OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

伊坂浩太郎「ガソリン生活」自家用車と家族の物語

 朝日新聞夕刊で連載されていた
伊坂浩太郎「ガソリン生活」が12月10日に最終回を迎えました。
 私は新聞はたまってしまう方で、連載開始当初は1月遅れで読んでいましたが、最終回は12月13日と、3日遅れで読んだことになります。
    
 トミカ No.086 マツダ デミオ (ブリスター) 
          
■[日々の冒険]伊坂浩太郎「ガソリン生活」吾輩は緑デミオである殺人事件
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120701/p1
     
 とある家族(望月家)の自家用車(緑のデミオ)が語る、望月家が巻き込まれた事件の物語。
 自家用車の視点なので、見える範囲は限られています。
 しかし自動車同士の緊密なネットワークにより、確かな噂が入ってきて情報を補完したりしています。
 もちろん、語り手は事件の登場人物に語りかけたり作用したりすることはできません。
 話の進行や展開がまどろっこしいようで便利なようで、この制限された描写方法もまた一興。
   
 望月家が巻き込まれる事件は大きく分けて2つ。
 望月家がトガリという凶悪な一味とかかわりを持って犯罪に巻き込まれて危機に陥る前半と、持ち主一家の末っ子の小学生・亨の友人が悪い友人からいじめられる後半。
 前半に登場するトガリ一味は本当に凶悪でしたね。
 伏線があって、後から思うと、あの記述が生きていた!というな意外な展開も。
   
 こんな凶悪なトガリが出た後で、次はどんな恐ろしい事件が起こるのかと思えば、意外にも小学生のいじめ騒動。
 連載中、いじめ事件がニュースになっていた時期だったので、その影響か?
 亨のように、いじめにとらわれず冷静に超然と対処しろ、というアドバイスに取れなくもない。
    
 物語の締めくくりとなるエピローグは、語り手が緑デミではなく、三人称で描かれています。
 2つの事件から数年後と時間が経過していて、子ども達も成長し、語り手であった緑デミは売り払われていなくなっています。(最後に語り手がいなくなっちゃう物語なのです。)
 再婚に意欲を見せていた望月郁子は結局独り身のままのようです。
 今は独立して家から巣立った3人の子ども達が生家を訪ねるある日の出来事。
 中学生だったまどかは江口さんと結婚して、翠という子がいます。
    
 もしや続編があったなら、ませた小学生の亨や記者の玉ちゃんやザッパの好きな細見校長先生などの活躍をもっと読みたいと思っていたのですが、もうあのませた小学生の亨はいないんですね。
 もし続編があるとすれば、自動車と話ができる翠ちゃんが主人公でしょうか。
  
 ところで、失踪したカップル(名前失念)はその後、どうなったのでしょうか。うまくいったのでしょうか。子どもができればどうなるのでしょうか。
    
 しかし、望月家から売られて行った緑デミがその後、どのような数奇な運命を辿り、何を見聞してきたのでしょうか。
 緑デミがクラウンに語った冒険談はまた次の機会にというところでしょうか。
    
 しかし、こんな風に子どもが成長して巣立っていくというのはいいですね。実は人間にとって最も大切なことなのではないかと。
 私は思春期に精神が崩壊して人生に転落してしまったので未だに不十分で中途半端で、こういった場面を迎えることは今生ではあるのかと思うと、泣けてきます。
     
 ガソリン生活 寺田克也式ガソリン生活
     
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MAZDAMAZDA DEMIO 『ガソリン生活』キャンペーン
  http://www.demio.mazda.co.jp/campaign/gasolineseikatsu/
     
先入観、揺すれたら 「ガソリン生活」連載を終えて  伊坂幸太郎
  http://t.asahi.com/93n0
「贈り物選ぶように」 「ガソリン生活」挿絵の寺田克也 
  http://www.asahi.com/culture/articles/TKY201303120463.html
   
伊坂 幸太郎さんのお話が好き【紙飛行機ドットコム】
 ガソリン生活<朝日新聞インタビュー>
  http://kirara02.kamihiko-ki.com/?eid=1358075
人生は要約できねえんだよ。
 ガソリン生活が終わった
  http://jielunpower.blog35.fc2.com/blog-entry-4697.html
ねこだいすき ガソリン生活
  http://blog.livedoor.jp/jadegarden/archives/51980818.html 
黒夜行 ガソリン生活(伊坂幸太郎
  http://blacknightgo.blog.fc2.com/blog-entry-2468.html
     
読んでますカー、観てますカー >第48回:主人公はマツダ・デミオ
伊坂幸太郎の仰天クルマ小説 − 『ガソリン生活』 (2013.3.27)
  http://www.webcg.net/articles/-/28120
東京新聞:ガソリン生活 【書評】[評者]中辻理夫=ミステリー評論家
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013051202000172.html
粋な提案
「ガソリン生活」伊坂幸太郎
  http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-2496.html
     
                     

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