エジプト王ののろい スコッチ・テリアのなぞ
伊藤富造・訳 黒田征太郎・絵
あかね書房少年少女世界推理文学全集NO.13
(なお、書影は 日本の古本屋 様から拝借致しました
先日『ドラゴン殺人事件』を読んだので、同じヴァン・ダインの作品を読んでみました。
殺人事件が発生し、名探偵フィロ・ヴァンスがひたすら事件を捜査するという正統パターンの推理小説。
『エジプト王ののろい』(カブトムシ殺人事件)の結末は豪快でアウトロー的。
クリスティの『オリエント急行殺人事件』の顛末がこれでいいのかという感想を読んだことありますが、本作はもっと奔放で大胆です。
『スコッチ・テリアのなぞ』(ケンネル殺人事件)の真相は、
な……、なんだってえ~~~~~~!!!
な、まるっきり超常現象の世界です。
博学なフィロ・ヴァンスがこのような事例もある、と知識を披露していましたが、あくまでも例外的な事例でしょう。
ミステリーの真相にこんなレアケースの超常現象が有りとしたら際限なくなります。
ヴァン・ダインが提唱した推理小説におけるルール【ヴァン・ダインの二十則】というのがあるようです。
「双子の替え玉トリック」などは避けるべき、などのルール違反が挙げられているそうですが、本作の真相も十分ルール違反ではないでしょうか。
ということで、「〇〇が自ら〇〇する」というのも二十則的にどうなのか?
今まで議論になったことないのでしょうか?
二作品とも読んでいて違和感を感じたのは、その記述の方法です。
探偵ヴァンスの助手が傍にいて記述しているような記述法なのですが、その人物の存在感がまるでありません。地方検事ジョン・マーカムや殺人課のヒース部長は会話したり動いたりしているのですが、記述者の言動はほとんどなく、空気と化しています。
シャーロック・ホームズのワトソンのように、探偵の助手が記述する形式はよくありますが、本作においては記述者は空気なのか実在するのかよく分かりません。
しかしごくわずか、「私はそう思った」という感想があったり、一カ所だけ電話に出て「ヴァン・ダインさんか」と言われているシーンがあります。
原作もこんな風なんでしょうか。子どもが読んで混乱しないのでしょうか?
こんなだったらいっそのこと三人称記述体に改めた方が分かりやすいと思うのですが。
●ブクログ https://booklog.jp/item/1/425108053X
●読書メーター https://bookmeter.com/books/4781482
博学多才の名探偵 ファイロ・ヴァンス(Philo Vance)
https://www.aga-search.com/detective/philo_vance/
ameqlist 翻訳作品集成(Japanese Translation List)
S・S・ヴァン・ダイン S. S. Van Dine
https://ameqlist.com/sfv/vandine.htm
音盤蒐集再生の日々by妖美
この人は本当に巨匠なのか?『ヴァン・ダイン/カナリヤ殺人事件』
https://ameblo.jp/63046007/entry-12418413288.html
押入れで独り言
ヴァン・ダインの児童書
https://mystery-ym.hatenablog.com/entry/20080629/1214727407
物語良品館資料室
【忘却の巨匠】ヴァン・ダイン作品ガイド【ファイロ・ヴァンス】
https://susumutomaru1999.blog.jp/archives/1069297676.html
【ドラゴンプールの怪事件】そのトリックは実現可能?
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/08/29/081450
名探偵再登場 キメラ映画
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20140104/p1
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