悩み相談、ときどき、謎解き?―占い師ミス・アンジェリカのいる街角 (メディアワークス文庫)
ミス・アンジェリカは、祖母譲りの霊感を持つ街占占い師。
占いを勉強中の私としては、霊感を持つ設定はうらやましい。霊感や超能力にあこがれる平凡な私です。
ネット上の意見を拝読すると、謎解きに霊感を出すなんて……というような意見も見受けられますが、こんな設定もありということでいいのではないでしょうか。
押しかけ助手というか恋人というか、キャンドル売りの誠司、積極的ですねえ。男たるもの、これくらい強引でないと彼女ができないのだ。
ミス・アンジェリカ、本名田中花子は、赤ん坊の頃から他人を寄せ付けない性格で、“心の中の秘密の部屋”と表現しています。
「南半球の友人」は、高校時代に知り合った同じような部屋を持った友人についての回想です。
マイペースで他人に煩わされずに心の中の秘密の部屋にこもる二人。
こういった性格の人間にとって、そういう過ごし方は有りだと思います。
「多くの友人を作らないといけない」
「自分の殻を破らないといけない」
なんていう無責任な言葉に乗せられるとひどい目にあいます。
実は私もこの二人と似たような性格を持っていました。
中学までは自分の殻にこもってうまくいっていたのですが、高校デビューに際し、これではいけない、明るくなって友達を作らなければいけない、と思って本来とかけ離れた言動を演じ、心身を病んでしまいました。
結局、感情障害は治らず、人生に落伍し、御家も断絶の危機に。
だから対人関係に悩む中高生は無理をせず、ミス・アンジェリカの生き方を学ぶべきです。
秘密の部屋から出るのは、大学に入ってからでもいいのです。高校までの人間関係はある種の人にとって非常に難しい。まだ大学生以降になってからの方が対処しやすいところがあるものです(と、結局感情障害のために大学以降もうまくいかなかった私が言うのも何ですが)。
閑話休題。南半球の友人・小川翠も、最後に無茶をして消息不明になりました。
小川翠も無茶をせずにそのまま秘密の部屋でいたら良かったのにと思います。
ストーリーの謎解き部分ですが、本格推理のようなあっと驚く大仕掛けやトリックがあるというわけでもなく、日常の生活や対人関係でありがちな誤解に基づくもの。いわば、“日常の人間関係ミステリー”。
人生経験豊富なお年寄りなどに相談したら意外といいアドバイスをもらえそうな事件です。
それこそ、ミス・マープルのような安楽椅子探偵なら、似たような事例を紹介しながら謎解きしてくれそう。
私としては、人間関係が希薄なので、人間関係について考える勉強になりました。
本書巻末の事件で、ミス・アンジェリカは最大の危機を迎えます。
確かに占いは、他人の人間関係を左右する恐ろしい面も持っています。
こんな話を読むと、いい加減な姿勢で占いなんかできないぞ、と思えてきます。
私にとっては人間心理の勉強になったし良い作品だと思います。
黒夜行
悩み相談、ときどき、謎解き? 占い師 ミス・アンジェリカのいつ街角(成田名璃子)
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