今日、耳の中に100円玉を入れているおじいさんを見て、大変驚いた。補聴器だと思っていたら、100円玉だったのである。
こんな所にコインを入れる発想もすごいが、一体どうやったら入るのだろう。
そういえば昔、私が子どもだった頃、耳たぶに鉛筆を挟んでいるようなおじいさんは結構いたような気がする。当時の私にとってそれは、大人を感じさせるような、或いはお年寄りを感じさせるような行為だった。
元来、必要な時にすぐにメモを取れるように筆記具をスタンバイさせておくというのは、知的でスマートな姿勢ではないだろうか。
その意味で、耳に鉛筆を挟んでメモに備えておくというのは、有能ビジネスマンにこそふさわしい行為だとも思われる。しかしいざ実行しようとすると、喜劇的に見られるだろう。
何がどう転んだのか、筆記具を耳に挟んで臨戦態勢で備えるという行為は、日本のビジネスマンの間で主流派とはならなかった。
そして現在、鉛筆を耳に挟む風習は、絶滅の危機にある。