冒頭、近藤勇(香取慎吾)や芹沢鴨(佐藤浩市)らは大坂に出張、不逞浪士を取り締まっている。
壬生の居残り組では、土方歳三(山本耕史)ら近藤派と新見錦(相島一之)ら芹沢派の派閥争いが激しくなる。
派閥拡大に遅れを取ったことを悟った新見は、夜遅く、新入隊員を集めて芹沢の功績を吹聴する。
こういった派閥争いに振り回される新入隊員は大変である。
このまま小競り合いを続けてエネルギーにするか、融和するか、どちらかが完勝するか。
会津候松平容保(筒井道隆)に目通りした勇が深雪太夫(優香)と会って道草を食っている間に、芹沢達は小野川部屋の力士達と揉め事を起こしてしまう。
小野川親方(瑳川哲朗)は奉行所に届けて小さく収めようとするが、日頃から浪士組を快く思っていない奉行所の与力・内山彦次郎(ささきいさお)は、熊川熊次郎(舞の海)らをそそのかし、浪士組を襲撃させる。
同じ幕府を守る立場でありながら、大坂奉行所と浪士組(会津藩)もうまくいっていないようだ。
芹沢が熊次郎を斬り、力士達と浪士組の乱闘が始まる。
浪士組の内訳は、芹沢派の平山、野口、又三郎。近藤派からは、山南、沖田、永倉、斎藤、島田。
芹沢の暴走を、5人もいた近藤派の面々はなぜ止めなかったのか。
近藤がいれば、火傷しながらでも酒を顔にかけられても何としても必ず芹沢を止めたはずである。
日頃から近藤を理解し、心酔している近藤派の5人は芹沢の暴走を見ているだけだったのか。
特に、山南敬助(堺雅人)が芹沢を止めなかったのは意外だった。
もし土方がいたなら何としたであろうか。
近藤がいないと何ともならないのか。近藤にも休息は必要だろう。
力士達との乱戦の中、沖田総司(藤原竜也)は野口健司(岡本幸作)を助けるため、初めて人を切る。
「切っちゃった」
と軽く言う総司を勇は叱るが、
「私を助けてくれたのです」
と野口にとりなされ、土方を助けるために初めて人を斬った時のことを思い出す勇。
実際、人生はこんな風に人を切りながら“成長”していくのだろう。
人を切ったことがない人は、いつまでも子どものままで、社会を動かせないということだろうか。
小野川親方に真っ直ぐにお詫びする勇。
その勇の誠意を受け止め、矛を収めた小野川親方。
どちらも立派である。
人を切ったことがない人。
人を切りながら“成長”していく人。
芹沢のように、人を切りまくる人。
近藤さんは、どのタイプだろうか。
今回は、人を切れるのだが、あえて切ろうとしない、武道や日本刀の精神のような人のように描かれている。
実際の社会は、イラク戦争に関することを見ても、人を切る人が社会を動かしている。
人を切ったことがない人は、運命に翻弄されている感がある。
人を切らなくてもいい社会にしていかねばならない。
報復の連鎖を止められる人が本当に勇気のある人である。
よって、折角の芹沢の名言
「その場にいなかった奴は何とでも言えるもんだ」
も、近藤の大きさの前に色あせてしまった。