- 作者: アンソニーブラウン,Anthony Browne,久山太市
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 大型本
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こんなこと、よくありますね。だから成功哲学だとか自己啓発などのハウツー本では“プラス思考”が大切だと書かれているのだ。
最初に出てくる親子は私の子ども時代を思い出させる。
4人の中で最後に出てくる女の子・スマッジが最も幸せな思考と行動をしている。
これを読んで我々もスマッジのように考え、行動しよう、めでたしめでたし……と終わらすことはできない。
スマッジの父親は仕事がなく、考え方も消極的のようである。娘のスマッジのような考え方になれば展望も開けるだろうが、このままでは将来に展望がない。
このままいけばスマッジちゃんも単純に楽しんでいるだけではいられない状況に陥る危険性がある。
スマッジちゃん親子だけではなく、もう一組の親子も含めて、4人のこの後がどうなっていくのか考えさせられる。
清水義範のパスティーシュ小説で、『永遠のジャック&ベティ』というのがある。
昔の英語教科書で、ジャックとベティが登場するのがあったようだが(私の教科書はTaroとEllenだった)、その二人が50歳になって再会した会話である。
「彼は薬物中毒になりました」
「彼はベトナム反戦デモで逮捕されました」
など、直訳調でブラックなその後の経過が語られる。
究極的にマイナス思考の私としては、『こうえんで…』のその後の4人も、このような結末を想像してしまうのである。これは良くない傾向だ。こんな思考法を改めよというのが本書の教訓なのに。
- 作者: 清水義範
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/09
- メディア: 文庫
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(ジャック&ベティというのは戦後日本人の英語教育の原風景だったらしい)
ジャック・アンド・ベティ物語―いつもアメリカがあった
『ジャック&ベティ』の英語力で英語は読める―最強の教科書英語による英語講座
『ジャックアンドベティ』を社会学的に読む (K.G.りぶれっと)
同じ事例でも見方によって違った意味になる、ということで連想する本がある。
かなり昔、A新聞で読んだ「中島らもの明るい悩み相談室」でのある相談と回答が、未だに部分的に記憶から離れない。
その相談とは、あるレストランで客とウェイトレスの間で行われた頓珍漢なやり取りを見た人が、納得できずに困っているというものだった。
そこで中島氏はある小説の例を挙げる。
ごく普通に行われている舞踏会を描写した小説で、ごく普通のやり取りが描かれているのだが、実はそのやり取りには裏の意味があり、このごく普通の描写の裏には、国際的陰謀がやり取りされていた!という内容の小説だった。
だから中島氏は、相談者の見た頓珍漢なやり取りも、実は裏に重大な意味があったのでは……と回答していた。
この質問の事例も面白いが、中島氏が事例に挙げた小説も気になる。何というタイトルか、作者は誰かはもちろん分からない。しかしその後も折に触れて思い出し、読んでみたいと思う本なのである。
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