OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

第27回「直前、池田屋事件」(7/11)〜「私は学問が好きなんです」

 谷三十郎(まいど豊)は、弟の谷昌武(浅利陽介)を近藤勇香取慎吾)の養子に押し付けてくる。強引なマイペース人間だ。
 勇はしるこ屋で、昌武に他の新選組新入メンバーを加えたメンバーと茶談会を開く。

 昌武に「どうして新選組に入ったのですか」
と聞くと、
「兄に無理やり。
 私は学問が好きなんです。
 人を切るのがいやなんです。」
と告白。

 学問が好きな人が新選組に入ったとは。強引な兄だ。
 この告白を聞いた勇は、
「私も以前はそうでした。
それを聞いて、養子にしたくなりました。」

これは理解のある言葉だ。
新選組もそうだが、現代でも、ビジネスの現場では、
「私は学問が好きなんです」
とは、言いにくい雰囲気がある。
「勉強が好きなんです」
の方が、まだ言いやすい。
 船井幸雄中谷彰宏など、サラリーマンに人気のある作家の本にも、
「勉強しろ」
とは書いているが、
「学問しろ」
とは書いていないのではないか?

 学問とは、ビジネスや、新選組など、武力対決の現場に必要ないものと思われている。

「友人が殺されそうになった時、初めて人を切った」
と回想する勇。
「そこが私と違うところです」
と昌武。
 机上の空論ではなく、いざという現場ではやられる前にやる。これは仕方のないことです。
 だから、人を切るのがいやならば、人を切らなくてもいい場所にいなければならない。
 人を切らなくてもいい場所、人を切らなくても生きていける職業とは?その場に入ることは非常に努力を要することなのかもしれない。
 意に反する場所にいる昌武が不憫である。

 しかし、このような場違いな発言をする昌武を怒らず、かえって親密感を覚える勇。
 このキャラクターはいい。
 一般的なサラリーマン向けマンガなら、ここぞとばかり説教を始めるのではないか。
時代劇にしても一般マンガにしても、ここまで学問に理解があるとは、ちょっといないキャラクターである。こういうキャラクターが、今後凄惨になっていくと予想される新選組の局長を務めているとは、少しばかりの救いである。

キャラクターといえば、強烈なのは、早速活躍を始めた武田観柳斎八嶋智人)。
「私が見つけました」を連発、さすがにこれには近藤もイヤな顔をしていた。
こういった強烈なキャラがいるのは面白い。

桝屋の武器弾薬を見張っていた4人の新選組隊士。
そこに、尊皇攘夷の浪士達が奪還に来る。
3人は早々に逃げ出し、残る一人も弱い。
この戦闘シーンはあっけなかったが、面白かった。
こういった隊士の描き方もまた、いいものである。