夢をかなえる憲法・夢を持てない憲法

　　　　←３つの版があります。

【伊藤真先生の　夢をかなえる勉強法】
⚫️全体像を把握する
⚫️ゴールからさかのぼる
⚫️過去問を制する者が試験を制する
⚫️しかし、未知の問題が出た時の対応の方が重要。
　そのためには、常に物事を表側からだけでなく、裏側からも考えてみる習慣をつけておく。

……など、著者がかつて司法試験を受験され、現在はカリスマ講師として指導している経験から編み出した勉強の方法がエッセイ風に述べられています。
　悪ガキだった子どもの頃の思い出、ピラミッドの中で迷った経験、司法試験受験時の壮絶な生活パターンなど、著者の思い出話や、日本国憲法について思うことなども書かれています。

　資格試験など、合格ラインが明確なテスト勉強には効果を発揮する勉強法でしょう。
　一方、点数のつかない社会生活一般については？
　一見すると役に立たないようにも思えますが、考え方など基本の面で応用がききそうです。

⚫️「元気ノート」「夢ノート」をつける
⚫️「やればできる、必ずできる」
　　
　著者が担当したある刑事事件の経験についても軽く触れられています。
　小説やルポルタージュになりそうな悲惨な事件で、この事件についてもっと詳しく知りたいくらいですが、それはともかく、この事件から著者が教えられた「三つの質問」。
　
⚫️「人生の目的は？」「それはなぜか？」「そのために何をしているのか？」
　
　この質問を常に意識して日々の生活を真剣に送っているとかなり違ってきそうです。
　面接試験や、職場で会社の重役に会った時に聞かれて即答できたらポイント高そう。
　例えばお見合いなんかでもこんなこと聞かれることもあるんです。
　そんな時にツボを外した返答をしてしまうと、そこで失格なのです。
　
　本書では、伊藤師が憲法について熱く語っている部分も読みどころです。

　私は憲法の勉強法を考えようと思い、憲法学者の論文をあれこれ読んでいた。そして、日本国憲法について書かれた宮沢俊義先生と芦部信喜先生の論文に出会った。
　二人の論文を読んでいて、私は体が震えるほどの感動を覚えた。二人が命をかけて守ろうとした新憲法の自由に対する熱い思いが、その論文から切々と伝わってきたからだ。
　日本国憲法はアメリカの独立戦争やフランス革命など、人類の壮大な歴史の流れの延長線上にある。この憲法ができるまでの間には、どれだけの人たちの血と涙、汗と努力があったろうか。
　そこには膨大な数の人々のうめきや苦しみや希望や思いが託されていた。その集大成である憲法を自分が学べる感動に、私はわなわなと体が震えたのだ。
　憲法とはこういうものだ、ということがそのときわかった気がした。つまり憲法の全体像や本当の意味がぼんやりとではあったが、つかめたのである。　P46

　伊藤師が東大入学後、友人となったアメリカ人ジャーナリストとのやりとりについても書かれています。

「憲法でいちばん大切なことを、一言で教えてくれ」
「基本的人権と国民主権と平和主義だ」
「いや、三つはいらない。一つだけでいい」
「日本は三つなんだ」
「お前は日本の憲法でいちばん大切なことを一言で言えないのか」

　伊藤師は家に帰り、本をひっくり返して調べてみた。するとどの本にも書いてあるではないか。

憲法の三原則の前に「個人の尊重」ということが。
　
　そういえば自民党の~~憲法改正案~~　憲法改悪案では、第13条において「すべて国民は、個人として尊重される」を「全て国民は、人として尊重される」に改悪しています。
　つまり、日本国憲法の三原則の前に一番大事な「個人の尊重」の原則を改悪しているのです。
　そもそも憲法とは元来、国民の権利を定めたものであって、国民が国家や政治家を縛るものです。
　自民党改憲案ではこれを逆に、国民の義務を定め、国家や政治家が国民を縛るものに改悪しているのです。
　　
　夢をかなえるためには、民主的な国であることが前提条件です。
　国民一人一人が「個人として」尊重されることで、夢をかなえることが可能になるのです。
　自民党が憲法を改悪した軍国主義独裁国家では、夢をかなえるどころか、夢を持てないでしょう。国民は「個人として」尊重されることはなく、国家に奉仕する単なる単なる「人」として、「労働者」「奴隷」「兵隊」となることを強いられるのです（この道しかないのです）。
　夢をかなえるためには、直接的な勉強や行動も大事なのですが、究極的には、現行の日本国憲法をよく知って守ること・国民一人一人が、憲法を敵視する権力側の御用学者やデマ工作員の宣伝に騙されない確固とした護憲の意志を持つことも、必要になってくるのではないでしょうか。