- 作者: 村田喜代子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/03/04
- メディア: 単行本
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新聞の日曜読書コーナーで紹介されていて、面白そうだと思って読んでみた。
縦横無尽の文章レッスン [著]村田喜代子
[評者]田中貴子(甲南大学教授・日本文学)
http://book.asahi.com/review/TKY201104190162.html
大学での講義をまとめたものらしい。
名文を鑑賞した後、40分ほどで実際に文章を書くという講義らしい。
こんな授業、受けてみたかった。
そういえば中学時代の国語の授業は、結構文章を書いたり創作意欲を刺激する内容が多かったが、高校の国語の授業はつまらない解説を聞くばかりで本当につまらなかった。
教室で文章を書くときは大体いつも40分間と決めている。
(中略)
気楽に書こう。
ひょいと書こう。
下書きのつもりで書こう。
気負わないで書こう。
失敗しても書こう。
要は書くこと。
と、40分の時間を与えて無理やり書かす。
こんなふうにいきなり書かせて結構書けるのが、若い人たちの素晴らしいところである。
社会人になると、さあ書け、と言ってもさっとは案が浮かんでこない。
若い人はそれが出来る。浮かぶのである。
ただし、書かせないと出来ない。
授業時間に有無を言わさず書いてもらうのはそのためだ。
書かないと、書き上がらない。
書けば、書き上がる。
以前、社会人の創作教室を持たされたが、こんなふうにうまくはいかなかったものである。
みんな散々な出来損ないを提出したものだ。
瞬発力は年取って急に頑張っても無理なのである。
本当にそう思うな。
高校くらいまでの自分ならこういった出題に喜々として取り組んだはずだが、精神的に荒廃してしまった今、書けと言われても全く書けない。浮かんでこない。
例えば、2回目の講座で、野見山暁治の抽象的な版画『昨日のこと』を見てイメージをふくらませて短い文章を書く、というレッスンがある。
テーマになった版画『昨日のこと』が掲載されているが、何かの都合か、残念ながら非常に小さくて白黒での掲載である。
この申し訳程度の小さな印刷を見て同じ課題をこなそうとするのは、実際に授業を受けた大学生に対して非常にハンディがある。
しかし、見た限り、何が何だか分からない版画である。
ロールシャッハテストを始めとする心理テストにおいて私の反応は
1)暗い、マイナス思考、絶望的、悲観的
2)性的な連想が多い
ロールシャッハテストは白黒なのだから、連想が明るくなるより暗くなるのはある程度は仕方ないとは思うが、私の場合、普段から人生に敗北したという悔しさ・ルサンチマンで一杯なのでかなり度を越したマイナス思考である。
大学時代にうつ状態で精神科に通っていたことがあり、そこでロールシャッハテストのようなものを受けた。
女性器を思わせるカードがあって、実物は見たことがないのだがここでもし正直に言わなければおぼこぶってわざと知らないふりをしているとか、性に対して否定的とか逃げているという判定が下されるのではと思って正直に答えたことがあった。何で見たこともないのに見たかのように答えなければならないのかと悔しかった。
それはともかく、ここに掲載された野見山暁治の版画『昨日のこと』を見ると、強姦など犯罪に巻き込まれた女性の死体のようにしか思えないのである。
掲載されている白黒の小さな挿絵からはこうとしか思いつかない。
ニュースでは、よく、若い女性が事件に巻き込まれた殺人事件のニュースが毎日のように報道されている。
最近話題になった東電OL殺人事件だとか、市橋達也の事件などもそうである。
野見山画伯には申し訳ありませんが、この版画から私が思うのは、こういった事件のようなものばかりです。
だから私がもしこの授業を受けていたとしたら、そんなこと書いていいのか、もっと別の高尚なことを思いつかねばならない、と四苦八苦することでしょう。
しかし本書に掲載された大学生のレポートは、そういった猟奇的犯罪性なものを感じさせない立派なものだった。
1人、交通事故をテーマにしたものがあって、それは近いかな。
しかし、私のような猟奇的犯罪的な連想をするのは異常なのだろうか。
他に私のような連想をする人はいないのだろうか。
授業を受けて課題を提出した大学生達も、全然猟奇的犯罪を連想しなかったのだろうか。無理して別の高尚なことをひり出して提出したということはありませんか?
それとも、やはり私の性格は異常なのだろうか?
しかし、このような作品をテーマに課題にするのも考え物ではないだろうか。
もっと明るさを感じる作品なら、私も明るくのびのびとイメージを膨らませるのだ。
ロールシャッハテストのように、暗部を引き出すような作品をテーマに考えさせられると、私のようにうつ傾向でルサンチマンにあふれた人間だと精神状況がさらに悪化してしまう。
それで、この版画は一体、どう解釈するのがいいのでしょうか。
検索しても出てきません。
創作意欲にあふれた利発な少年だったはずなのに、人生のボタンの掛け違いで袋小路に迷い込んでいるうちに感性もおかしくなったようだ。
もう創作はできない。
文章も書けない。
引導を渡されたかのような、文章失格宣言を受けたかのような読書体験。
本書で一番書きたかったことは書き尽くしました。
あと、小物ネタで面白そうなネタがあったので次に書きます。
■[日々の冒険]縦横無尽の文章レッスン ねずみ女房
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20110725/p1
■[日々の冒険]縦横無尽の文章レッスン その他
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20110801/p1
23:30の雑記帳
「縦横無尽の文章レッスン」 村田喜代子・著
http://arakisin.diary.to/archives/51743773.html
団塊バカ親父の散歩話 『縦横無尽の文章レッスン』
http://yuki-wan.at.webry.info/201105/article_13.html
Catch of the Day 縦横無尽の文章レッスン
http://blog.goo.ne.jp/libra1963/e/9fc18b4ecfabdadf45240519e04bcec0
独り言つ 縦横無尽の文章レッスン
http://hos.sci.hokudai.ac.jp/mutter/2011/03/post-434.html
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