勇(香取慎吾)に大和屋での乱暴狼藉のを問い詰められた芹沢鴨(佐藤浩市)は、
「誰かが責めを負わなければならない」
と認め、側近の新見錦(相島一之)に
「お前、腹を切れ」
と責任をなすりつける。
浪士組の内部で、数の上では圧倒的に負けており、ブレーンの数も負けている中で、芹沢閥が近藤閥と何とか対等にふるまっていたのは、新見のサポートがあってのことではなかったか。
その新見を切るというのは、芹沢にとって自殺行為である。
新見がいい気分でないのは当然のこと、他の芹沢閥のメンバーも、又三郎事件に続いてこれでは、芹沢から心が離れていくのは必定。浪士組の他のメンバーは言わずもがな。
こういう態度では、親分失格である。
それにしても、新見である。なかなかの頭脳派である。浪士組の中でも、政界を分析する能力は、山南敬助(堺雅人)と互角のものを持っているようだ。今回も何度か山南の解説を途中から遮って解説していた。浪士組にとって、芹沢よりも新見の方が必要な人材ではなかったか。
しかし、肝心の近藤さんは、芹沢については追及せず、新見を局長降格、謹慎処分にしたのみ。
芹沢に遠慮するあまり、かなり不公平な裁定ではないか。
いくら芹沢を高く買っているとはいえ、見せしめに側近を懲らしめる裁定というのも、誉められたものではない。
「ダメだ、こりゃ」(土方(山本耕史)のセリフ)
ところで、新見・沖田以外の芹沢閥のメンバー(平山、平間、野口)はどうしているんだろう。
お花畑警護シーンでは少し出ていたが、芹沢の湯治には一緒に行ったのだろうか。芹沢不在時の場面には出ていなかったようだが。
彼らは芹沢や新入りの沖田についてどう感じているのだろうか。
とはいえ、会津藩の門番とのいざこざでは芹沢が実力行使、門を開け、浪士組警護の場所とされる“お花畑”に辿りつく。こんなことは得意なんだから。
八月十八日の政変は、昼過ぎから雨になる。
勝った方にとっても、負けて京都を去る方にとっても、空しさがつのる雨となった。
会津、薩摩、長州、朝廷、幕府、そしてその他の思惑。
かなり複雑な展開となってきた。
歴史上、動きの激しい時代である。
ますます今後が見逃せなくなってきた。
そして、壬生浪士組内部の派閥争いは?
こうなったら、今後ずっと、近藤と芹沢のライバル物語を続けて欲しい。
残った近藤閥同士の内部粛清は見たくないので、このままずっと温和な近藤VS乱暴な芹沢の争いを続けていき、耐えに耐えた近藤がついに決断して最終回を迎える……。というのでもいいのですが。