発想を転じた土方が新たに見出した起死回生の作戦。
しかし敵はその上を行く作戦に出てきた。
新選組救出に向かう土方。
海上の敵艦が沈没し、敵陣への突撃を命令する土方。
そして、突然の銃撃。
最後まで勝利や生還を信じた活躍ぶりであった。
回顧・有終の美・新しいものを生むこと。
続編、やってよかったじゃないですか。
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