もし、坂本龍馬、桂小五郎、近藤勇、土方歳三、芹沢鴨が一同に会していたら、どのような会話がなされていたか。
第20回「鴨を酔わすな」(5月23日放送)では、この興味深いシミュレーションが実現された。三谷幸喜が再構成する歴史物語。なかなか興味深い。
新調の羽織を着て大坂に将軍警護にやってきた浪士組。
そこに坂本龍馬(江口洋介)が現れ、浪士組4巨頭を誘う。
ここに桂、坂本に新選組が加わるという、豪華な会談が実現。
歴史上、犬猿の仲だった薩摩と長州を結びつけたのが龍馬だが、このドラマではそれ以前に、会津(浪士組)と長州(桂)を結び付けようとしていた!
現実と違う!と怒る人もいるかもしれないが、私はこの解釈は面白いと思う。
仲直りして、いがみ合いに使うエネルギーを有効なことに使うべきである。
歴史上、新選組は有能な人材を斬ったため、明治維新が何年か遅れた、ということをどこかで読んだことがある。
この時点で会津・長州同盟が成立していれば、歴史はどう変わっていたか。
徳川憎しの長州と徳川に忠誠を誓う会津の同盟が可能だったかどうかは分からないが。
長州の桂小五郎(石黒賢)に議論を吹っかけた芹沢鴨(佐藤浩一)。前回に続いて武力だけではなく弁も立つところを見せ、最初は反論の機会も与えず押しまくるが、桂は弁も腕も一枚上手だった。桂は明治新政府でも実力者だったというが、その片鱗が伺われる。
「水戸からも攘夷派からも除かれたはぐれ者」
と駄目を押す桂。
確かに、客観的に見て、尊皇攘夷で有名な水戸藩の芹沢がなぜ浪士組にいるのか、分かりづらい。番組では人間関係が原因で流れ着いたということを示唆していたのだが。
このように、「なぜ場違いの所にいるのか」がはっきりと説明できないところに、桂と差しで勝負して負けた原因がある。
「芹沢さんは、水戸の話をされるのが苦手なのだ。それに自分の弱さをつかれるととたんに弱気になる。
まあそれがあの方のもう一つ大きくなれないわけだな」
そして、昼間の失敗を夜にまで引きずって八つ当たりしているところも、もう一つ大きくなれないわけであろう。
それにしても、新見錦(相島一之)である。
芹沢に忠誠を誓っていると思っていたら、意外と突き放した見方である。芹沢と近藤を比べて、近藤の将来性を感じているのではないだろうか。
第18話で新見錦の活躍について書いたが、ますます新見の今後が見逃せなくなってきた。